武器物語3(戦輪)とは、PS3用ゲーム「ドラッグオンドラグーン3」に登場する武器に付随する物語である。
ここでは、戦輪に関する物語を列挙する。
ネタバレにご注意下さいませ。
物神
天翔る碧風 Skyward Wind
命尽きようとしている女がいた。
女は悪事に手を染めていたため、捕まり、拷問を受けた後火あぶりにされる処刑を待つだけだった。
女は叫ぶ
「我が子を奪った男がこの国の王だ。王を殺せぬまま火あぶりに処され死ぬ訳にはいかない」
と憎悪の言葉を吐いた。
ふと前を向けば、女の前に美しい青い目をした白馬がいた。
汚れない白馬に向かい女は罵詈雑言を吐き、やがて我が子を想い、嗚咽を漏らした。
死にたくない、殺したい。気が付けば女は白馬に跨り王の前にいた。
いつの間にか見知らぬ刃を握りしめて。
狂喜した女は王を殺した後、脱走の為白馬に跨ろうとしたが既に白馬の姿はなく、
突如女の体はその場で発火し灰となった。
どこからか軽やかな風が流れ、灰を舞い上げ、やがて空に消えた。
ヴィドフニルの羽根 Vidofnir's Blade
昔、この地に鶏の兄弟がいた。
兄は雄々しく力強い爪を持っていた。
弟は知性あふれる頭脳を持っていた。
ある夜、気まぐれな神々は、世界中の鳥を集めこう伝える。
「世界樹の頂点に登りし鳥にこの大空の支配権を与えよう」
鳥達は我先にと世界樹の頂を目指した。
翼があるものは空を飛んだが陽光に焼かれて落ちた。
爪があるものは幹を伝ったが蛇に食われて死んだ。
二羽の鶏だけが力を合わせ頂点に辿り着く事が出来た。
「どちらか一方にだけこの大空を与えよう!争うがいい!」
神が言い終わるやいなや、鶏の兄弟は神の喉を喰い千切った。
世界樹を血で染めながら兄弟はいつまでも神を喰い続けた。
貴婦人の舞踊 Duchess's Dance
華美なドレスを着て、華奢な髪飾りをつけ、豪華な靴を履いて鈴が鳴るような声で語り、
たっぷりといたずらに微笑んで、それからあの方へと少し距離を縮めて耳元で愛を囁くのです。
滅びた鳥の羽飾り、小さな獣からいくつも剥いだ毛皮のコート。
最も美しく咲いた瞬間にもぎ取った多くの花をお湯に浮かべ、
教えて貰ったばかりの吟遊詩人の恋の歌を口遊むのです。
足元に跪いた何人もの男が愚かしい声で私の愛を乞い、
聞き飽きた恋の詩をさも大事のように囁いていく。
同じような毎日。同じような男達。煌びやかで退屈な日々。
誰か華美に飾り立てた刃でこの毎日を切り裂いて下さらない?
なんて冗談にも思っていないことを口にして、路傍に朽ちる身汚い蛆虫のような連中を、
今日も遠目に眺める毎日なのです。
理の神判 Rule of Divine Law
紺碧の鋭刃 Azure Cleaver
海に囲まれた小さな島があった。
自然溢れる美しい島は人々が暮らす静かな場所であり、
かつて大罪人が流され、そうしてそのまま朽ちた場所でもあった。
海が見える崖に作られた大罪人の墓には蒼い輪刀が突き刺さり、
絶えず美しい花々が尽きることはなく添えられている。
「誰のお墓なの?」幼い孫の問いかけに老人は答える。
「罪人の墓だよ」孫は更に問う。「悪い人なのになぜ皆お花をあげるの?」
我々の生活を憂い革命を首謀した男が罪人として島に流されてきた。
その清廉な罪人は慎ましく生き、死んだ。
それだけなんだよ。老人は遠くを眺めそれきり黙った。
崖の上の蒼い輪刀は空と海の青を反射し、その刀身の紺碧をただ静かに深めるばかり。
聖帝の棺 Imperial Coffin
恵まれた土地があった。豊かな資源が約束された土地。
国が飢えることなく穏やかに豊かに暮らせる理想の地。
その地を争って人々は長きにわたり争いを繰り広げていた。
約束の地を手にし、国を疲弊させつつも守り続けていた王は老い、そしてついに病に倒れる。
王は光を失った目で息子に語る。
「本当にここは恩恵をもたらす約束の地なのだろうか?」
なぜ人々はこの地を巡り血で血を洗う様な争いを続けるのか?
