沱江級コルベットとは、中華民国国軍(台湾軍)が運用するコルベットである。
概要
2015年に1隻が就役し、2026年までにやや船体を拡張・武装を変更した11隻が配備されて台湾沿海域の防衛を担う。
また、2027年までに海岸巡防署(沿岸警備隊)向けの巡視船仕様が12隻配備される予定。
開発にいたる背景
台湾海軍は2020年現在、米仏から4隻のミサイル駆逐艦、20隻を越えるフリゲートを輸入やライセンス生産によって保有する一方で30隻を越える光華6型ミサイル艇と12隻の『錦江』型コルベットを保有し、有事の際には台湾本土や離島に点在する漁港から分散出撃し、国産対艦ミサイル『雄風』を用いて人民解放軍の艦隊をゲリラ攻撃で迎え撃つのが台湾軍の防衛戦略の一つである。
しかし、光華6型は190t弱で副武装は機銃程度、錦江型はアップデートしても発展性に限りが見られたことから増大する人民解放軍の勢力に対抗しきれないことは明白で本級の開発が始められた。
ネームシップ
全長60m、最大幅14m、満載排水量600tの船体は双胴船の一種である『ウェーブピアサー』を採用しかつ21世紀に建造された軍艦の常としてステルス性に留意した外観になった。
この様な船体になったのは敵対する人民解放海軍が配備する22型ミサイル艇が『ウェーブピアサー』である事とフランスから輸入した康定級フリゲートの運用でステルス艦の構造を学び、国産補給艦『磐石』の建造・運用実績によって経験を積んだことが大きい。
そして注目を集めたのが総計16発の対艦ミサイルを搭載した事であった。
正確には超音速対艦ミサイル『雄風3』と亜音速対艦ミサイル『雄風2』を2連装キャニスター(弾薬庫兼発射機)を互い違いに両舷に4セット=8発づつ配置する構成をとり、折しも人民解放海軍に配備されて間もなかった空母『遼寧』に対抗する『空母キラー』として注目を集めた。
副武装は艦首の76mm両用砲、艦橋前に配置された12.7mm機銃2丁、船体後部の多目的甲板の手前に備えられたファランクスCIWS1基、更に船体両舷には対潜水艦用の3連装324㎜魚雷発射管が1基づつ備わっていた。
その代わり艦対空ミサイルは装備できなかったためミサイルを打ち尽くせばウォータージェットエンジンで発揮する44ktの高速で離脱する事になる。
量産型
ネームシップが就役して6年後、建造された量産型は運用実績と台湾周辺状況の変化に伴い、規模を拡張し武装も変更された。
船体は全長65m、最大幅15m弱、満載排水量685tに拡張されたが対艦ミサイルの内『雄風3』を半減=4発に削減し、短魚雷発射管は廃止、最高速力も38㏏に低下した。
その代わり国産艦対空ミサイル『海剣2』8連装キャニスターを2基搭載し、これに伴って対空捜索用3次元レーダーが追加された。
安平級巡視船
巡視船仕様で『雄風』用のスペースに変更はないが両用砲に替えて近距離用の7連装70㎜ロケット弾ポッド6基(42発)で構成される『鎮海システム』が艦首に装備され、ファランクスは水上用の20㎜連装機関砲に替えられている。
また、艦首の形状が変更されて作業スペースが増加するといった相違がみられる。
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