武器物語とは、PS2用ゲーム「ドラッグオンドラグーン」に登場する武器に付随する物語である。
ここではSPEAR(槍)について列挙する。
物神
招雷の槍 Lightning Spear
森の奥地にある古城から、夜の闇にまぎれて吸血鬼達が舞い上がる。
村では多くの犠牲者を出したが、無敵の魔物の前になす術はなかった。
そんな噂を聞きつけ、腕利きのヴァンパイアハンターが村を訪れた。
だが、彼もまたあまりの吸血鬼の数の多さに一人では戦えないことを悟る。
そこで四本の槍に秘石を埋め込み、村の若者に協力を依頼した。
不穏な空気を察知した吸血鬼達はその夜、村に向けて一斉攻撃を開始する。
壮烈な死闘の後、朝の光の中には傷ついたハンター達と灰に戻った吸血鬼だけが残っていた。
以来、この槍は村の守り神として奉られている。
王位簒奪者の槍 Throne Usurper
連合国王の亡き後、権力を握り悪政の限りを尽くした皇后を人民からの信頼の厚い将軍が討った。
将軍は平民の出で、話はよくある英雄譚。
将軍の出自は平民の中でも最下級、人を殺めることを生業としていた辻斬りである。
15人目の標的を殺めたとき、警備兵に見つかり投獄された。
審判はすぐに下った、極刑。
しかし将軍の人生を大きく左右した才能、それは美貌であり、その姿が皇后の目にとまることで極刑をまぬがれる。
皇后は将軍への愛情を注ぐが、それは執着へと変わっていく。
将軍は皇后を虜にし失脚させることで王となる。
是を知る者は将軍を簒奪者と呼ぶ。
草原の竜騎槍 Dragoon Lance
昔、飛べない竜がいた。
荒々しいが高潔な心を持つ彼は人間と交わることはなかった。
だがある日、傷ついた若き騎士と一匹の竜が出会う。
竜は騎士を助けると、彼が目覚めるのを見届け、その場を立ち去ろうとした。
翼のない竜は、役立たずと忌み嫌われていたからだ。
別れ際、騎士が言った。
「この恩は生涯忘れない」
時が流れ、年老いた竜は人間の軍勢に取り囲まれる。
竜が死を覚悟したその時……。
「翼なき友よ!長く待たせたな!」
あの時の騎士が国王となり、幾千の兵と共に現れたのだ。
竜は忘れていた牙を剥き出しにして吼えた。
バールベリトの涙 Balberith
バールベリトとは人と悪魔の契約の際に現れ認証を行う悪魔である。
彼は多くの邪悪な契約を認め、次々と人間を地獄に堕としていく。
あるとき、バールベリトは一人の人間の女を好きになる。
それは病気の父を持つ若い女であった。
彼女は悪魔に言う。
「私の父を助けてください」
だが、そうすれば女は地獄に堕ち、悪魔のモノにはならない。
悪魔は悩み、ついに一つの答えを出す。
「自分が代わりに地獄に堕ちればよい!」
急いで女の家に行くと、病死した父の傍らに眠るように女が死んでいた。
死を理解できない悪魔は、女を延々と揺らし続けたという……。
堕天使の槍 Corrupted Angel
246の教会をもつ、大きな宗派があった。
数百年も続く由緒正しき聖道。
57代目の大神官である彼も、聖道への伝導活動を貫き通していた。
真面目を通り越して愚直。
まさに神の申し子、誰からも慕われる立派な神官であった。
しかし彼の聖道は愚直ゆえに堅く、外圧に弱くもある。
この宗派を擁護していた国の王子が彼に問いた。
「神と私のどちらが正しいか?」
彼は迷うことなく、神と答える。
その答えに王子は激怒した。
彼の宗派は邪教と御触れが回り、数百年の聖道が一瞬で霧散した。
彼は罵りを受けながらも王子に面会。
持参した槍で己の喉をつき許しを請うた。
兵士長の聖槍 The Spear Longinus
流れる血は闇から光へ
教えは命を奪い、新たなる命を与える
血族の紋章 Bloodly Emblem
武芸に秀でた兄弟が治める国があった。
剛の武を持つ兄と、柔の武を持つ弟。
兄弟は非常に仲がよく、国政はいたって安定していた。
ある日、一人の少女が兄弟に質問をした。
「お二人は戦いで負けたことがないとお伺いしました。では、お互いが戦うとどうなるのですか?」
二人は、互いに自らの優良性を主張し合った。
それは激しい口論になり、末には兄弟同士で殺し合いをはじめてしまった。
この争いを見かねた神は、天から怒りの槍を降らせた。
槍は兄弟を貫き、二人は息絶えた。
人々は神の怒りを恐れ、この槍を祭壇に祭ったという。
守りの槍 Spear of Defence
牛を飼うことで生計を立てている小さな村があった。
だが、その牛を狙って狼の一団が村を襲うようになる。
牛飼い達は必死で守ろうとしたが、狡猾な白い狼があざけるかのように村人達をあざむき、
日々犠牲になる牛が増えていった。
「村を捨てよう」
そんな話が出たときに、村でいちばん無口だった牛飼いが槍を持って外に出ていった。
村人達に誰一人止める者はいなかった。
二日後、村の近くで白狼の死体と槍だけが横たわっていた。
村人達は牛飼いがいつでも戻れるように、槍を村の入口に掲げ、大切にしたという。
皇帝の槍 Emperor's spear
一代で大帝国を創り上げた東方の皇帝の愛槍。
雷を纏いて闇を断つといわれ、かつてはとある神殿の護神槍として奉じられていた。
剛勇で名を馳せた男は神殿より護神槍を強奪、大陸に覇を唱える戦いに身を投じる。
男は雷を纏い次々に各国を侵略、皇帝へと昇りつめたのだ。
大陸を手中に収めた皇帝であったが、その恐怖と圧制に各地で反乱が相次ぐ。
ついには自軍の将にすら裏切られ、帝国は崩壊したのだった。
かつての味方に追われ小さな城に篭城した皇帝。
絶望した彼は愛槍を持ち、唯一愛した女と自分自身を焼き尽くし最期を迎えたという。
魚人の宝杖 Merman's spear
南海の孤島の付近に生息していた醜い魚人が持っていた槍。
島民を怪しげな歌声で海中に引きずり込み、その肝で自分の命をつないでいた。
その魚人に愛する家族を殺され、復讐するために立ち上がった島の青年。
青年の手により、魚人は尾鰭を切り取られ瀕死の状態になる。
泳ぐことが困難になりもがき苦しんだ魚人。
自らの行いを悔い改めた魚人は、改心の印に青年に家宝の槍を渡し、尾鰭を返してもらう。
しかし、生きるためにまた島民を誘い出し、肝を喰らい続けた哀れな魚人は、
青年に自ら渡した槍で心臓を一突きにされ、その命を終えた…。
関連項目
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