「曾根崎心中」とは?
- 江戸時代の戯作者、近松門左衛門(ちかまつ もんざえもん 1653~1725)が実在の心中事件を基にして書いた歌舞伎・人形浄瑠璃の演目。当時「世話物(せわもの)」という新ジャンルを確立。本項で記述。
- VOCALOIDプロデューサーの一人「デッドボールP」が、『初音ミク』『鏡音リン』を用いて制作したオリジナルHR/HM曲。
1.の近松門左衛門の戯曲を題材にしている。動画記事を参照。
あらすじ
大坂(「大阪」の表記は後代のもの)の醤油屋「平野屋」の手代(てだい:商家の使用人で、丁稚と番頭の中間の階級。現代で言う係長~課長クラス)「徳兵衛」は、色茶屋『天満屋』の遊女「お初」の馴染客であり、二人もまた客と遊女の関係を超え、相思相愛の関係となっていた。
徳兵衛はお初をいずれ身請けし、自身の妻に迎えようと考えていたが、徳兵衛の叔父である平野屋の主人は二人の関係と徳兵衛の気持ちを知りつつも、徳兵衛の力を見込むあまり、妻の姪と祝言を上げさせ、自身の跡取りにすることを画策。徳兵衛の継母に金を握らせ、話を強引に進める。
強引な主人に対し、お初への想いと己の矜持を踏みにじられた徳兵衛は猛反発。それに対し主人は「ならば金を返せ。二度と大坂の地は踏ませぬ」と嚇怒。徳兵衛も意地になって継母から金を取り返し、主人につき返そうとする。
そんな中、友人の油屋「九平次」に借金の無心をされた徳兵衛。継母より取り返した金を(※)貸してやったのだが、期日になっても返済が無い。返済を迫る徳兵衛に九平次は「一文も借りた覚えが無い」としらを切るばかりか、「証文の印は以前無くして無効届けをお上に出していたもので、俺に押せるわけが無い。お前が印を拾って勝手に押したのだろう。それで俺を強請るとは、偽判遣い以上の大罪人だ」と公衆の面前で罵倒、詐欺師扱いでさんざ辱めた挙句、五人がかりで徳兵衛をフルボッコにしてしまう。
その夜、天満屋を訪れた徳兵衛は、お初に「もはや主人に金を返すこともできず、濡れ衣を着せられ世間から悪人と罵倒される屈辱にも耐え難い。自ら命を絶って雪辱を果たす以外に無い」と打ち明ける。
徳兵衛に同情したお初とともに曾根崎の森に向かい、そこで二人心中を遂げるのであった。
当時大ヒットの余り、話に感化された男女の心中事件が続発、たびたび幕府によって上演が禁止される場合もあったという。
(※)徳兵衛自身が、お初の身請けのために貯めていた金とする場合もある。らしい。
参考リンク 早稲田大学文学部専任講師 岡田俊之輔氏 (旧かな・旧漢字)
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