日本ホラー小説大賞とは、角川書店とフジテレビが主催するホラー小説の公募新人賞。
2018年の第25回をもって横溝正史ミステリ大賞と統合され「横溝正史ミステリ&ホラー大賞」となり、ホラー大賞としては終了を迎えた。
概要
1993年の角川ホラー文庫の創刊に合わせ、1994年から始まった賞。大賞賞金は500万円。第18回までは長編賞と短編賞が併設されており、大賞は長編・短編を合わせた中での最優秀作が選ばれていた。第19回から長編賞・短編賞の区別がなくなり、代わりに一般モニターの選ぶ読者賞が追加された。
最初は荒俣宏、高橋克彦、遠藤周作、景山民夫の4人が選考委員だったが、遠藤・景山が相次いで亡くなるというリアルにホラーな事情があったりする。その後、第2回から死去した遠藤に代わって林真理子が加わり、景山の亡くなった第5回から第16回まで10年以上にわたり荒俣・高橋・林の3人体制が続いた。第17回から貴志祐介が加入。第20回から林に代わって宮部みゆきが加わり、第21回から荒俣・高橋が降板して綾辻行人が加入、以降最後の第25回まで綾辻・貴志・宮部の3人体制が続いた。
2018年、第25回をもって横溝正史ミステリ大賞と統合され「横溝正史ミステリ&ホラー大賞」となることが発表された。通算回数は横溝正史ミステリ大賞の方が引き継がれたため、実質的には横溝賞に吸収という形で終了となった。
2年に1回大賞作品を出すのが特徴。第2回(『パラサイト・イヴ』)から第12回(『夜市』)までこの法則は続いた。第14回で大賞が出なかったためこのジンクスは途切れたが、その後第15回(『庵堂三兄弟の聖職』)、第16回(『化身』)、第17回(『お初の繭』)と3回続けて大賞が出たあと第18回は大賞なし、第19回は大賞が出て(『先導者』)、第20回は大賞なし、第21回・第22回では大賞が出て(『死呪の島』『ぼぎわんが、来る』)、第23回・第24回は大賞が出ず、2年に1回ペースは最後まで継続された。最後の25回は大賞が2作出たため、最終的な大賞作品は13回14作。
『パラサイト・イヴ』『黒い家』『ぼっけえ、きょうてえ』などの大ヒット作を相次いで生み、『リング』の大ヒットとともに日本にホラー小説ブームを生んだ立役者とも言うべき賞(ちなみに『リング』はホラー大賞ではなく、横溝正史賞の最終選考落選作)。また第5回では高見広春『バトル・ロワイアル』に選考委員が浴びせた大ブーイングが話題となった。
『ぼっけえ、きょうてえ』以降はホラーブームが一段落したこともあって『パラサイト・イヴ』や『黒い家』クラスのメガヒット作は出なかったが、直木賞を受賞した朱川湊人や真藤順丈、日本推理作家協会賞を受賞した恒川光太郎、飴村行、澤村伊智などを輩出しており、第19回から追加された読者賞からは櫛木理宇『ホーンテッド・キャンパス』や内藤了『ON 猟奇犯罪捜査班・藤堂比奈子』がヒットしている。受賞作の映画化作品には『バイロケーション』『ぼぎわんが、来る』『記憶屋』など。日本SF界のカリスマになりつつある伴名練も出身者。ちなみに過去の最終候補作を見ると、長編賞で戸梶圭太、短編賞で石田衣良や道尾秀介、倉阪鬼一郎が落選したりしている。
長編賞や短編賞の受賞作や、佳作・読者賞はハードカバー化されず、いきなり角川ホラー文庫から出ることが多かった。
主な受賞作
- 第1回佳作:坂東眞砂子『蟲』
- 第2回大賞:瀬名秀明『パラサイト・イヴ』
- 第2回短編賞:小林泰三『玩具修理者』
- 第3回長編賞佳作:貴志祐介『十三番目の人格 ISOLA』
- 第4回大賞:貴志祐介『黒い家』
- 第6回大賞:岩井志麻子『ぼっけえ、きょうてえ』
- 第6回長編賞佳作:牧野修『スイート・リトル・ベイビー』
- 第8回大賞:伊島りすと『ジュリエット』
- 第10回大賞:遠藤徹『姉飼』
- 第10回短編賞:朱川湊人『白い部屋で月の歌を』
- 第12回大賞:恒川光太郎『夜市』
- 第13回長編賞:矢部嵩『紗央里ちゃんの家』
- 第14回短編賞:曽根圭介『鼻』
- 第15回大賞:真藤順丈『庵堂三兄弟の聖職』
- 第15回長編賞:飴村行『粘膜人間』
- 第15回短編賞:田辺青蛙『生き屏風』
- 第16回大賞:宮ノ川顕『化身』
- 第17回大賞:一路晃司『お初の繭』
- 第17回長編賞:法条遥『バイロケーション』
- 第17回短編賞:伴名練『少女禁区』
- 第18回長編賞:堀井拓馬『なまづま』
- 第19回大賞:小杉英了『先導者』
- 第19回読者賞:櫛木理宇『ホーンテッド・キャンパス』
- 第21回大賞:雪富千晶紀『死呪の島』(文庫化時『死と呪いの島で、僕らは』に改題)
- 第21回読者賞:内藤了『ON 猟奇犯罪捜査班・藤堂比奈子』
- 第22回大賞:澤村伊智『ぼぎわんが、来る』
- 第22回読者賞:織守きょうや『記憶屋』
- 第24回読者賞:木犀あこ『奇奇奇譚編集部 ホラー作家はおばけが怖い』
- 第25回大賞:秋竹サラダ『祭火小夜の後悔』、福士俊哉『黒いプラミッド』
関連項目
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