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機甲艦隊ダイラガーXV(きこうかんたい ダイラガー フィフティーン ※XVはローマ数字の15)は東映、東映動画が制作し、1982年3月から1983年3月にかけてTV東京系列で放送されたTVアニメである。
概要
15人のパイロットが乗り込む15機合体のスーパーロボットが存在する。
その設定だけは耳にされている方も多いかと思われる作品なのだが、なぜ設定だけが一人歩きしているかと言うと、放送終了後に、アメリカに権利が売られてボルトロンに切った張ったされたのである。
その結果、権利関係がクソめんどくさい状態になってしまったため、円盤は製作されていない(※海外で(おそらく海賊版が)売っていたといった話も)し、もちろんスーパーロボット大戦といった作品にも2020年1月時点では参戦していない。
だが作品は、その触れ込みとは裏腹に15人が乗り込むダイラガーはあくまで戦場の一駒(主力ではある)に過ぎず、歴史の流れには直接は関与していない(=別にダイラガーがいなくても物語は成立する)という特徴がある。
また宇宙の海に挑んだ人類が既に異星人たちと邂逅し共同体制の銀河警備軍を結成していて(初期設定で健在の異星人勢力と友好関係を結んでいること自体が珍しい設定)、その状況がもたらした平和に慣れきっている地球行政府、逆に危機的な環境にある本星の状況を顧みずにひたすら戦果を求め、その結果反攻を招きどんどん劣勢(老兵や新兵が配備されだし、兵装は簡素に、補給が滞っていく…)に陥っていくガルベストン帝国軍部と、ハト派タカ派両派ともに行き過ぎることでもたらす惨状を描いている。
これはガンダムやイデオン、ダグラムといったリアルロボット路線に対するスーパーロボット路線の雄であった東映のアプローチと言える作品である。
反面、当時でも通用しなかったと思われるレベルで稚拙な展開の脚本回も数多くあり、全体を通した物語の出来は佳作(と言うとちょっと持ち上げすぎか…と不安になる)と言ったところに落ち着くのではないだろうか。
……とは言え1年全52話(+放送終了後に総集編4話)を甚だしい作画の乱れを招かずに、また打ち切られずに完走(裏番組の強さやスポンサーの満足度は置いておくとして)したことは評価できるだろう。
ちなみに15という数は前年に出た14機合体のダイアクロンのガッツブロッカーを越えるとえらい人が言い出し、そこで15人制のスポーツ・ラグビーからもってきてダイラガーと言う名前になったとかなんとか。話の中でもラグビーに興じる回が存在する。
用語
- 銀河警備軍
- 地球・ミラ星・サラ星の三星連合による警備軍。本部内部の壁には大きく「GALAXY GARRISON」とあしらわれている。
- 地球
- 首都はメガロポリス。三星を統合して統治しているのか各星それぞれに自治が任されているのかはハッキリしないが、ガルベストン側は探査艦隊を地球艦隊と称するので、少なくとも探査事業は地球がイニシアチブを持っているようだ。
- ミラ星
- ミラ星人は水色の肌で耳がとがっている。また予知能力を持っているが予感程度のものである。(話の都合で大抵気のせいで流される。)
- サラ星
- サラ星人は自然を愛する人種である。ミラ星人に近い人種のようで、ミラ星人に比べると肌が気持ち紫寄り(誤差の範囲?)で耳は丸い。また人種的な特徴なのか風俗なのか不明だが丸刈りのような短髪である。
- ダイラガーXV
- 該当記事を参照のこと。