本当に生命の恩恵を人々にもたらすのならば、
なぜこんなにも多くの者が苦しみ、憎み、その命をいたずらに散らすのだろう。
老いた王は息を引き取った。
若き王子は王の死を静かに見つめ、その棺に密やかに誓いを立てる。王子は王となる。
若き王が再び新たな物語を紡ぐのだが、それはまた別のお話。
慟哭する円環 Ring of Lament
どうして私の魔術を誰も認めない。なぜ私を称賛し、敬わない。
なぜどうしてあいつがあいつがあいつが。
あいつに勝ちたい。勝ちたい。あいつを打ち負かしたい。
あいつがいるから全ての魔術を奪うあいつがいるから私は正当に評価されないのだ。
全てにおいてあいつが悪い。
だからあいつを殺すのは私の責務だ。人類の糧だ。正義だ。
禍々しく歪んだ刀紋は呪いの言葉をたやすく飲み込む。
やはり私は間違っていない。この呪われた剣であの魔術師を屠り、
私こそが偉大なる魔術師として崇めたてられるのだ。
ああ面白い!ああ嬉しい!ああ楽しい!
さっきまで魔術師だった血塗れの物体を眺めながら大笑いし、
興奮に足がもつれ枯れ井戸に落ちるまで、私は確かにこの世で最も偉大な魔術師だった。
マナの杖 Manah's Staff
私が知っているのは喪失だけ。
大きく何かが欠落している、虚ろの体。
埋めるように救済を与えては、こみ上げる空虚から目を逸らす。
私が知らないのはかつての私。
首を傾げ問いかけてくるのは、何も知らない真っ白な小さな子供。
「天使はうたう?」
私を駆り立てるのは恐怖だけ。
逃げても追い付かれる暗闇が、逃れられない業が。
飲み込まれてしまってはいけない、いけない、と叫んでいる。
私に残るのは、記憶だけ。
若く未熟で迷いながらも進む強い眼差し。
あの眼差しに、いつか再び、見える事を糧としながら。
未亡人の咎 Widow's Sin
昔々ある所に、いつも一緒に遊ぶ三人の子どもがいました。
少年二人と少女が一人、少年のうち一人は庭師の弟子となり、
もう一人の少年は将校となり、少女は美しい娘に育ちました。
ある日娘は父を失い、貧困に窮した家を守るため、結婚することになりました。
相手は幼馴染の将校の青年です。
夫になった将校の青年は翌日戦地に赴くと決まっていました。
翌朝必ず戻ると笑った夫を見たのはそれが最初で最後でした。
一晩で未亡人となった娘は、窓から外を眺めていました。
彼女の心を慰めたのは夫が残した美しい庭の景色でした。
庭は季節や朝晩に応じて異なる景色を見せ、彼女を癒しました。
けれど彼女は庭を整え続けていたのが幼馴染の青年だとは終ぞ知ることもなく、病で早逝したのでした。
冥府の絶輪 Everlasting Ring
旅は楽しゅうございますな。
特に女性の神秘を探す旅はたまらないモノがあります。
どのくらいたまらないかといいますと、ホレ視線を下に向けていただければ全ておわかりになるかと。
二つの山への登山も楽しゅうございますな。
柔らかき大地を踏みしめながらその山の頂きにあるという小さな果実をほおばるあの至福。
口が二つ無いのが残念でなりませぬ。
母なる丘での休息も楽しゅうございますな。
颯爽と草原を駆け抜ける牝馬のように草の香りを思う存分に味わうのも良し、
裏側にある洞窟の探検に出るのも良しである次第でして。
泉へのハイキングなども楽しゅうございますな。
愛すべき泉の奥深くから溢れ出る滴を汲み取って飲み干せば
たちまち私の武器が大成長を遂げる次第にございますから。
雷霆の旋戟 Electroshocker
少年が走る。閃光と共に鋭い切っ先が軍勢の中を走る。
瞬く間にいくつもの首が落ちて、血しぶきが舞う。
少年はその痩身に似合わぬ大振りの刃を回し、再び走り出す。
目指すは将校の首。「兄達の仇!」叫ぶ声は幼く甲高い。
兵を切り捨て進むも将校に辿りつく前に軍勢に取り囲まれる。
少年はいくつもの刃を受け、とうとうその場で命果ててしまう。
馬上から遺体となった少年を見下ろした将校は、
部下達に「捨てろ」と一言命じ、その後黙って馬を走らせた。
将校は止まらない。例え死したのが己の息子だとしても。
少年の死により将校の息子は残り3人。
己が命を奪った者に家督を譲る馬鹿げた遊び。
将校は血塗れの道を走りながら、いつか受けるであろう神の雷が早く我が身に訪れるよう願った。
ワンの戦輪 One's Chakram
私が元始であり唯一であればよかった。
ワンと言う名の示す通り。
滅びを招く愚かな姉に相応しい愚かな末路を。
世界を正しく律し、動かすのは私達の使命。
何を望み、何を失い、何を奪い、何を求めるのか、私は理解していた。
私の中に流れるウタの力を知るのは、もう少し先だということを。
だが、本当にそうなのだろうか。
私達の全てが誤っていないと、何故言えるのだろうか?
関連項目
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