東京メトロ05系とは、1988年11月16日に営業運転を開始した、東京メトロ東西線・千代田線の通勤型電車である。
本稿では、当形式とほぼ共通仕様で製造された東葉高速鉄道2000系についても記述する。
概要
東西線で使用されていた5000系の置き換え用として製造された車両である。
アルミニウム合金製片側20m4ドアの10両編成の形式である。
・・・が、全ての車両に共通して言えるのはこれくらいである。1988年から2004年までの長期にわたり、幾度も仕様変更を重ねながら製造されたため、第1編成と最終増備編成では似ても似つかない車両となってしまっている。
通常、前面形状が大幅に変更された8次車以降を05N系(N05系とも)と区別される場合が多いが、それぞれの区分内においても多くの仕様が存在する。
以下、大まかな区分ごとに解説を行う。
1~4次車(第1~13編成)
05系で最初に投入されたグループである。1988年度~1991年度にかけて製造。
高周波分巻チョッパ制御を採用し、主電動機出力は160kWhとし、5M5Tの編成、台車はSUミンデン式ボルスタレス台車を採用している。
なお、1次車は5000系ではなく、東西線暫定導入分の半蔵門線用8000系を置き換えている。
車外スピーカーは製造当初より設置しているが、1次車に関しては自動放送装置は落成後しばらくは設置していなかった。
車内案内表示機は1段式LEDである。1・2次車と3・4次車では形状が異なっている。
運転台は2ハンドル式である。
後年の15000系投入に伴い、このグループの車両はすべて運用を離脱しており、一部がインドネシアのジャボタベック鉄道に譲渡された。
第14編成
4次車の最終増備編成として製造された車両だが、ワイドドア車体とVVVFインバータ制御の試験編成として製造された。
インバータは三菱電機製の1C4M2群式で、05系唯一のGTOサイリスタを採用している。編成構成は4M6Tで、主電動機出力は200kWhである。
行先表示機はこの編成以降LED化された。
ワイドドア車体のため、座席配置は2-6-6-6-2と通常の車両より少ない。
なお、この編成は2012年に05系最初のB修繕工事を受けている。
5次車(第15~18編成)
1992年度製造のワイドドア車の量産車。制御方式は再び高周波分巻チョッパ式に戻されている。
6・7次車(第19~24編成)
1993年度・1994年度に製造。
このグループから主制御装置に本格的にVVVFインバータ制御が採用された。
インバータは東芝製の3レベル式IGBT素子の物を採用。第14編成とは異なり各電動車は個別制御である。
主電動機出力は205kWhで、台車はモノリンク式ボルスタレス台車に変更された。
このグループからドア間隔が変更され、それに伴い座席配置も4-6-7-6-4に変更されている。
この他にも車外スピーカーをクーラーキセ内蔵型に変更されたり、空調に「全自動モード」が追加されるなど、細かな仕様変更を受けている。
第24編成は一部部材に5000系アルミ試作車から回収されたアルミ材を再利用した「アルミ・リサイクルカー」であり、前面と側面にステッカーが張り付けられている。
8・9次車(第25~30編成)
1999年度・2000年度に製造。
7次車の製造から5年経過した後製造されたグループで、大幅な仕様変更を受けている。具体的には
- 前面形状の変更と簡易排障器の設置
- 帯色の変更(白帯に挟まれた青帯の濃淡差を大きくし、上側の青色を紺色に近いものに変更)
- 乗務員室の内装変更と左手操作型ワンハンドルマスコンへの変更
- 座席を片持ち式に変更し、袖仕切りを大型化
- 制御装置を三菱製2レベルIGBTに変更、ベクトル制御とし、1C2M2群方式に変更
といった点が挙げられる。
なお、このグループから車内案内表示機と自動放送が乗り入れ他社線の案内にも対応している。
10次車(第31~33編成)
2001年度製造。
基本的には8・9次車と変わらないが、クーラーの能力向上や補助電源装置の変更(DC-DCコンバータからSIVに変更)を受けている。
なお、VVVFインバータは日立製作所製に変更された。
11・12次車(第34~39編成)
2002年度・2003年度製造。
半蔵門線08系と各種設計を共通化し、随所に08系との共通点を見出すことができる。
ドア間隔は一般的なものに戻され、座席配置も3-7-7-7-3に戻されている。
座席の袖仕切り形状も08系と共通の物になり、形状が変更され、7人掛け座席には3-4区分でスタンションポールが設置されている。
パンタグラフはシングルアーム式となった。
機器面も08系と共通設計となり、08系が東急田園都市線内で必要とされた主に高速域での性能向上がそのまま当グループにも反映されている。
