概要
これといって決まった定義はなく、人によって捉え方が違う事もある言葉である。
元々はコアな鉄ちゃんや関係者ぐらいしか使用しなかったのだが、最近ではライトな鉄ちゃんでも使うようになりはじめている。
大まかに分けるとだいたい以下のようになる。
本来は2番目の意味で使われる事が比較的多く、3番目に関しては未成線と呼ばれる事は他に比べると少ない。
また、工事が途中で中断されても智頭急行や北越急行のように第3セクターが引き継いで開業に漕ぎ着ける事もあるが、このような事例は稀であり多くは工事が中断された時点で開業の可能性が限りなくゼロとなってしまう事が多い。
なお、着工され中止・凍結された未成線や計画がある未成線の場合はその遺構や予定スペースが既存の駅や路盤に確保されているままの場合もある他、他の路線に遺構が生かされている場合もある。興味がある人は探してみるのもいいかもしれないが、くれぐれも他の人の迷惑になるような事はしてはいけない。
未成線の例
- 成田新幹線
- 東京駅と成田空港を結ぶ予定だった新幹線。地元住民の反対にあい計画凍結。一部は成田スカイアクセスに転用されている。東京駅の京葉線ホームが遠く離れた場所にあるのは、元々ここを成田新幹線の駅とし、通路上に検問所を置く計画だったため。
- 上越新幹線新宿駅~大宮駅間
- 基本計画上は現在も有効であり敷設用の空間も確保されているが実現に向けた動きはない。しかし、将来大宮以南に直通する列車が増えた場合には状況が変わる可能性もある。
- 若江線→琵琶湖若狭湾快速鉄道
- 現在の湖西線開通以前、膳所-近江今津間に存在した江若鉄道の未成区間を引き継いだ計画で、近江今津から小浜線の上中駅までの約20kmを建設するもの。明治期より続いてきた計画で福井県を中心に推進していたが、北陸新幹線が敦賀〜小浜〜京都と経由することで合意したため、意義が失われたことから計画は消滅した。JRバスが同線ルートを走っている。
- 今福線
- 可部線を山陰本線の浜田駅まで延伸する計画。国鉄再建法によって計画が凍結されたばかりか、可部線としてすでに開業していた可部-三段峡間も2003年末をもって廃止されてしまった。
- 中津川線
- 飯田線飯田駅と中央西線中津川駅を結ぶ計画だった路線。トンネル建設が滞るうちに沿線の興味が当路線の建設よりも中央新幹線の誘致へと移り、並行する中央自動車道の開通により計画が完全に頓挫した。
- 油須原線
- 漆生線(廃線)の漆生駅から田川線の油須原駅までを結ぶ予定だった路線。筑豊炭田と福岡県東部の苅田港との間を短絡する路線であり大部分が完成していたが、すでに筑豊も含め日本の石炭産業は終焉に向かっておりこの路線の必要性ももはや失われていたため、国鉄再建法に基づき計画が凍結された。
- 根北線
- 釧網本線の知床斜里(当時は斜里)から標津線(廃線)の根室標津までを結ぶ予定だった路線。戦争中での工事だった事から途中で凍結されてしまい、斜里から途中の越川までの路線になった。そして、国道整備によって開業してから僅か13年で廃止となった。
越川以東も工事が進められていて、有名な越川橋梁もその未成区間にある。開業した区間は畑地や自然に帰っているのに、1度も列車が通ったことない橋梁が文化遺産として残されているのはある意味、皮肉である。 - 呼子線
- 筑肥線の虹ノ松原駅から分岐し、唐津線の唐津駅・西唐津駅を経由して呼子町(現:唐津市呼子町)までを結ぶ計画だった路線である。ほぼ全線にわたりトンネル・高架橋等の工事は完了していたものの、工事は中断。しかし、需要の見込まれる虹ノ松原~唐津間は筑肥線に組み込まれることで工事が続行され、無事に開業した。残る区間も開業を目指したものの、結局工事が再開されることはなかった。
- 尼宝線
