「曹沫」(そう・ばつ/そう・かい ? ~ ?)とは、中国の春秋戦国時代の魯の君主である荘公に仕えた将軍であり、斉の君主桓公との盟約の席にて、斉に渡るはずだった魯の土地を、匕首を桓公につきつけて強引に返還させることを了承させた刺客。
刺客列伝に登場する刺客の中では、「目的を達成し」「自身は生存」の条件をクリアした唯一の刺客である。
※名は「曹劌」とも
概要
斉の恒公のライバル公子糺を匿っていた魯に、斉軍が攻め込んできた時、農民だった曹沫は、荘公に面会して
一体何を頼みとして戦をするのですか
と問うと、荘公は、
と答えたが、曹沫より、
- 「生活に大切な衣類や食物は決して独占することなく、必ず人に分け与えている」
→「それは小さな恩恵というべきもので、広く人民にゆきわたっておりませんから、人民は従わないと思います」 - 「神を祭るにしても、いつわりを申さず、いけにえや玉帛は、ありのままに申し上げている」
→「それは小信であって大信とは申されず、そんなことでは神は幸福を与えませぬ」
とつっこみかえされてしまったので、
「民の訴えごとは必ずまごころをもってあたり、民の利益を守ってきておる」
と言うと、曹沫は
「それは忠に類するやりかたです。これで民は君命に従うでしょう。私もお供いたします」
と言って、将軍に抜擢されて斉軍との長勺での戦いに参加し、斉軍が三度太鼓を打った後に進撃させるのを見計らって進撃して斉軍を破り、荘公が追撃しようとした際は、敵の轍を調べ、敗走が罠で無いことを見極めた後に追撃を行い大勝した。
今度は荘公が曹沫に理由を尋ねると、
戦は勇気が第一です。第一の太鼓で奮い起こさせた勇気は、第二の太鼓で衰え、第三の太鼓で尽きてしまいます。 それゆえ勝ったのです。
また斉のような大国は伏兵を設ける恐れがあります。敵の轍を調べると乱れており、旗が乱れていたので、進撃したのです。
と答えた。
しかし、宰相管仲と鮑叔コンビに支えられた斉の軍勢の再侵攻においては、曹沫は三戦して三敗すると結果となり、国力の上でも不利な魯は、遂邑の献上をと引き換えに和議を申し込む事にした。
講和会議の席で、荘公が遂邑献上の誓約書を書こうとした時、敗戦の責任を感じていた曹沫は、無作法を承知で恒公に近づいて匕首を突きつけ、
魯から奪った土地を還してもらおうか
と桓公を一喝し、管仲ににらみを利かせて、今までに奪い取った魯の地を返還する合意書にサインさせる事に成功し、恒公がサインし終わると、曹沫は匕首を投げ捨てて魯の臣下の席に戻り、自らの敗戦により失った土地を回復した。
斉王桓公は、脅されたうえでの誓約は無効だと考えたものの、管仲に
覇者としての信望を守るためには、たとえ脅されて行った約束でも守るべきだ
と諌められて思いとどまった。
後日、脅されたにもかかわらず約束を履行した恒公の声望は高まり、曹沫は、自らの失点を帳消しにするのではなく、桓公を覇者へと推し進めるアシストをしてしまっていたのだった。
※その他「曹沫」の詳細についてはWikipediaの該当記事参照の事。
関連動画
▼刺客列伝Aチームのリーダーとして登場する架空戦記「春秋戦国三国志」
※豫譲と聶政と荊軻が一緒だが、Wikipediaでも仲間はずれな専諸は伍子胥のところにいる。
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