戸田奈津子をご存知で?
知らない?こいつはコトだ!紹介せにゃ。
戸田奈津子とは、日本の字幕翻訳者。翻案家。愛称はなっち。
トム・クルーズなどの有名俳優が来日した際、隣に居る眼鏡天パのおばちゃんと言えば知っている方も多いかもだ。
概要かもだ
これまでにさまざまな映画の字幕を手がけてきた人物ではあるのだが、誤訳・意訳が非常に多いことでも有名。単なる誤訳だけでなく、細かなニュアンスや原作の意図を無視した意訳、さらに口語と文語の違いや尊敬語・謙譲語・時制の欠如など細かいミスを上げればきりがない。
特に、日本でも翻訳小説などで有名だった作品が映画化された際、なっちが字幕を担当すると、その実力に沿った誤訳を連発し、特に原作を知っているファンが悲劇的になることが多い。
近年の誤訳作の代表としては『オペラ座の怪人』『ロード・オブ・ザ・リング』『パイレーツ・オブ・カリビアン』などが有名。特に『オペラ座の怪人』では、わざと含みを持たせた作りである原作と、それを尊重した上で製作された映画版を、徹頭徹尾誤訳の連打でブチ壊しにしてしまい、原作ファンの激怒を買ったことで有名。
世界的に有名な指輪物語の映画版『ロード・オブ・ザ・リング』においても、せっかく原作者が「翻訳の手引き」を残すほど細やかな配慮がなされているのに、なっちは全くそれを読まずに翻訳したため、正確な訳がなされている瀬田氏翻訳版の小説文、まともな訳者がついた日本語吹替版とも違う訳が展開され、原作既読者のみならず初見の観客でさえも理解に苦しむ珍文章を頻発してしまっている。
もろちんネット上でも有名であり、誤訳を集めた専用wikiも存在するという異例の事態も発生している。
そろそろ引退を?いや、まだまだ続けるかもだ!
例を?
極端な例を挙げるが、他にもまだある。
- 情熱のプレイ:オペラ座の怪人
もちろん、性的な意味で。17歳のヒロインにこんなイタリア人みたいなことを言わせる辺りがなんというか。
原語はpassion-play。これは成句で、ハイフンを含めて「(キリストの)受難劇」を意味する単語であるが、ハイフンを見ずに、またはハイフンの意味が分からずに訳してしまったようだ。 - 大尉から准将:パイレーツ・オブ・カリビアン
原語はそれぞれ「Captain」と「Commodore」。大佐と准将である。一般的な軍の階級は大尉-少佐-中佐-大佐-准将なので、4階級特進という訳の分からないことになった。
なっちはこういった身分・階級の違いやそれにまつわる表現や皮肉などを直訳・誤訳しすぎるきらいがあり、他にも「王妃」を「女王」としたり「女主人」を「男妾」とするなどの珍訳がある。 - わしは生命の創造主、秘密の炎に仕える者だ!:ロード・オブ・ザ・リング
誤訳の最右翼としてつとに有名。原文は「a servant of the Secret Fire, wielder of the flame of Anor!」
原文にはない「生命の創造主」なるものをつけたし、さらにSecret Fireとflame of Anorを混同している。単なる意訳のみならず、もっともらしい単語を挿入して理解を狭めてしまうところになっち訳の真髄が伺える。
瀬田氏はここを「わしは神秘の炎に仕える者、アノールの焔の使い手じゃ!」と訳し、吹替版も瀬田訳に準じている。 - 韋駄天:ロード・オブ・ザ・リング
アラゴルンの通称、またはそれに因むフロドのポニーの名で、原語は「the Strider」。これはアメンボの意味もあるが、ここでは「(ホビットに比して)大股で歩く者」の意であり、瀬田訳では「馳夫(はせお)」としている。
なっちの訳は英語版からの意訳、というより小説版の「馳夫」からの重訳と思われるが、殆んどの和製中世風ファンタジーおよびRPGの原風景である小説版翻訳では一切使用されなかった仏教の神様の名前を引き合いにした古臭い言い回しにしたことで、同作のファンを少なからず落胆せしめた。 - 66回の流産:リング
正しくは66年の流産。66回も流産すりゃ悪霊になるのもむべなるかもだぜ。
原作が日本、海外で放映された映画の再翻訳だというのにこの誤訳があることから有名になった。 - ボランティア軍:スターウォーズ エピソードI
原語は「A Volunteer」。volunteerは動詞で「志願する」という意味があり、「義勇軍」とするのが定訳である。
他にも「ローカルの星人」「ジャバ・ザ・ハット族」など、EP1ではなっちの本領が遺憾なく発揮されている。 - ネビュラ星雲:ギャラクシー・クエスト
原語は「Klaatu nebula」。nebulaは星雲の意であり、「Klaatu(クラートゥ)」が固有名詞である。
この訳だと「星雲星雲」となってしまう。 - キリル語:ハンティング・パーティ
架空の言語をでっち上げる快挙を成し遂げた。もちろん正確な訳は「キリル文字」である。 - 2ヶ月:13デイズ
タイトルは『13デイズ』、その元ネタであるキューバ危機もほぼ2週間。それをテーマにしているのに2週間を2ヶ月と勘違いしてしまう。 - SOS:タイタニック
リアルさに拘ることで有名なジェームズ・キャメロン監督の作品である『タイタニック』。「SOS」が出てくるのはスミス船長が部下のフィリップスに遭難信号の打電を指示する場面だが、実際の同船では最初は新式のSOSではなく旧式のCQD遭難信号の使用を指示していた(途中からSOSと交互に打電)。キャメロン監督はリアリティを考慮してわざわざ馴染みの薄いCQDという語を使っているのだが(それでも会話の流れから遭難信号のことだと容易に理解できる)、なっちは判り易さばかりを優先してそれをSOSに改変してしまった。 - 我らは銃士、結束は固い:ヤング・ブラッド
「三銃士」の有名なセリフ「“One for all, all for one”」の意訳、というか翻案。普通は「一人は皆のために、皆は一人のために」と訳されるが、こうした正訳のニュアンスがほとんど感じられない。本来英語が読めない人々を相手にする翻訳業で、広く膾炙している表現や決まり文句をあえて避ける姿勢もなっちが非難される理由の1つである。 - 入れろ(open)⇔切れ(close):アポロ13
電気回路の勘違い。電気回路は回路の一部をスイッチとしてわざと「開放」してあり、これを「閉じる(close)」と回路が完成して電気が流れ、機器が作動する。よってこの場合の「Open/Close」の正訳は「切れ/入れろ」である。
ほぼ全ての電源を切って電力の節約に努めた後、満を持しての再起動のシーンでこれ以上何を切れというのか。
なっち語と?
