札幌市営地下鉄とは、その名の通り、札幌市交通局が保有する地下鉄路線である。
2023年現在、3路線が運行(営業)されている。
概要
札幌市内の公共交通は、路面電車(札幌市電)とバス(市営バス、中央バス等)が充当されていたが、輸送力が小さく、冬季は積雪による交通障害が遅延を常時発生させており、対策が求められていた。加えて1960年代以降の人口増加・市街地の拡大(住宅地の郊外移転)は、自動車の増加による渋滞の深刻化や運行距離の増大に伴う冬季以外の遅延の慢性化も引き起こしていた。
ちなみに当時国鉄(現・JR北海道)の鉄道路線は、札幌市内交通をほぼ顧みない運行状況であり、且つ冬季に障害が生じる点は市電やバスと変わらなかった。
おりしも1972年に日本初の冬季オリンピック大会を開催することになり、さらに増大の見込まれる旅客需要に対応するべく、3大都市圏以外で初めての地下鉄建設が決定され、1971年に南北線(北24条駅~真駒内駅)を運行開始した。都市規模・財政的に無謀とみられたが、開業すると想定以上の利用があり、その後1999年までに3路線48.0㎞の路線を建設するに至っている。
一般的な鉄軌道ではなくゴムタイヤ方式を日本で唯一採用しているが、これは騒音低減と高加減速・急勾配対応を両立させるために、フランス・パリの地下鉄を参考にして、建設当時の札幌市交通局局長であった大刀豊により提案されたものである。
その一方で市電は急速に廃止が進行したが、全廃は免れたばかりか、中心部の終点同士を繋いだループ化を果たした。→「札幌市電」
冬季に遅延しない交通機関として信頼されて利用者数は増大したが、平成以降は増加ペースが鈍化し、2000年代以降は横ばいの状況である。また長く建設費償却負担が重く、交通局ひいては札幌市の財政悪化の遠因となっており、市営バスの民間全面移譲という結果を招いた。もっとも近年は改善傾向にあるが…ファイターズ移転がどう響くか…。
ちなみに、21世紀になった現在でも全車非冷房である。もともと札幌市の平均気温が低く、真夏日になることが珍しいためであるが、バスにおいては旧市営バスでも1990年代から冷房が取り付けられたのとは大きな違いである。
また、送風機だけではなく窓も開放するために、ゴムタイヤ式ならではの静粛性がさらに薄れ、夏場は騒音の激しい車内となる。いい加減、冷房取り付けようよ...。
路線一覧
記号 | 路線名 | 区間 | 距離 | 駅数 |
---|---|---|---|---|
N | 南北線 | 麻生駅~真駒内駅 | 14.3㎞ | 16駅 |
T | 東西線 | 宮の沢駅~新さっぽろ駅 | 20.1㎞ | 19駅 |
H | 東豊線 | 栄町駅~福住駅 | 13.6㎞ | 14駅 |
料金[1]
記載されているのは大人料金です(小児半額・10円未満切り上げ)。
区分 | 地下鉄のみ | 乗継料金 札幌市電 |
乗継料金 バス1区 |
乗継料金 バス2区 |
---|---|---|---|---|
1区(~3km) | 210 | 330 | 340 | 370 |
②区(3~5km) | 250 | 370 | 360 | 390 |
2区(5~7km) | 380 | 410 | ||
3区(7~11km) | 290 | 410 | 420 | 450 |
4区(11~15km) | 330 | 450 | 460 | 490 |
5区(15~19km) | 360 | - | 490 | 520 |
6区(19~21km) | 380 | - | 510 | 540 |
乗継可能なバス会社
乗車券一覧
ICカード
磁気カード
- 共通ウィズユーカード(販売終了、2015年3月31日まで有効)
- 昼間割引カード(販売終了、2015年3月31日まで有効)
- 地下鉄専用1DAYカード
- ドニチカキップ
(地下鉄専用1DAYカードと同じ。ただし、土日、祝日、振り替え休日のみ利用可能) - 共通1DAYカード
懸案事項
- 2023年現在、地下鉄の走っていない区は手稲区と清田区である。手稲区には元々JR函館本線が区内を横断するように走っているのに対し、清田区は今に至るもバスのみとなっている。
東豊線には北野方面に向かう延伸計画はあったものの、現在の運行区間とは異なり、計画自体も白紙にされている。
近年では住宅地が増えて人口も増加しているだけでなく、幹線道路の渋滞も深刻になっており、地元住民からは延伸の要望も根強い。札幌市電をループ化するより、こっちが先だろ、JK。 - 各路線の乗換駅は、大通駅とさっぽろ駅の2つしかない。また、JR北海道への乗り換えも、さっぽろ駅と新さっぽろ駅の2つのみとなっている(琴似駅、白石駅はJRの同名駅との距離が長い)。
特に市の南東部においては3線がほぼ平行に走る区間があるが、乗換には遠回りをする必要がある。
他の地下鉄運行地域と異なり、私鉄が運行されていないことや、JRの路線にも市内を縦断する路線が存在しないなど、市の南部にバイパスとなりうる路線がない不利な状況にある。
これに対し、そうした目的の環状型の路線については計画すら立てられていない。 - 札幌のベッドタウンとなっている石狩市への地下鉄の延伸計画もいくつか立てられていたが、いまだに実現していない。また、麻生駅または栄町駅からモノレールを敷設する計画もあったが、これも白紙となっている。
関連動画
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関連項目
関連リンク
脚注
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