編成構成は5M5Tに変更され、主電動機出力は165kWhに、歯車比は高速向けに設計変更された。
VVVFインバーターは1C4M制御1群ないし2群とされた。製造メーカーは11次車が三菱製、12次車が日立製。
なお、08系と異なり前面の行先表示機のドットは荒いままで英字併記無し、車内表示機も1段式のままである。
2014年11月、第11番編成の行先表示機がフルカラーLED化された。先に登場していた15000系や05系B修繕車と異なり、全面フルカラーとなっているものの、行先と直通先の交互表示は行わない。但し、行先表示は同時期にフルカラー化された08系と異なりゴシック体に変更され、併せて前面の行先表示機も英語併記になった。
なお、同時に車内照明のLED化も行われた。
13次車(第40~43編成)
民営化後の2004年度に製造された05系の最終増備グループ。
東葉高速鉄道2000系と共通設計であり、東葉2000系も東京メトロが一括して発注し、そのまま東葉高速に譲渡する、という形を採っている(実質上は東葉高速の新車であるが)。
日立製作所の「A-Train」鋼体を採用し、座席袖仕切り形状などに他社のA-train鋼体採用車との共通点を見出すことができる。
なお、このグループでは車体構造が従来の「セミダブルスキン構造」から「ダブルスキン構造」に変更され、屋根構造も張り上げ屋根方式に変更になっている。
日立製作所提唱の鋼体を採用し、製造メーカーも日立製作所ながら、主制御装置は三菱電機製となっている。主電動機出力や編成構成は11・12次車から変更は無い。
ただし、このグループのみ純電気ブレーキに対応している。
なお、このグループでは車内案内表示機がこれまでの全扉上配置から千鳥配置式に変更となっている。
東葉高速鉄道2000系
05系の13次車と共通設計として2004年から2006年まで増備された車両。
書類上は東京メトロが05系と一括発注し、そのまま東葉高速鉄道に譲渡したことになっているが、実質東葉高速鉄道の新車である。
東葉1000形(もとは営団5000系)の置き換え用として導入されたが、1編成は輸送力増強用である。
基本的には05系13次車から内外装の色やデザインを変えただけの存在であるが、JR線用の設備の一部(ATS-Pや列車無線など)が装備されていない。ただし、行先表示機や放送装置のフォーマットは05系と全く同じものを搭載したので、JR線の行先表示も出せるうえ、JR用自動放送も搭載している。
なお、前面の形状もN05系ほぼ同一ではあるものの、灯具類周りの処理が05N系とは微妙に異なる。
このように、05系13次車の色彩違いと言っても差し支えない車両ではあるものの、05系で現在行われているつり革の増設が東葉2000系では実施されていない。
東西線内での自動放送・車内表示機更新もなされていなかったが、05系・15000系全車の更新が終わった後に更新が行われた。
B修繕工事
05系でもワイドドア化に伴う15000系置き換え分を除き、B修繕工事が行われることになった模様である。
現在のところ、ワイドドア車(第14~18番編成)が施工対象として発表されている。
2015年3月現在、第14番編成・第18編編成が施工を受けている他、第16番編成が工事中となっている。
- 前面に簡易排障器を設置・前面車番を帯位置に移設
- 編成の組み替え
- 帯を05N系同等に変更
- 車内袖仕切りの大型化(02系施工分・8000系後期施工分と同等)
- 車内化粧板の張り替え
- 車内表示機をワイド17インチ液晶型に変更(15000系と同じ内容をセサミクロによるアニメーション表示)
- 相互直通他社線内の自動放送への対応
- 運転台の交換(左手操作型ワンハンドルマスコン)
- VVVFインバータを16000系と同等のIGBT方式に変更
- 主電動機をかご型三相誘導電動機から永久磁石同期電動機(PMSM)に変更
- パンタグラフをシングルアーム式に変更
- 行先表示機をフルカラー&白色LED式に変更
- 車内照明のLED化(第18番編成以降)
また、15000系置き換え分の一部は3両編成に短縮され、千代田線の北綾瀬支線に転属し、2014年4月28日に運転開始。5000系と6000系(試作車)を置き換えた。
- ラインカラー帯を千代田線に合わせて緑系の3色に変更
- ラインカラー帯を窓枠上部に追加
- 前面行先表示器を8色カラーLEDに変更
- 側面行先表示器は廃止
- 車内表示機をワイド17インチ液晶型に変更
- 運転台の交換(両手操作型ワンハンドルマスコン)
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