武器物語3(槍)とは、PS3用ゲーム「ドラッグオンドラグーン3」に登場する武器に付随する物語である。
ここでは、槍に関する武器物語を列挙する。
ネタバレ故、ご注意頂きたい。
物神
歪なる飢餓 Twisted Hunger
醜いモノが嫌いだ。
臭い息を吐く化け物も、欲望に汚れた大人も嫌いだ。
何故あんな状態で生きていられるのだろう?
正しい事なんて吐き気がする。
格好付けた正義感はおぞましい。他人に対する友愛なんて嘘だ。
何故こんなおぞましい国でみんな生きていけるのだろう?
命は醜い。
人間は愚かしい。
何故こんな世界になってしまったのだろう?
腐った果実は美味しい。
腐った肉体は美しい。
何故そんな単純な事に誰も気付かないんだろう?
エリスの槍 Eris's Spear
私の目指すものは高潔なる意志、騎士の宿命。
幼いころから共に歩んだ、盟友の名を胸に私はこれからも進み続けます。
私の望むものは、淡い今が続く事。
尊く重たい宿業から目を逸らし続ける事を望むのは、いつかきっと罰が下るでしょうけど。
私を追い立てるのは焼け焦げるような羨望。
この身を苛む女の血が呻いている。
いつか、私を置いて生きてゆく二人への呪い。
私に残されたのは、微かな誇り。
身体中を痛みが支配するけれど、あの眼差しに映る私は、
どうかいつまでも、あの日のままの私でありますように。
王位簒奪者の槍 Robber King
女は娼婦だった。客をすぐに好きになってしまう娼婦だった。
だが、女が客に結婚を申し出ると客達はすぐに逃げ出した。
女は自分の仕事が疎まれている事すら分からなかった。
ある日、偉そうで不細工な男が女の客としてやってきた。
一通りの行為の後、女は男に結婚を願い出た。
男は涙を流し始めた。彼は誰にも愛されないこの国の王だった。
王と結婚した女はこの国の后となった。
そして結婚式の直後女の前で男は心臓病で突然死んでしまった。
莫大な遺産と王権が女の下に転がり込んできた。
金も権力も手に入れた女は思う。ここにはもう愛した男は居ない。
あと少しだったのに。私の幸せまであと少しだったのに。
男の唯一の形見である槍を持ち、王宮から女は逃げ出した。
奇術師の杖 Conjurer's Staff
どんな魔法でも治せぬ病に伏せる幼い少女には、秘密がある。
それは夜になると窓から現れる奇術師との楽しくて特別な時間。
一振りの杖を持つ仮面の奇術師は名も明かさず声も発しない。
厳格な掟と厳しい修行で得られる魔術を奇術師は惜しげもなく披露した。
少女に輝く光の粒を散らばめたり、美声で囀る小鳥と歌を奏で、
部屋に小さな雲を生み出し光る雨降らせ虹を見せた。
けれど病は確実に少女の体を蝕む。命の灯が消えようとする夜。
姿を見せた奇術師に少女は微笑んだ。「お兄ちゃん、ありがとう」
それきり少女は冷たくなり、二度と微笑む事はなかった。
奇術師が師匠の元に戻ると、
師匠は掟を破り例え肉親でも修行中に人に姿と魔術を晒したことには触れず、勝手に持ち出した杖を譲り渡した。
奇術師はその晩、杖を握り人知れず泣いたという。
血竜の焔 Bloodwyrm's Flame
暇を持て余す程生きた。
繰り返す生と死は滑稽ですらあった。
老いて鈍重な体で長らえた。
瞬きする間に散りゆく人間を数え切れぬ程見た。
失われていく心と共に生き続けた。
嘆くことも憤ることすらも忘れてしまった。
飽きることなく続く強奪と殺戮に広がる戦火。
繰り返される歴史に竜はとうとう生きることを飽いた。
終焉の警鐘 Final Knell
それは、ある槍の物語。ある男の手に渡った、ある槍の物語。
男は知らなかった。自身の刻に終わりが近付いていることを。
槍は知っていた。男の刻に終わりが近付いていることを。
男は愛していた。その槍を振るう度に鳴る儚くも美しい音色を。
そして槍はなき続けた。男に終わりを告げようと。
いつしか男は息絶えた。激しい戦場で愛する槍の音が鳴り響く中。
それは、終わりの物語。ある男の刻が終わった物語。
冷えた肉塊になってしまった男の横で、
槍は568番目の持ち主の死を、ただ静かに嘆き哀しんだ。
槍は次の持ち主を待っている。
持ち主の命が失われる終焉の刻に、再びその美しい音色を鳴らす日を。
永遠に続く刻の中で、幾度となく終わりを見てきた槍は今も待ち続けている。
守護者の宣誓 Guardian's Oath
誓約:その1
王の為なら全てを捧げる覚悟を持つ事。
たとえ命を捨てようとも正義を成し遂げる事。
誓約:その2
世界から悪を追放する事。
たとえ終わらない戦いだとしても諦めない事。
誓約:その3
どんな小さな悪事も見逃さない事。
たとえ子供といえど処刑の手を止めない事。
誓約:その4
どんな者も悪事を働いたのなら平等に殺す事。
たとえ王といえども殺す事。
聖帝の涙 Imperial Tears
豊穣を約束された土地を巡り幾多の争乱と屍の山を越えてきた。
その地を手にした先王の死を看取った若き王は家臣に命を下す。
「約束の地を焼き払う」静かだが凛と響く声だった。
家臣も民も誰も異を唱える者はいなかった。火は放たれる。
緑の木々が燃える。動物達が逃げ惑う。豊穣の証が灰になる。
先王が死にもの狂いで守った大地は荒れた焼け野原となる。
若き王は燃え上がる炎をいつまでも眺めていた。
その後土地は封鎖され永世中立地となる。
やがて年月は過ぎ約束の地は再び緑の楽園となった。
その奥深くに一振りの槍が眠っている。
土地を守ろうとした王が約束の地で手にした剣であり、
土地を焼いた王が槍に打ち直したそれは、今は錆びて見る影もない。
これは生命溢れる約束の地の物語。続きを知る者は誰もいない。
千年樹の嘆き Eternal Wail
おや旅のお方、道に迷われたのかい?大変だったねえ。
ああ、あんたは学者さんか。この村には図書館があるよ。
あんたみたいなお方にはたまらない場所だろう?
