札幌市交通局6000形電車とは、かつて札幌市交通局が保有し、東西線で運行していた地下鉄用車両である。
概要
南北線用2000形と異なり18mボギー車で、1500V架線集電式の車両である。1976年の東西線開業に合わせて導入が開始され、1982年までに24編成144両が揃えられた。その斬新で市民のみならず観光客までも魅了したデザインが評価され、1977年度鉄道友の会ローレル賞を、市営地下鉄の車両としては唯一受賞した。
この大幅な仕様変更が行われた背景には、南北線の利用者数が想定をはるかに超えていたことがある。東西線では大量輸送に耐えるように施設から車両まで設計変更が行われ、車両の大型化のみならず、最長9両編成への増結も視野に入れている。また2000形の運用により得られた経験も可能な限り反映している。
車体・内装
2000形と異なり丸みが乏しく、左右の窓周囲にプレスが入るなど複雑な形状となっている。中央非常扉上部に大きな北海道と真ん中にS(札幌)を配したマークをあしらい、強いインパクトを与えた。2000形と異なり行先表示器を持たない。カラーリングは薄黄緑にベージュを組み合わせた複雑な塗り分けであるものの、ラインカラーのオレンジは全く反映されていない。
試作車となる第1編成のみ2000形譲りの丸みの強いデザインで、先頭車上部にはSマークの代わりに車番の「6101」「6901」が大きく掲げられている。この独特な外見は「プロト車」とも呼ばれ、一部のファンから愛されていた。
内装は暖色系ストライプの地色に時計台や赤レンガ庁舎など札幌のランドマークがプリントされた化粧版を採用、貫通路はすべての連結面で広幅の六角形となり、後の車両にも継承された。オールロングシートで当然網棚は無い。
走行機器等
前述の通り一般的なボギー車となり、駆動台車に案内車輪が取り付けられている。タイヤの改良により南北線車両のダブルタイヤからシングルタイヤになり、保守負担の軽減が図られた。全線地下で大きな起伏を持たないことから全電動車式ではなくなり、4両編成で2M2T(6両編成で3M3T)の組成となった。電動機出力は70kw、制御方式は電機子チョッパ制御、制動方式は回生制動付電気指令式で、熱の発生を極力抑制している。またATO(自動列車運転装置)の搭載により、開業当時は自動運転を行っていたが、その後自動運転を取りやめ、1991年頃にATOが撤去された。
経過~引退
東西線開業時は最大連結両数の半分以下である4両編成にて20編成が導入された。1982年の新さっぽろ駅延伸時に2両が増結され6両編成となったほか、6両4編成が追加導入された。この追加編成は若干の仕様変更が図られている。1999年の宮の沢駅延伸時にはさらに1両が増結され7両編成となったが、増結車は6000形ではなく、8000形の中間車がカラーリングを揃える形で組み込まれた。
そんな札幌の名物車両も老朽化が進んだことと、先に投入されていた7000形・5000形のデザインと統一するために、2002年から8000形への置き換えが進み、2008年8月30日を持って営業運転を終了した。最終電車には特別塗装が施され、最終到着駅となった新さっぽろ駅には鉄道ファンのみならず、市民も数多く集まった。
保存場所や費用の都合上1両も保存されず廃車となったが、2009年に交通資料館で行われたイベントでは、廃車部品を組み合わせたオブジェが展示された。また、札幌市青少年科学館では実物大モックアップ(川崎重工謹製)を展示しており、運転席の装置を操作してモータを回すことも可能。
関連動画
関連項目
南北線 | 東西線 | 東豊線 | |
---|---|---|---|
現行車両 | 5000形 | 8000形 | 9000形 |
引退車両 | 2000形 - 3000形 | 6000形 | 7000形 |
- 2
- 0pt