- ラガーマシン
- ダイラガーXVを構成する15機のマシン。主に空からの調査を担当するラガー1から5が合体するとクウラガー、海担当のラガー6から10までが合体するとカイラガー、陸担当のラガー11から15が合体するとリックラガーと呼称される。
- クウラガー・カイラガー・リックラガーは言わば巡航形態のようなもので、ダイラガーに合体する際には合体を解除してそれぞれバラバラになる必要がある。それぞれの機体は宇宙空間でも問題なく行動できる。
- 各ラガーマシンでもガルベストン軍大型艦艇を蹂躙できる戦闘力がある(ロボットアニメだけにすぐ合体してしまうが……)。
- ラガーメンバー
- ラガーマシンを操る15名のパイロット。5名ずつでクウラガーチーム(安芸チーム)、リックラガーチーム(ワルターチーム)、カイラガーチーム(キーツチーム)に分かれている。
- ラガーマシン、そしてダイラガーを操るのは困難なのかサブパイロットは用意されておらず、メンバーが欠けると大幅な戦力ダウンとなってしまう。
- 彼らが地球圏を出発する前に課された訓練は探査目的に則した訓練強度だったのか、戦闘技術、戦術、戦略眼とどれをとっても凡庸の域にとどまるように思えるのだが、虎の子のラガーマシンを降りて白兵戦になりがち。また陸戦隊として敵基地内に殴り込みをかけることも……(ラガーガードや他の探査艦隊艦艇に乗っているはずの他の人員は何をしているのか)。
- ラガーガード
- 探査艦隊旗艦でラガーメンバー達の母艦となる宇宙船。ラガーマシン格納庫はもちろんのこと、長期の宇宙航海のためにラウンジまで用意されている。
- あくまで探査艦なのかその船体の規模に比べると武装は控えめ。割と派手にボコボコにされるが最後まで戦い抜ける性能は備えている(ある程度は武装は強化されていっているようである)。スパロボでいうと特に特殊能力もないし武装や装甲も特筆するものはないが、攻撃はHP量で受けきるタイプ。
- ガルベストン帝国
- 警備軍探査艦隊が接触を試みようとするものの聞く耳を持たずに襲い掛かってくる連中。彼らの意図やおかれている状況を地球側がなかなか把握できないことによって事態がどんどん悪化の泥沼に……。
- ガルベストン星人は紫色の肌に目(白目に当たる部分)が赤いという特徴を持つ。古代ローマ兵的な素肌が出ているスーツに身を包んでいるだけで高々度から襲い掛かってくることもあるので、肉体が(地球人の常識に比べて)頑健なのかもしれない。
- バトルマシン
- ガルベストン帝国軍が繰り出す戦闘ロボット。
- 海戦で言うところの戦艦にあたる強力な駒で、その戦力に相応してコストも高いようで各艦隊で一機配備されているかどうかといったレベル。そのためか作業用にも使える機能を武器にしている機体も多く非人間型の形状をしている。
- ダイラガーをぶつけるか、警備隊大型艦艇群で砲火を集中するぐらいしないと倒せない。ラガーマシン全機で集中攻撃すればいずれは倒せると思われるが、ロボットアニメ的にダイラガーに合体するまでは倒せずに苦戦する。
- ガルベストン側もダイラガーを地球のバトルマシンと呼称する。
- バトルアタッカー
- 戦艦で言うところの「超弩級」的な意味合いの、より高性能なバトルマシンを指す呼称。
- 人型でダイラガーに対抗するために武器を持っている機体が多いが、情勢悪化を受けバトルマシン程度の能力しか持っていない、出せないのでは……?と思わせる戦闘も多い。
主要人物
ラガーメンバー
