有閑倶楽部とは、集英社の少女・女性向け漫画誌にて連載されているアクションコメディ漫画である。
作者は一条ゆかり。1981年に「りぼん」で連載が開始され、以後連載雑誌を数回変更している。
概要
名士名家の子弟が通う名門校、聖プレジデント学園。高等部生徒会の面々は学園でも屈指の権力と能力を持ちながら、生徒会らしい事は何一つせずに暇を持て余していた。いつしか「有閑倶楽部」と呼ばれるようになったメンバーたちは今日も暇をもてあましつついろいろな事件に巻き込まれていく。
というのが基本設定。全員が美男美女で、尚且つ金持ちの家の子供達だが、得意分野を活かして自ら首を突っ込んだり、否応なく巻き込まれた事件を解決していく痛快アクションコメディ。時に実家のコネを使いつつも自らの才能や知識を用いて、ちょっとしたトラブルから世界レベルでの危機寸前の暗躍阻止、ついでにオカルト事件まで解決していく。これもメンバーにちゃんとした正義感があるからだろう。
今となっては信じがたいが当初は学園ラブロマンスコメディ風の作品になる予定だった。しかし、当時の担当が新連載の予告文に「学園アクションコメディ」と入れてしまった結果、現在の作風になってしまった。今思えば、怪我の功名といったところか。
主要人物
基本的には聖プレジデント学園高等部生徒会とその家族、学園関係者が主要人物として登場する。
※演じた人物はOVA版の声優については声、実写版については「演:単発ドラマ / 連続ドラマ」の順番に記載
有閑倶楽部
正式には聖プレジデント学園高等部生徒会。あまりにやることがなく、暇をもてあましていることから、いつしか生徒も教師もこのように呼ぶようになった。それぞれ「ケンカやアクション」担当、「頭脳派、参謀」担当、「メカ関係」担当、「交遊」担当、「霊媒」担当に分かれて行動することが多い。名前は作品の基本的なアイディアを推敲する段階で酒を飲みたいという欲望が作者の頭に同時に浮かび、そこからキャラクターが決定していったという経緯から、酒の銘柄からを使用している。
- 剣菱悠理(けんびし・ゆうり)
声:勝生真沙子 演:国生さゆり / 美波
運動部部長、ロック同好会所属。日本屈指の大財閥・剣菱財閥の令嬢……なのだが、そんなことを微塵も感じさせないワイルドガール。勉強は大の苦手で、ガサツで男勝りだが運動能力と体力は超人クラス(ついでに胃袋も超人クラス)。黙っていれば美形だが、性格が性格なので同性からのウケの方が良いようだ。そして、メンバー屈指の霊感体質で、オカルトネタでは頻繁に憑かれたり、スケープゴートにされる。一方で座敷童子など、無害な妖怪や霊も視え、会話もできる。場合によっては彼らと仲良くなったりすることも。
ファッションは基本的にマニッシュ(ボーイッシュ)ファッション。女性らしいコーディネートをするのは稀。 - 菊正宗清四郎(きくまさむね・せいしろう)
声:辻谷耕史 演:柄沢次郎 / 横山裕(関ジャニ∞)
生徒会長で複数の部と掛け持ちしている。大病院・菊正宗病院の御曹司で、医学を始め、さまざまな事柄に精通している。しかも格闘技も得意なのでいろいろな分野で活躍できる。もうこいつ一人でいいんじゃないかな。観察眼があり、人の弱点を握るのが得意で、また騙し合いや駆け引きを楽しむなどの少々陰険な面も。なお、拳法を習うようになったのは悠理との喧嘩で野梨子にかばわれ、その上、悠理にバカにされたため。顔だちが整っているため本来は女性にモテるはずだが、なぜかソッチ系の男性にモテモテのご様子。
ファッションは基本的に落ち着いたアダルトファッション。20代~30代の男性が好む服装が多い。 - 白鹿野梨子(はくしか・のりこ)