- 読み方はあまほう。1923年に尼崎宝塚電気鉄道が阪神の出屋敷駅から宝塚市内までの免許を得ると、阪急(箕面有馬電気軌道→阪神急行電鉄)の神戸進出に危機感をつのらせた阪神がこれに目をつけ、傘下に収めた。起点を尼崎駅に変更して工事は着工されるが、尼崎市から市内の高架化を要求されるなど様々な事情が重なって難航する。結局、1929年に鉄道としての開業を断念し、有料自動車専用道路に転換することとなった。この道路は阪神国道自動車(現:阪神バス)が使用していたが、1942年4月2日に兵庫県に買い上げられて一般に開放された(現:兵庫県道42号尼崎宝塚線(尼宝線))。
現在免許が取得されている未成線
着工済みまたは開業年度発表済みの路線は除外する。
- 京成千原線(ちはら台駅~海士有木駅)
- 小湊鉄道が1950年代に申請し取得。その後、千葉急行電鉄→京成電鉄と免許が移管されている。京成千原線のうち、京成千葉駅~ちはら台駅は開業済みだが、沿線のニュータウン開発の遅れによって乗客は少ない。このため、この免許は事実上凍結状態となっているが、京成は免許を更新し続けている。
- 相鉄いずみ野線(湘南台駅~平塚駅)
- 相模鉄道が1960年代後半に申請し取得。相鉄いずみ野線のうち、二俣川駅~湘南台駅は開業済みだが、残る区間は着工の目処は経っていない。最近では慶應義塾大学湘南藤沢キャンパスまで先行開業させる案が浮上している。
- 大阪港トランスポートシステム北港テクノポート線(夢洲駅〜新桜島駅)
- 大阪港トランスポートシステムが2000年に取得。Osaka Metro中央線(取得当時は大阪港トランスポートシステムテクノポート線で、後の大阪市営地下鉄中央線)と直通する計画であった。2008年に大阪でオリンピックを開催する構想があり、そのアクセス路線として計画されたのだが、誘致に失敗したことによりコスモスクエア駅〜夢洲駅間の道路共用トンネルを作っただけで放置状態に。その後、2025年の万博誘致に成功したため、コスモスクエア駅〜夢洲駅間は2024年度に開業させることになったが、夢洲駅〜新桜島駅間は相変わらず放置されている。新桜島駅が中途半端な位置にあり不便であるため(計画当初はJRゆめ咲線を新桜島駅まで延伸する構想であった)、IR開業に向けて夢洲駅で分断した上で京阪中之島線またはJRゆめ咲線と直通する構想がある。ただし、IRの集客力が不透明であることから当面棚上げ状態である。
その他
- 月尾銀河レール
- 韓国・仁川駅から月尾島を周回するモノレール。
路線も完成し、試運転にまでこぎ着けたまでは良かったが、安全上のトラブルが多発した事、それに伴いいい加減な施工が判明したことから運行休止。何度も再開計画が白紙化され、未成線になると見られていたが、「月尾海列車」として2019年に開通した。
- 有楽町線支線(豊住線)
- 豊洲駅の新木場寄りから分岐して押上方面に至る計画の路線。豊洲駅・住吉駅が本計画を考慮した設計となっている以外は長年まったく着手されていなかったことから、長年未成線の代表格とされていた。しかし、近年になって実現に動き出し、2021年には東京メトロが上場する代わりに事業化することで合意した。2022年に東京メトロが事業取得申請を行っており、2030年代半ばに開通予定とされている。なお押上から先は吉川市や野田市などが要望する「東京直結鉄道」という構想が存在するが、こちらは実現の見通しは経っていない。
- 阪急新大阪連絡線(十三駅~新大阪駅)
- 阪急電鉄が1960年代前半に申請し取得。十三駅~新大阪駅~淡路駅、新大阪駅~神崎川駅の免許を取得後、用地買収が行われたが、その後計画は停止し、2003年に新大阪駅~淡路駅、新大阪駅~神崎川駅の免許が消滅した。残された区間も特に計画は進展していなかったが、なにわ筋線と直通するなにわ筋連絡線構想と組み合わせることになり、2031年度のなにわ筋線開業との同時開業に向けて動きが進んでいる。
関連動画
関連項目
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