15名もいるので名前を覚えられないかもしれないが、各チームのチーフ3名とそれぞれに対応するヒロイン役3名の計6名を覚えておけば事足りる。
↓順番は搭乗するラガーマシンの番号順。安芸がラガー1~長門がラガー15。
クウラガーチーム(安芸チーム)
- 1.安芸マナブ - 声:古川登志夫
- クウラガーチームチーフ。一応主人公と言える役なのだが、ほどほどに熱血漢でほどほどにアホでほどほどに平和を愛し……とつかみどころがない普通の主人公。
- 安芸の乗るラガー1はダイラガーの頭部となり、ダイラガーの操縦や戦闘は安芸が担当する。他のメンバーはそれぞれの出力の制御でもしているのか基本的に応援の声を挙げるだけとなり、安芸が失神したりするものなら大変なことに。(一応ラガー1無しの頭無しの状態でもダイラガーに合体はできるのだが、性能は全く発揮できなかった)
- 2.甲斐シノブ - 声:山本竜馬
- 柔道家的な体つきの男性。陸奥をからかったり逆に助けてやったりしているのが目につく程度で割と地味。
- 3.ショーター・クロイツ - 声:塩屋浩三
- サラ星人男性。地味メンワースト3の一角。ワースト3の中では担当回を貰えているだけマシなのだが最終回のラガーメンバー勢ぞろいというカットで忘れられるという痛恨の作画ミスが……。
- 4.陸奥ヤスオ - 声:間嶋里美
- ロボットアニメでよくいる飛び級な天才児タイプ……としたかったのだろうが頭の良さを見せる場面は数少なく、幼稚な行動だけが目につくマスコット役。母子家庭という描写もあり探査隊の選考基準はどうなっているのだと。(応募が少なかったとか給料がいいという可能性もあるが)
- 故郷の写真を見る場面で三保の松原のような富士山が写っている写真を見ているので静岡出身と思われる。
- 5.パティ・エリントン - 声:潘恵子
- 金髪ショートでそばかすといかにもお転婆ですと言わんばかりの容姿の白人女性。
- ダイラガーに合体時は比較的動きの少ない胸の部分に収まるためか、見てるだけの面子が多い中で積極的に戦闘に参加しウイングビームをぶっぱなしている。
カイラガーチーム(キーツチーム)
- 6.ミランダ・キーツ - 声:堀秀行
- ミラ星人でカイラガーチームチーフ。チーフをつとめる3人の中では一番出来た人物だと思われる。
- 他のミラ星人から「殿下」と呼ばれている場面があるので、ミラ星は王政もしくはマハラジャ的な存在がいるのだと思われる。おそらく嫡男ではないとは思われるが銀河探査なんて危険な事業に参加するのはどうかと……。(リアル先輩もそういう事例を挙げるに事欠かないが)
- 7.加賀ハルカ - 声:飯塚はる美
- 脚光が当たることも多くいかにもヒロインですと言わんばかりのポジション。中盤頃から安芸と親しくなっていく。
- 陸奥とは幼友達とか宇宙学校で同期などという演出があるが陸奥は一体何歳なのだろう……?
- 故郷の写真を見る場面で富士五湖のような富士山が写っている写真を見ているので山梨出身と思われる。
- 8.サルタ・カッツ - 声:佐藤正治
- サラ星人。クロイツと比べて顔が丸い程度ぐらいしか印象に残らない地味メンワースト3の一角。
- 9.出雲タツオ - 声:大浜靖(現・速水奨)
- 現実主義というか悲観主義な男性で楽観的な言動を取る他メンバーに苦言を呈することも。
- なぜか主題歌レコードのジャケットにはキーツではなく出雲が描かれていた。説明無しに異星人を前面に出すと混乱すると思われたのか、もしかすると当初はチーフの予定だったとかかも?