声:日髙のり子 演:奥田圭子 / 香椎由宇
文化部部長、囲碁倶楽部所属。日本画の大家を父に、茶道家元を母に持つ才色兼備の大和撫子。育ちが育ちなので教養深く、語学堪能。運動能力は低いが、ピンチになったときは思い切った行動に出る。参謀としての作戦も大胆なものを用いることがあるなど、ただの大和撫子だと侮ると痛い目を見る一面も。お嬢様らしく古風な女性言葉を使うが案外、毒舌でもあり、潔癖(主に恋愛や性的な方面に関して)であることから昔は孤立していた。
ファッションは和装、もしくはお嬢様然としたコーディネート。 - 松竹梅魅録(しょうちくばい・みろく)
声:関俊彦 演:豊原功補 / 赤西仁
生徒会副会長、ロック同好会所属。警視総監の父と旧華族出身の母を持つ行動派。警視総監の息子なのに近隣高校のワルや893とのコネがある。バイクや無線など機械いじりが好きで喧嘩も得意で、アクションパートでは機械いじりの才能をフルに活用する場面が見られる。その関係で意外にも理系分野での成績は上位。オカルト方面に興味があるが、遭遇率は清四郎と並んでダントツに低い。しかも、清四郎とは逆に必ず怪事件が起きた時その場に居ないか眠り込んでいる。愛犬に男山という名前のコリー犬がおり、初対面の犬種を一目で見抜いたりなど犬好きな描写がされることもしばしば。犬好きはどうやら母親譲りらしい。
ファッションは一番高校生らしいコーディネート。雑誌で言えば「FINE BOY」「smart」あたりが近い。 - 黄桜可憐(きざくら・かれん)
声:冨永みーな 演:小野リエ / 鈴木えみ
生徒会経理、社交倶楽部所属。宝石商の一人娘で玉の輿を狙うために自らの美貌や魅力に磨きを掛けるのは勿論、家庭生活に備えて家事や料理の腕前を鍛える事にも余念がない(ブラジル料理が作れないのはご愛嬌)。ただ、さすがに悠理ほどではないが成績はあまりよろしくない方。高飛車だが感受性が豊かで涙脆く、辛い境遇の人間には感情移入して涙することも多いロマンチスト。が、ロマンスだと感じる恋愛に限ってだめんずを引くようで、いまだにロマンスも玉の輿も実現していない。霊感はそれなりだが信仰心ゼロ。故に(状況的に仕方がなかったとはいえ)あることをして強烈な何かに憑かれたことも……。
ファッションコーディネートは基本的に大人びた女性を意識している。 - 美童グランマニエ(びどう・-)
声:子安武人 演:ショーン・E・レーガン / 田口淳之介(KAT-TUN)
生徒会書記、社交倶楽部所属。駐日スウェーデン大使の子息。ナルシストのプレイボーイで「世界の恋人」を自称する。母方も日本人とスウェーデン人のハーフで、本人はクォーターだが、母方を通じてスウェーデン貴族の末裔でもある。可憐とは違い、ちゃっかり父の仕事の関係で訪れた経験のある国では美女・美少女を確保している。将来美女になると見込んだ幼女に対しても気に入られるために気を使うことも忘れない。荒事は苦手だが、女性受けしそうなスポーツ(テニス・乗馬・社交ダンス・スキー・フェンシングなど)に関してはかなりの腕前。が、音楽に関しては才能に恵まれなかった様子(音痴は根性で治したらしい)。学業成績は英語は得意で、語学力においてはおそらく清四郎すら上回る反面、古典(源氏物語を除く)と地理は苦手。美形キャラだがムードメーカーでもあり、時々ギャグパートでは人質・不幸が降りかかる。特にオカルト方面では様々な女性霊に憑かれるトラブルに遭うので、悠理ら女性キャラに次ぐ心霊トラブルに見舞われる。
ファッションコーディネートは中性的(というよりフェミニン)なデザインを中心にしたコーディネート。