図書館には親切な館長さんがいてね、しかもこれが美しいのさ。
あの人は本を大切にしていて、千年以上前の書物の写しなんかを
ずっと続けて知識を絶やさないようにしているのさ。
美しいからって惚れてはいけないよ。
村の噴水の傍で歌う館長によく似た美しい娘がいるんだが、彼女が許さないだろう。
彼女のおメガネに適わないと近づく事さえ許されない。
そうこの村はあの美しい双子の娘達に守られているのさ。
いつからだったかな?忘れちまったけれど、ずっとずっと守られているんだよ。
変化さえなければ永遠にずっと、ね。
堕天の罪業 Sins of the Fallen
研究報告1。
近年まで天使召喚は「生命(素体)の内的神性の発露」と考えられ
心理的・宗教的内面の研究に重きが置かれていた。
しかし最新の研究によって異なる論理が提唱されている。
研究報告2。
それは生命素体の無い場合に無の空間から天使を呼び出す行為だ。
私はこれを「強制召喚」と呼び、天使が異界からもたらされるという仮説を立てている。
研究報告3。
人や獣が天使化するのではなく異界との生命体交換行為であるとすれば
「こちら側」の素体が無くても「あちら側」から生命を呼ぶ事が出来るのでは無いだろうか?
研究報告4。
天使召喚を為す為には私の身体を現世につなぎとめたまま異界の「私」を呼ぶ事が出来る。
この力を実践する事が出来れば私は一流の魔術師(以降の記載はなし)
ファイブの槍 Five's Spear
この世の中退屈なんてあるのかしら?
ファイブとつくからには姉が5人。欲しいものは5つ。
ゼロお姉様は全て欲しいわ。だって強くて素敵なんですもの。
ワンお姉様の知性は欲しいわ。あるに越したことはないもの。
トウお姉様からは眩しい笑顔が欲しいわ。私とは少し違う笑顔なんですもの。
スリイお姉様からは手先の器用さかしら。あとはよく分からないもの。
フォウ姉様からは何を頂こうかしら。
ふふ、ハジメテでもいいのだけど。ああでもそうね。
私、やっぱり生きるのが楽しくてたまらないわ。
夜叉瞑楼 Seer's Lure
ある国の末の王子は王位を我が物にしようという野心があった。
王位継承権のある上の王子は次々と戦で功績を上げ、国民に絶大な人気もあり、
末の王子にとっては邪魔な存在でしかなかった。
隣国との戦で小隊を率いた末の王子は、進軍中に一振りの槍を手にする。
その槍を手にした瞬間、耳元でどこからともなく「力が欲しいか?」と囁く声がした。
王子は黙ってコクリと頷いた。
末の王子はその後、戦で勝ち続け、邪魔な存在であった上の王子は次々と戦で倒れた。
ついに王位を継いだ末の王子は栄華を極めた。
だがその矢先、「返してもらうぞ」とあの時の声がした・・・・・・
声を聴いた直後から、信頼していた家臣達が次々と倒れ、妻と子供も病でこの世を去った。
国も人も全てを失った王は血の涙を流し、
この世の全てを恨みながらその槍で自らの命も絶ったのだった。
友愛の槍 Spear of Empathy
貧しい国に黒と白の甲冑を着た二人の騎士がいた。
彼らは幼き頃に交わした「この国を豊かにしよう」という約束を胸に、
切磋琢磨し、戦場を駆け廻り、時折杯を交わしては夢を語り合った。
しかしながら二人の騎士の思想は徐々に異なっていく。
傲慢な王に苦言を呈す黒騎士、王国のためにと忠誠を誓う白騎士。
旧知の仲とは思えぬ程に、不思議と彼らは相反していった。
ある時、王の圧政に反発をした一部の騎士による反乱が起きた。
その先頭に立つは黒騎士、そしてそれを迎え討つは奇しくもかの白騎士である。
そして白騎士は黒騎士を討ち、後に将軍となった。
将軍となった白騎士は、政務によって王の圧政を正し、国を豊かにした。
王からは褒美にと豪奢な槍を差し出された。
しかし白騎士はこれを固辞し、友を仕留めた槍を死ぬまで使い続けたという。
雷姫 Thunder Princess
船の墓場と呼ばれている嵐が荒ぶ海峡があった。
航海もままならず、海峡に程近い島に住まう人々の交易も不安定であった。
何日も落雷と暴風が続き、とうとう島の物資も不足が出始める。
島の人々は話し合い海峡に供物を捧げようと決めた。
一体誰が供物となるか。皆が押し付け合う中、澄んだ声が一つ。
供物に自ら名乗り上げたのは、島の統治者の娘だった。
娘は島一番の美女であったが、白く絹のような肌の大部分を火傷の痕が覆っていた。
統治者である父が止めるのも聞かず、娘は献上品である武具を身に着け、海にその身を投げ入れた。
落雷がしばらく続き、その後海峡は安定し穏やかになった。
今でも海底には娘と共に海に飛び込んだという大きな槍が突き刺さっており、
時折雷鳴が轟くような音が聞こえるという。
関連項目
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