桂さんとは、苗字もしくは名前に「桂」が付く人物への敬称である。ネットでは、以下挙げた人達に使われることが多い。
- 桂小五郎 - 幕末の志士、明治時代の政治家。後の木戸孝允。
- 桂小太郎 - 漫画「銀魂」の登場人物。
- 天上院桂 - アニメ「YAT安心!宇宙旅行」の登場人物。
- 桂 - ライトノベル「マリア様がみてる」の登場人物。
ここでは、4.について解説する。
概要
福沢祐巳のクラスメート(初年度)で、テニス部所属。入部してすぐに部活の先輩と姉妹(スール)になった。これといった特徴のないごく普通の生徒で、山百合会への認識もごく一般的な憧れ程度。ミーハーで周りに流されやすいところがあり、黄薔薇革命で島津由乃が支倉令にロザリオを返した時、便乗して一時姉と姉妹を解消してしまったことがある(由乃と令が仲直りすると、こちらもすぐに復縁した)。
当初は祐巳の親友としてそれなりに出番があったが、祐巳が小笠原祥子の妹(プティ・スール)となって山百合会に入ると、クラス内の描写と比例するかのように登場回数が減っていく。そして決定打となったのが、2年生進級時のクラス替えである。祐巳と違うクラスになった桂さんは藤堂志摩子と一緒のクラスになるが、志摩子は同じ山百合会のメンバーとして今まで通り活躍するのに対して、一般生徒の桂さんは祐巳と疎遠になってしまう。アニメ(一期・二期)が放送された連載中期の頃には、名前すら全く出てこない、忘れられた存在になってしまったのである。
桂さんの不幸伝説
桂さんの不遇なところは出番だけではない。原作1巻からの古参キャラにも関わらず、現在に至るまで未だに苗字が不明である(リリアン女学園では、同級生に対して名前で「○○さん」と呼ぶのが普通で、苗字で呼ばれることはまず無い)。短編集を含めて、一回限りのゲストキャラでもフルネームがある人は多いのに、なぜ桂さんの苗字が明らかにされていないのかは一切不明である。アニメの出演者の間では、実は苗字は三枝(さえぐさ)ではないか?という声まで上がる始末である。
出番が少ないのは原作に限らず、アニメなどでも同様である。当初は原作に桂さんの挿絵は無く、アニメ化に際してその外見が明らかになり。色素の薄い髪にボブカットヘアという活発な印象を受ける可愛らしい姿で人気を集めた(後に第26巻「イラストコレクション」で、アニメ絵を基にしたひびき玲音による公式絵が載せられた)。一期の前半では出番があったが、こちらもやはり話が進むたびに影が薄くなる。二期では台詞の無いただのモブキャラ(と言うより背景)にされてしまい、三期(OVA)と四期ではとうとう一度も映ることが無かった。漫画版に至っては、桂さんの出番が全てもう一人の祐巳の親友である武嶋蔦子に置き換わってしまい(しかも全く不自然に感じない)、存在そのものがなかったことにされている。実写映画版では、桂さんの立ち位置に相当するのは、「黄薔薇革命」などで登場した他のクラスメイト・小山田みゆきに変わってしまっている。なぜ桂さんを直接出さなかったのかも、わかっていない。
祐巳が祥子の妹になる前、祥子がが自分のことなんて忘れてしまっていることをしょげる祐巳に対して、「スターは素人のことなんかわざわざ覚えていない」と励ましたが、皮肉にも自分が祐巳にとって忘れられた存在という立ち位置になってしまったのである。山百合会に入った祐巳に対して、桂さんは有名人になって遠い存在になってしまったかつての友達と思っていたのだろうか?クラス合同の体育祭や修学旅行でも名前が一度も挙がらなかった桂さんは、「本当にあの場にいたのか?」「消えてしまったのではないか?」と危惧する声すら上がっていたのである。
だが。そんな桂さんの冬の時代も終わる時がやって来た。原作者の今野緒雪先生が二次創作の人気でその存在を思い出したのか、祐巳と松平瞳子の姉妹問題が佳境になった頃から徐々に出番が復活。祐巳ともこれまで通り、友人関係が続いていたことも判明して、ほっとしたファンも多かったのではないだろうか。そして、第34巻「卒業前小景」の短編「お姉さまのラケット」で、初めて彼女の視点で描かれたエピソードが登場した。第1巻の初版から10年目にして、短編とは言え遂に念願の主役の地位を獲得した桂さん。長く厳しい冬を乗り越え、やっと待ち望んだ春がやって来た瞬間だった。
桂さんは鵜沢美冬とはまた違った意味で、ありえたかもしれないもう一人の福沢祐巳という立ち位置とも言える。もし、祐巳のタイが曲がっていることを祥子が気づかなかったら、祐巳もまた桂さんと同じようにごく平凡な学生生活を送っていたのかもしれない。だからと言って、別に桂さんの学園生活が面白みのない、ありきたりなものではなかったことも事実である。実は山百合会以外のリリアン女学園の主要キャラクターの多くは、姉妹(スール)の契りを結んでいない、独り身の人物が大半を占めており、姉(グラン・スール)や妹(プティ・スール)がいるのは、新聞部の面々と桂さんぐらいしかいないのである。桂さんは彼女なりに、学園生活の中で色々なドラマがあったのは想像に難くない。近年のマリみては、山百合会以外の生徒が中心となった短編が多いので、今後もしかしたら、桂さんがメイン、もしくは桂さんが物語に深く関わるエピソードが作られるかもしれない。
ファンからの扱い
桂さんの不憫な扱いが表面化したのが、ちょうどアニメが放送された時期と重なったこともあり、二次創作では早い段階から人気を集めていた。同じ友人ポジションながら、レギュラーの座を死守した蔦子との落差もまた、桂さんの不遇っぷりに拍車を掛けた。ギャグSSや小ネタにも出てくることがあるが、桂さんが特にネタにされやすかったのは某お絵かき掲示板を中心にしたファンアートであり、存在感が無いので誰にも見えない、透明人間にされる、意図的に皆にスルーされる、「ウォーリーを探せ」状態でしか映らないなど、散々な扱いを受けることもしばしばあった。
また、蟹名静がロサ・カニーナ(黒薔薇さま)と呼ばれるのに対して、桂さんにも何か称号を作ろうという声が上がり、静と同様にその名を取って、ロサ・カツーラ(並薔薇さま)という愛称までできてしまった(本人にしてみれば、少しも嬉しくないだろうが・・・)。
こうしたネットでの人気が高まったため、原作の新刊が販売される際に桂さんが登場すると、それだけでニュースになるほどだった。これが台詞もあるとさらに盛り上がるなど、もはやレアキャラ並の扱いとなっていたのである。出番や台詞だけでこの騒ぎなのだから、先述の「卒業前小景」で主役に抜擢された時のファンの歓喜は、我々の想像を超えるものがあっただろう。
後に、女の子達のライト百合を描いた某漫画では、主人公なのに出番が無く影も薄い不憫なキャラクターが登場する。百合というジャンルで後の作品に大きな影響を与えたマリみてのことだから、もしかしたらそのモデルの一人が桂さんなのかもしれない・・・?
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