有閑倶楽部の家族
ここでは特に準レギュラーとも呼べる登場回数の人間をピックアップする。
- 剣菱万作(けんびし・まんさく)
声:吉村よう 演:荒井注 / 片岡鶴太郎
まったくもって剣菱財閥会長とは思えないルックスと言葉遣いで話す悠理の父。庄屋上がりの地主から転じて日本最大の財閥となった剣菱一族の総帥……なのだが、どう見ても農家。しかし、天才的な勝負勘の持ち主であるため、彼の思い付きが会社の利益に貢献しているからすごい。ケンブリッジ大学出身で、清四郎や野梨子も分からない難解な言語も話せる秀才。こうなったのは作者の頭に筒井康隆の『農協 月へ行く』が好きだったせい。 - 剣菱百合子(けんびし・ゆりこ)
声:横尾まり 演:長内美那子 / かとうかず子
悠理の母にして万作の嫁。元剣菱家のメイドで万作に見初められ結婚。その際に剣菱家の財産はほとんどが百合子名義になっていて、文字通り「世界一の大富豪」なので、作中で彼女が人質にとられたらいろんな意味で危ない(攫った側が)。竹を割ったような性格で大変気が強く、その気概は作中最強。夫ともラブラブなので万作をバカにしようものならビンタも辞さない程愛している。
が、結婚式を寺で挙げたことに対しては作中でトラウマが解消されるまで根に持っていた。 - 松竹梅時宗(しょうちくばい・ときむね)
声:大林隆介 演:藤木悠 / 鹿賀丈史
警視総監を務める魅録の父。世界中のトラブルに首を突っ込む(もしくは巻き込まれる)メンバーとは度々顔を合わせる上に、両親組の中では剣菱夫妻と共に出番が多い。一介の刑事から総監にまで上り詰めた叩き上げで、現場時代は「鬼時宗」として恐れられた。正義感が強いくせに見栄っ張りなので、有閑倶楽部が解決した事件は……。なお、万作とは太平洋戦争からの付き合いで同じ恐妻家ということで仲が良い。
メディア化について
過去にOVA、単発ドラマ、連続テレビドラマ化を果たしている。なお、テレビドラマについてはいくつか原作とは異なる点がある。特に連続テレビドラマ版については、出演者の都合により主役は悠理ではなく、魅録に変更されている上に、キャスト紹介順も有閑倶楽部の男性メンバー陣が最初に登場する。こればかりはキャストにジャニーズ事務所タレントが絡んでいるのが原因。また、その都合からか魅録の容姿も原作とは(主に髪形などが)異なっている。実写化あるあるである。
OVA版スタッフ
- 原作:一条ゆかり
- 監督:四分一節子
- 演出:前島健一、棚橋一徳、冨永恒雄
- 脚本:近藤真智子
- キャラクターデザイン・作画監督:小林ゆかり
- 美術監督:谷村心一
- 色彩設定:小松原智子
- 撮影監督:小澤次雄、岡崎英夫
- 音響監督:宇井孝司
- プロデューサー:出崎哲
- 制作:マジックバス
- 製作:集英社
単発ドラマ版スタッフ
連続ドラマ版スタッフ
- 脚本:江頭美智留・山浦雅大・篠崎絵里子
- 音楽:山下康介
- 選曲:御園雅也
- 原案協力:八坂健司、山本智恵子(集英社「月刊コーラス」編集部)
- 技術協力:NiTRo、日テレアート
- プロデューサー:荻野哲弘(日テレ)、国本雅広(ケイファクトリー)
- 演出:大谷太郎、池田健司、高橋秀明
- 制作プロダクション:ケイファクトリー
- 製作著作:日テレ
主題歌「Keep the faith」
作詞:氷室京介・SPIN / 作曲:氷室京介 / 編曲:ha-j / 歌:KAT-TUN
関連動画
関連項目
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