松葉とは…
本記事では1について説明する。
概要
需要があるのか知らないが、せっかく松葉の記事があるので、マツの葉の形態について説明しておく。葉以外の部分についてはマツの記事を参照のこと。
松の葉といっておそらく最もイメージされるのは、2つの細長い葉がつけ根で合わさってV字型になっているものだろう。このような葉をつけるマツは「二葉松」といい、日本のマツではクロマツ・アカマツなど、普段身近な場所で見られるマツがこれに含まれる。もう一つのグループが「五葉松」で、ヒメコマツ・ハイマツ・チョウセンゴヨウなどちょっと身近でないマツたちがこれに含まれるが、これらの葉はその名の通り5つで1セットになっている。海外には3つで1セットの「三葉松」のグループもある。
針葉樹の一種であるマツであるが、その葉はまさに針のようである。二葉松の針葉の断面は半円、五葉松の針葉の断面は中心角72°の扇形になっているが、このことから予想がつくように、1セットをなす全ての針葉をぴったり隙間なく合わせると必ず全円になるのが特徴である。また、マツの針葉は表と裏が区別できないので「等面葉」とよばれるが、内部構造を見れば区別することができる。
マツの針葉の1セットは、そのつけ根を観察すると分かるのだが、ごく短い枝(その名も「短枝」という)から束になって生えている(その名も「束生」という)ことが分かる。マツの葉が落ちる時、この短枝も一緒に落ちるので、地面にあるマツの葉は、じつは「落ち葉」ではなく「落枝」とよぶのが適当である。
利用
松の葉そのものを串の代わりにして、銀杏やつくねなど、小さく柔らかいものを指す「松葉刺し」という料理がある。
「松葉いぶし」とは、生の松葉をいぶして煙を立て、対象を責める一種の拷問である。「狐憑き」とよばれた精神異常者から、行者や神職などが狐を追い出すための呪法(狐落し)としてよく行なわれたが、酸欠などで対象を殺してしまうこともしばしばだったようだ。
ラプサン・スーチョン(正山小種)という紅茶は、松の葉で燻すことによって正露丸のような強い香りがついているのが特徴。「好みが分かれる」と紹介されることが多いが、ということはこの香りを好む人がいるということである。
比喩
松葉のような形(※ただし二葉松に限る)をしているものには「松葉」の名を持つ物が多い。
- 例えば食材を松葉の形に切ったものは松葉のり・松葉ゆず・松葉かまぼこ・松葉いか・松葉ごぼう…などとよばれる。小魚のおろし方にも「松葉おろし」というものがある。
- 松葉杖とは、医療用に使う杖の一種で、主に足を骨折した時などに使用される。意識して見てみれば一目瞭然だが、持ち手側が二股に分かれていることからそう名づけられた。2本使うことを両松葉、1本使うことを片松葉という。
- 山陰地方で獲れるズワイガニのオスのことを「松葉ガニ」というが(メスは「セコガニ」)、その名前の由来についてはよくわかっていない。松の葉で蒸し焼きにしたことからとも、脚の形が似ているからとも、脚の肉の広がり方が似ているからともいわれる。最近では、漁港独自のブランド力の強化と他との差別化を図り、津居山ガニなどと名称が変わりつつある。
- 「松葉崩し」とは四十八手の一つであり、変則的な体位だがカテゴリとしては「交差位」または「側位」に含まれる。交差する両足を2枚の松葉に見立てた命名である。派生形に「立ち松葉」がある。
その他・豆知識
- 身近なクロマツとアカマツの簡便な見分け方として、針葉の先端を触ってみるというものがある。痛かったらクロマツ、痛くなかったらアカマツ。ごくシンプルである。
- 九州大学の校章には松葉がデザインされている。創立当時は大学の周りに松原が広がっていたのだという。
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