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東急7200系とは、1967年に登場した東急電鉄の通勤型電車である。
本稿では当形式から改造された7600系についても記述する。
概要（7200系）
67年から72年にかけ53両が登場し、東急の鉄道各線で運用された。
東急では輸送力増強としてこれまで7000系（初代）を増備していたが、全電動車編成は東横線の急行運用以外では過剰性能であったため、導入費・保守費がネックとなっていた。
そこで、MT比を1：1とした7000系のモデルチェンジ車として設計・登場した。
車体はオールステンレス製の18m・3ドア級車両（後述するアルミ試作車は除く）であり、正面は「ダイヤモンドカット」と呼ばれる特徴的な形状を有する。
電機品は7000系同様、日立製と東洋製の2種類を採用しているが、7000系と異なり東洋製電機品車は50番台に区分されている（当初は区分なしだったものの、後に改番された）。ただし7000系と異なり、両者とも運用が共通だったため番台区分はあまり意味をなさなかったようである。
日立製・東洋製ともに抵抗制御式で回生ブレーキを有する。主電動機出力は両者ともに110kWであり、歯車比も5.73と共通となっており、7000系に比べると幾分かの仕様共通化が図られている（ただし、相変わらず互換性は無い）。
台車は、電動車がTS-802形、付随車がPⅢ-707形パイオニア台車とした（T車は後に交換）。
車両限界を地方鉄道車両定規に納め、東急鉄道線全線に入線可能とした（現在は車両限界が全線で7000系が対応する幅となっている）他、7000系に比べて屋根高さを高くし、以後も東急の車両の天井高さは通勤型電車の中では高い方になっている。
また、東急で初めてバランサ付き1段下降窓を採用。
最終増備の編成では冷房装置を取り付け、池上・目蒲線初の冷房編成となった（他編成も後に冷改）。
最終的に目蒲線で活躍したものの、同線の分割に伴い2000年8月4日に定期運用を終了し、同年11月12日にさよなら運転を行った。
車両形式
- デハ7200（Mc）
- 渋谷向きの制御電動車。日立車12両・東洋車10両・アルミ試作車1両が製造された。
- デハ7300（M）
- 1969年登場の中間電動車。日立車2両・東洋車1両が製造された。
当初は4両用中間車を想定したためMGとCPを搭載していなかったが、3両化時に搭載した。 - デハ7400（M）
- 1969年登場の中間電動車。日立車2両・東洋車2両が製造された。
補機類搭載のため、デハ7300型とは形式が分けられた。 - クハ7500（Tc）
- 桜木町向き制御車。日立車12両、東洋車10両、アルミ試作車1両が製造された。
冷房化後は冷房電源用のMGないしはSIVを搭載した。
アルミ試作車（→事業用車）
東急車輛製造のアルミ車製造技術習得とステンレス車との比較試験のため、デハ7200-クハ7500の2両が登場した。
外見はステンレス車とほとんど変わらないが、コルゲートの量がステンレス車より少ない。
当初は無塗装でステンレス車とともに運用されたが、汚れが目立つためメタリックグレーに塗装された。
後に1989年までこどもの国線専用車として運用されたが、田園都市線ATC化に伴い、先代の事業用車が運用できなくなるため、事業用車（総合検測車）に改造された。
デハ7200号は両運転台化の上デヤ7200に、クハ7500号は電動車化・両運転台化の上、架線検測機器を搭載しデヤ7290となった。改造型の運転台は切妻・配管露出・行先表示は車内からの掲出という簡易構造となっている。
両者ともATCに対応し、マスコンもワンハンドルとされたが、ブレーキは電磁直通式HSC-RをHRDに近い構造に無理やり改造して使用している。
なお、9000系などのHRAブレーキを読み替える事も可能だが、3000系などのHRDAブレーキには対応していない。
1998年には軌道検測車であるサヤ7590号を新造し、デヤ車2両に挟んで、検測時はデヤ7200＋サヤ7590＋デヤ7290の編成で使用している。
なお、2012年春に新型の検測車「TOQ-I」が登場し、同年2月26日にさよなら運転が行われた。
しかし、その後も池上線・東急多摩川線の車両の検査入出場に使用され、さよならしたはずの車両が仕事をこなしてしまった。
なお、4月1日現在、緊急予備車両として在籍しており、9月1日現在も長津田車両工場に留置されている。
その後も動きが無いまま、なんとそのまま2012年度は緊急予備車両のまま過ごし、籍を有したまま2013年度を迎えるというある意味異常な事態が発生していた。
そんな奇跡的な存命を続けていたデヤ2両だが、2013年11月10に等々力陸上競技場で行われる川崎フロンターレの試合前場外イベントとして行われる「川崎の車窓から～東急フェスタ～」において「旧事業用車最後の展示
」として展示され、同時にこの展示を持ってデヤ2両が正式に廃車となることが発表された。