- 出雲は速水奨の声優デビュー役で、自伝にもエピソードが記されているとかなんとか。
- 10.バーロス・カラテヤ - 声:山口健
- パーマで浅黒い肌の男性。地味メンワースト3の一角で、下手すると台詞が片手で数えられるのではないかと思われるほど出番が少ない。
リックラガーチーム(ワルターチーム)
- 11.ワルター・ジャック - 声:森功至
- リックラガーチームチーフ。チーフをつとめる割にうかつな行動を取ることが多い困った男。
- パティとは家族ぐるみのおつきあいといった関係のようだ。
- 12.モーヤ・キリガッス - 声:山口奈々
- ミラ星人。キーツと仲が良いので家柄もそれなりに高いのであろうと思われる落ち着いた女性。
- ミラ星人の予知能力を化粧のノリが悪いからと言った理由で発揮するアバウトな面も。
- 13.マック・チャッカー - 声:田中崇(現・銀河万丈)
- 出番は少なく地味メンなのだが、ネイティブアメリカン風な容貌の巨体に加え、担当回もあり、何より銀河万丈ボイスのため印象には残りやすい。
- 14.伊豆タスク - 声:広森信吾(現・森しん)
- 長門とつるんでいることが多い地味メン。
- 15.長門カズト - 声:大竹宏
- 長身の猿顔男性。お調子者なのだが斜に構えている一面もあり印象に残る会話も多い。
- ギャンブルは下手の横好きレベルでつるんでいる伊豆にはカモにされているようだ。
探査艦隊
- ディック・アシモフ - 声:矢田耕司
- ラガーガード初代艦長。探査艦隊を率いるにしては武闘派な判断が多い。
- ガルベストン帝国との衝突が続くことで前線の情勢を熟知する人物として地球圏の警備隊本部に召還され、ラガーガードを離れる。
- 中の人は離れた後そのまま(戦死するなどして)出番が無くなるのではないかと物語の行く先を気にしていたとか。後に増援の連合艦隊を率いてやってくる。
- 伊勢シンジ - 声:田中秀幸
- ラガーチームキャプテンでラガーガードからアシモフの補佐を行いながら情勢を冷静に判断し的確な指示を送り、ガルベストンとの折衝でも自ら体を張ることもいとわない優れた人物。
- アシモフ離任後はラガーガード艦長の座につく(副官業務はラガーチームのチーフ3人が持ち回りで分担していくことになる。)。
- 地球側の最重要人物と捉えてかまわない役だが、EDのテロップでは24話まで伊勢ジンジと誤記されていた。
- ドクター・サーチ - 声:戸谷公次
- ラガーガード内でラガーマシンが収拾したデータや資料を分析する学者兼船医の男性。
- いかにもモブといった容姿だが意外に脚光があたることが多くラガーメンバーの地味メンより扱いがいい。
ガルベストン帝国
- ソクラット・テレス - 声:戸谷公次
- ガルベストン前線基地の司令をつとめる男性。脳筋だらけのガルベストン軍の中で理知的な判断ができる貴重な人材。
- ガルベストン側の描写というと脳筋どもがヒャッハーするかテレスの苦悩かといった態で、テレスをダイラガーXVの真の主人公とする声も多い。
- 父親はガルベストン星で内務長官をつとめるソクラット・テス。両名とも失脚しても始末されていないことからソクラット家はおそらく皇統に連なる家系なのだと考えられる。
- 前線に複数の巨大な裸婦画や様々な彫像を持ち込んでいるという趣味人な一面も。
- ドレイク隊長 - 声:山本竜馬
- テレスに忠実な部下で硬軟織り交ぜられる知勇兼備の武人。
- テレスの失脚後、捨て駒として出撃を命じられ……。
- バラタリア隊長 - 声:佐藤正治
- 前線基地のタカ派の一人。理知的なテレスと正反対の好戦的な男。
- 処刑されてもおかしくないレベルでテレスに反抗し続け、ついには反乱を起こしてしまう。
- ラフィット隊長 - 声:広瀬正志
- 前線基地のタカ派の一人。かなりデブ。バラタリアに比べると頭が回り、本国の軍上層部とつながりを持つように。
- ラッカル - 声:田中崇(現・銀河万丈)
- 前線基地のタカ派の一人。第一話で探査艦隊を発見し襲い掛かってくる。立ち合いは強くあたってあとは流れで……と言わんばかりに何故か死ぬ過程は必見?
- カポネーロ総司令 - 声:田中崇(現・銀河万丈)
- ガルベストン帝国軍の総司令でガルベストン側タカ派の首魁。相当幅を効かせていて皇帝もカポネーロの方針を支持している。
- サーク - 声:間嶋里美
- ガルベストン星の警備隊所属の女性でテレス失脚後に彼の副官となる。
- テレスを敬愛していてガルベストン側のヒロインと言える役割。
主題歌
関連動画
関連項目
関連リンク
先述のようにややこしい権利問題があるのだが、バンダイスピリッツが超合金魂の販促目的でなんとか話をつけたようで、2019年10月頃からYoutubeで配信している(全話無料)。
2020年1月時点ではまだ配信しているが、東映が権利申し立てをして一時的に削除されたこともあり、やはり情勢は複雑怪奇のようだ。
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