また、誤訳の他にもう一つの悪癖が存在する。それが「なっち語」だ。彼女は述語が分からないときや正確な訳がしづらい時に、自分のセンスで以って語尾を変な風に変えたり、単語を入れ替えてしまう。
- 「~を?」「~なので?」「~と?」「~で?」などの、原語では疑問文でない文章への疑問符の付加。あまりにも頻出するため、わからない文章をぼかすためとか、疑問文+応答文で訳の尺を調整しているという考察が成されている。
- 音声では小声で呟いているような言葉に「!」をつける。おそらくシナリオ原文の引き写しだが、英語の「!」は主に間投表現を示す文法性の強い記号であり、日本語の「!」のように専ら強い語調を表す記号ではない。
- 「~せにゃ」「~かもだ」「~かもけど」「コトだ」などの独特の古臭い、または不自然な語尾の付与。
- 「おっ死(ち)ね」などの古臭い言い回し。また上述の「韋駄天」のように仏教用語の混入した慣用表現も古い日本語であり、ジェネレーションギャップを感じさせる。例えば 「知らぬが仏の亭主」(オペラ座の怪人)など。
- 俗語(特に卑語や罵倒語)は極力ストレートな表現を避ける余り、当たり障りの無い言い方や原文に含意されない独自の言葉になってしまう。その結果「cherry boy」→「プッシー知らず」、「Hasta la vista, baby.」→「地獄で会おうぜ、ベイビー」と訳してしまう。特に罵声が飛び交う『フルメタル・ジャケット』では上品に訳し過ぎて、訳文を英語に再翻訳したものをチェックしたキューブリック監督直々の指示で降板させられた。
- 「バカこくな!」「こいてねえ!」・・・『チェンジング・ライン』より。ゼロ年代のニューヨーカーの掛け合いね、これ。
- また、身分の高低が会話に影響を及ぼすような場面で、敬語とタメ口をごちゃ混ぜにするという悪癖も「なっち語」の1つ。
批判にもめげない迷惑人間かもだぜ
あまりの誤訳・珍意訳の多さに、もちろん映画業界からはかなり批判を浴びており、町山智浩などは早くからそのトンデモっぷりに気がついていた。しかしながら、昔からそれだけ批判を浴びているにもかかわらず、現在も彼女の暴走(例:アバター、09年)と批判は止んでいない。
理由として本人が全くそれらを相手にしていないことが挙げられる。批判に対して耳を塞いでいると考えられているが、これほどの誤訳を連発するからには、何故批判されるのかが本気で理解できていない可能性も十分にある。
また、戸田自身が所属する「映画翻訳家協会」には約20名の翻訳家が所属しているが、著名な映画などにおいて映画配給会社側が「(長年勤めているということで)ベテランだから」という理由で戸田を起用することが多く、混乱と非難を加速させている。
そしてついに『ロード・オブ・ザ・リング』では、第一作の字幕を見て落胆・憤慨した一部有志が、第二作以降での戸田の降板と誤訳の修正を求める署名活動をネット上で行い、配給の日本ヘラルドとピーター・ジャクソン監督に送付する事態にまで発展した。監督側からのリアクションやヘラルド側の不可解な対応など紆余曲折があったものの、結局戸田は全三作の劇場版およびDVD版の字幕翻訳家として居座り続けたのである(もっともDVD版ではかなりの誤訳・珍訳が手直しされている)。この辺りの経緯や経過については後の中つ国Wiki管理人のブログ記事が詳しい。
その後も『オペラ座の怪人』等のソフト化の際に同様の活動が行われたが、成果は半々といったところである。
ちなみに、ある週刊雑誌でその誤訳連発っぷりに特集が組まれたときのインタビューでの発言がこれである。
「あら、そう、知らなかったわ。初めて聞きました。でも、そもそも映画の翻訳というのは字数やいろんな制約があって、そのまま直訳しても文章にならないし、意味が通じないの。だから、やっぱりある程度の意訳は必要なのよ。それぞれの意見はあるでしょうけど、私たちのような、ものを書く仕事はあっち立てればこっち立たずで、意見が合うことはなかなかないですから」
この文から真相をどう推理するかは自由だが、どちらにせよ映画界にとってかなり迷惑な存在であることはまちがいない。彼女が批判に対して屈する・映画界から引退するのどちらも、当分起こりそうにないと言える。
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リビジョン番号: 1519435
読み:トダナツコ
初版作成日: 08/09/07 22:51 ◆ 最終更新日: 12/05/04 17:42
編集内容についての説明/コメント: 『レッドドラゴン』の記述は誤りのため削除、『オペラ座の怪人』の疑わしい記述はコメントアウト&併せて一部編集
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