デヤ7200形は廃車搬出の途中でこのイベントで展示されたが、デヤ7290形はそのまま長津田車両工場内に留置され続けていた（緊急予備車両として車籍も残ったまま）が2015年2月6日に廃車搬出された。
譲渡
アルミ試作車2両と、後述の7600系に改造された9両を除く42両全車が上田交通（→上田電鉄）・豊橋鉄道・十和田観光鉄道に譲渡された。
2011年12月現在、36両が営業使用されている。
- 上田電鉄7200系
- デハ7200形・クハ7500形5両ずつの計10両が譲渡されている。
後に1000系が譲渡され、6両が廃車となった。うち2両が豊橋鉄道に、2両が東急車輛に譲渡されている。 - 豊橋鉄道1800系
- デハ7200形15両・デハ7300形3両、デハ7400形4両・クハ7500形9両の計31両が譲渡された。
デハ7200形のうち3両は部品取り車となったが、2001年に火災事故により2両が廃車されたためその代替として2両が使用され、残る1両も上田電鉄から2008年に譲渡された2両と組んで3両で運用されている。 - 十和田観光電鉄モハ7200形
- デハ7200形2両が両運転台化の上譲渡された。
ただし、新設運転台側は切妻構造である。
2014年6月大井川鐵道へ譲渡のため輸送された。
概要（7600系）
7200系を全車池上線・目蒲線に集約した際、MT比を1:1から2:1に変更したため、電動車が不足し制御車が過剰となる事態が発生した。
そこで、過剰となる制御車の一部を電動車化して対応することになった。この改造では同時期に登場していた9000系と同様にVVVFインバータ制御・交流誘導電動機使用とされ、もはや7200系とは言えないことから新形式である7600系とされ1986年に登場した。
ただし、9000系とは異なり1C8M方式とされ（9000系は1C4M）、制御装置は東洋電機製とされた（9000系は日立製）。
M車の台車は8000系などとほぼ同等の「TS-831形」とされ、同時に冷房改造もされた。
当初、デハ7600-クハ7650の2連3本が改造され、従来の7200系とともに面倒くさい組成をされて運用されていた。
しかし、後に全編成池上線に集約される際に第1編成と第2編成は1C4Mに変更され、デハとクハが両者すり替わり、7200系クハ7500形2両がデハ7650形（ただし形態が違うため7660番台に区分）に改造されるなど、これまた色々面倒な事をやってしまっている。
第3編成は当初デハ7200形を端に組み込み3両で運用されていたが、1990年になってこのデハ7255を外し、他からデハ7400をVVVF化の上デハ7400形7673号（すなわち何故か形式区分上は7200系のまま）とし編成中間に連結（余った7200系の電動機類はデヤ7290形に流用）した。これも分かりにくい改造である。
なお、この頃にクハ7600形の台車がM車とほぼ同等のTS-839形付随台車に交換されている。
1994年の池上線ワンマン化に合わせて、対応工事と更新工事が行われた。
いわゆる歌舞伎塗装になったほか、中間に運転台が入っていたデハ7651・7652号は運転台撤去の上座席を新設（ただし、外見上は乗務員室扉があるように見えている）、冷房風洞を一体式に更新の上ラインデリアを新設、さらに行先表示機のLED化と側面表示機の新設など、かなりの改造を行い、デハ7661・7662はそれぞれデハ7670形デハ7681・7682に改番された（この時晴れて7671号もデハ7670形となった）。
7670形なのに80番台に車号が区分されたのは、7671号と異なり先頭車からの改造車だからである。
最終的な編成は以下の通り。
- クハ7601-デハ7681-デハ7661
- クハ7602-デハ7682-デハ7662
- クハ7603-デハ7673-デハ7653
その後、7603Fはシングルアームパンタに改造された。しかし、新7000系投入に伴い、7600系の中では真っ先に廃車となった。何故交換した・・・。
さらに老朽化及び故障が頻発する為1000系1500番台投入により7700系に先駆けて置き換えが行われ、7602Fが2014年7月に運用を離脱した。
残る7601Fは2014年11月に外板の装飾を全て取り払い、7200系時代をイメージした「Classic Style」として運用に就いた。
しばらくは他車と共通運用だったものの、2015年1月4日を最後に終日運用を終了。以後は平日朝ラッシュ時に雪が谷大塚～五反田間でのみ運用する日が続いた。
その後、2月7日に「ありがとう7600系イベント」が蒲田駅にて開催され、06運行を06-112列車まで担当していた1503Fから引き継ぎ、06-111列車から久しぶりの日中走行を行った。結果としてこれが最後の日中走行かつ雪が谷大塚～蒲田間での営業運転となった。
2月12日に7500系TOQ-iの牽引で長津田車両工場まで回送、ここに7600系は全車引退となった。
なお、Classic Styleになってから東急多摩川線内を走行したのはこの廃車回送のみであった。
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