日本SF大賞とは、日本SF作家クラブが主催する賞。後援は徳間書店。
概要
毎年10月1日から9月30日に発表された国内の商業SF作品から、日本SF作家クラブの選定した選考委員が優れた作品を選び表彰する、アメリカでいうネビュラ賞に相当する賞。最大の特徴は、SFであれば小説に限らず評論、伝記から漫画、映画、アニメ、特撮などでも受賞が可能なことである。ゲームソフトの『ドラゴンクエストII 悪霊の神々』が候補になったこともある。
選考委員はほぼ毎年変わる。第32回(2011年)の選考委員は冲方丁、貴志祐介、豊田有恒、堀晃、宮部みゆき。
初期は長く日本のSF界を支えてきた大御所への功労賞的側面が強かったが、主な大御所がだいたい受賞してしまったためか、現在はどちらかと言えば新進気鋭の作家の出世作・代表作に与えられる賞になっている。当初は規約により候補作を公表していなかったが、第18回から公表されるようになった。
また、日本SFに大きな功績のある人物が特別賞として表彰されることがある(死去した際に贈られることが多いが、存命で受賞した人もいる)。TV番組、アンソロジーシリーズに与えられたこともあるので基準は今ひとつ不明。
Wikipediaには「重複受賞は認められておらず」と書かれているが、瀬名秀明が『BRAIN VALLEY』で受賞した(第19回)後に『デカルトの密室』で候補になっている(第26回)ように、実際は重複受賞も可能なようである(掲示板>>2によれば、筒井康隆が『朝のガスパール』で受賞した後に『パプリカ』が出たため、「可能だけどハードルは高くする」ことにしたらしい)。第30回でも神林長平が『アンブロークン アロー 戦闘妖精・雪風』で、第31回では山田正紀の『イリュミナシオン 君よ、非情の河を下れ』と北野勇作の『どろこんろんど』が候補になっている。ただし、今のところは重複受賞を達成した者はいない。
第1回の受賞作である堀晃『太陽風交点』を巡って、早川書房と徳間書店の間でいわゆる「早川・徳間裁判」が起き、80年代の国内SFの流れに大きな影響を与えた(後述)。この影響で早川書房の作品はしばらく日本SF大賞を獲れなかったと言われている。
歴代受賞作品
- 第1回(1980):堀晃『太陽風交点』
- 第2回(1981):井上ひさし『吉里吉里人』
- 第3回(1982):山田正紀『最後の敵』
- 第4回(1983):大友克洋『童夢』
- 第5回(1984):川又千秋『幻詩狩り』
- 第6回(1985):小松左京『首都消失』
- 第7回(1986):かんべむさし『笑い宇宙の旅芸人』
- 第8回(1987):荒俣宏『帝都物語』
- 第9回(1988):半村良『岬一郎の抵抗』、横田順彌・會津信吾『快男児・押川春浪』
- 第10回(1989):夢枕獏『上弦の月を喰べる獅子』
- 第11回(1990):椎名誠『アド・バード』
- 第12回(1991):梶尾真治『サラマンダー殲滅』
- 第13回(1992):筒井康隆『朝のガスパール』
- 第14回(1993):柾悟郎『ヴィーナス・シティ』
- 第15回(1994):大原まり子『戦争を演じた神々たち』
- 第16回(1995):神林長平『言壷』
- 第17回(1996):金子修介『ガメラ2 レギオン襲来』
- 第18回(1997):宮部みゆき『蒲生邸事件』、庵野秀明『新世紀エヴァンゲリオン』
- 第19回(1998):瀬名秀明『BRAIN VALLEY』
- 第20回(1999):新井素子『チグリスとユーフラテス』
- 第21回(2000):巽孝之『日本SF論争史』
- 第22回(2001):北野勇作『かめくん』
- 第23回(2002):古川日出男『アラビアの夜の種族』、牧野修『傀儡后』
- 第24回(2003):冲方丁『マルドゥック・スクランブル』
- 第25回(2004):押井守『イノセンス』
- 第26回(2005):飛浩隆『象られた力』
- 第27回(2006):萩尾望都『バルバラ異界』
- 第28回(2007):最相葉月『星新一 一○○一話をつくった人』
- 第29回(2008):貴志祐介『新世界より』、磯光雄『電脳コイル』
- 第30回(2009):伊藤計劃『ハーモニー』
- 第31回(2010):長山靖生『日本SF精神史』、森見登美彦『ペンギン・ハイウェイ』
- 第32回(2011):上田早夕里『華竜の宮』
特別賞
- 第10回(1989):手塚治虫
- 第12回(1991):石原藤夫
- 第14回(1993):黒丸尚
- 第16回(1995):野田昌宏
- 第19回(1998):星新一、NHK人間大学『宇宙を空想してきた人々』、井上雅彦監修『異形コレクション1~6』
- 第20回(1999):光瀬龍
- 第25回(2004):矢野徹
- 第29回(2008):野田昌宏
- 第30回(2009):栗本薫
- 第31回(2010):柴野拓美、浅倉久志
- 第32回(2011):横田順彌『近代日本奇想小説史 明治篇』 特別功労賞:小松左京
徳間・早川裁判
第1回受賞作である堀晃『太陽風交点』は早川書房から出版されたが、徳間書店が後援となっている日本SF大賞を受賞したことで、徳間書店は堀と『太陽風交点』の文庫を徳間文庫から出す契約を交わした。それを聞いた早川書房が「文庫はうちで出す約束だったはずだ」と文句をつけるも、徳間文庫版『太陽風交点』が出版されたことでハヤカワ文庫版『太陽風交点』はお蔵入りになり、文庫化に関する契約を巡って裁判となった。
結果は一審、二審ともに「ちゃんと文書で契約を交わしてなかった早川側が悪い」との判決で早川書房の敗訴。この件を巡っては多くのSF作家が作家の権利を守るという観点から徳間側につき、そのため早川書房は書き手が足りなくなり、『SFマガジン』誌上での新人発掘を精力的に行った。
関連項目
http://dic.nicomoba.jp/k/a/%E6%97%A5%E6%9C%ACsf%E5%A4%A7%E8%B3%9E


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読み:ニホンエスエフタイショウ
初版作成日: 09/04/15 11:20 ◆ 最終更新日: 11/12/15 14:41
編集内容についての説明/コメント: 第32回追加
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