牙 -KIBA-とは、2006年から2007年にかけて放送された、知る人ぞ知る日曜朝の爽やかアニメである。全51話。
概要
製作はマッドハウス、シリーズ構成には平成仮面ライダーでお馴染みの井上敏樹を迎え、トレーディングカードゲーム『牙』とタイアップした宣伝アニメとして放送された。
が、タイアップアニメにも関わらず、本作にカードなどは一切登場しない。
あくまでTCGの世界観を描いたアニメである。
しかも、井上敏樹の作風が存分に出たスピーディかつ重苦しいストーリーにより、とてもじゃないが子供向けとは思えない、トンデモアニメに仕上がっている。
「常に予想の斜め上を行く」「新キャラが出た3分後には死んでいる」「メインキャラだろうが誰だろうが容赦なく死ぬ」
「声優たちがアフレコのたびに『今日は誰が死ぬんだろう』と話していた(実話)」などなど、その息もつかせぬジェットコースターのような鬱ストーリーは凄まじい。
当時の視聴者からは、敬意をこめて「日曜朝の爽やかアニメ」と称された。
もちろん、単に節操無く意味なく殺しまくりのアニメならこんな異名はつかない。
どんな逆境にあっても一切の泣き言を言わず必死に立ち向かう主人公・ゼッドを軸にしたストーリーは非常に熱く、作品自体の完成度もかなり高い。
井上御大の作品にしては珍しく、最後も奇麗に、本当の意味で爽やかにまとまっている。
実際、カードの売り上げも大ヒットまでは行かずとも悪くなく、シリーズ延長の打診も来たが、スタッフは「1年で全てやりきった」ことを理由に断ったという。
また、本作以後に売れた人も含めて地味に豪華声優陣だったりするが、ストーリーがあまりに濃すぎるせいか、声優方面で言及されることはあまりない。
プリキュアの裏番組だったこと、後番組である『天元突破グレンラガン』の印象が濃いことなどから、ニコニコやオタク的には知名度の高い作品ではないが、「知る人ぞ知る作品」として根強い支持を受けている。
世界観
「シャード」という超能力を使う「シャードキャスター」と呼ばれる戦士たちが戦いを繰り広げる世界が物語の舞台。
いくつかの異なる世界が並行して存在しており、それぞれの世界はシャードによってのみ行き来できる。
- カーム
唯一シャードが存在しない世界。主人公であるゼッドの母国。 - テンプラー
共和制を取る平和な世界。為政者に無能と糞ジジイしかおらず、軍事力も非常に弱い。
ゼッドが主に所属する国。 - ネオトピア
封建制を取る世界。国民は絶対規律に縛られ、少しでも規律に反した者は容赦なく殺される。
ゼッドの友人・ノアは主にここへ所属する。 - ジーモット
「強さこそがすべて」がモットーの絶対主義国家。中盤はここの幹部が宿敵となる。 - タスク
「悪の枢軸」と呼ばれる軍事国家。終盤の敵役。 - カルブ・フー
ジーモットの属国である小領域で、住人はエラ呼吸をして卵で繁殖する。
カルブ・フー編における某シーンは、本作屈指の鬱ポイントとして有名。
シャードの中でも、「スピリット・シャード」と呼ばれる精霊を召喚するシャードは特に強力で、特に「キースピリット」と呼ばれる6体のスピリットを集めると大きな災厄がもたらされる。
ゼッドが持つ「アミル・ガウル」はキースピリットの中でも特に強力だが、ゼッド以外の者が使うと中毒症状を起こして発狂する困った代物。
主要登場人物
- ゼッド(声:吉野裕行)
本作の主人公。よりによってアミル・ガウルに選ばれてしまった少年。
カームからテンプラーへ連れて来られたことがきっかけで、シャードを巡る戦いに巻き込まれていく。
一見無口で粗暴な性格だが、周囲にろくな大人がいない中、戦いを止めるために必死でもがき苦しむ彼の姿は、視聴者に大きな共感を呼んだ。 - ノア(声:堀江一眞)
ゼッドの親友で、病弱な少年。
カームからネオトピアに召喚されて救世主扱いを受け、絶対規律に洗脳されて残念な子と化し、ゼッドと対立していく。
終盤のタスク編ではとんでもないことになってしまう。 - ロイア(声:水樹奈々)
本作のメインヒロインで、テンプラーのシャードキャスター。
別に空気でもないし、ちゃんと主役回もあるのだが、他のキャラがあまりにも濃いこと、 主役回が物語の根幹には関係ないサブストーリー的な物だったことから、相対的に空気ヒロイン扱いされる可哀想な子。 - デュマス(声:家中宏)
テンプラー最強のシャードキャスターで、ゼッドのシャードの師匠。
登場当初は厳しくも優しい、典型的な頼れる大人キャラだったのだが、その後とんでもないことになってしまう。
牙を「普通じゃないアニメ」と認知させた張本人であり、ファンからは「デュマス先生」と親しまれる。 - ヒュー(声:山口勝平)
ジーモットの幹部で、同国最強のシャードキャスター。
アミル・ガウルの力を求め、中盤におけるゼッドの宿敵として何度も戦いを繰り広げた。
一度はゼッドに勝利しアミル・ガウルの力を得るが、結果とんでもないことになってしまう。
山口勝平ボイスのクールな悪役と言うのは当時かなり珍しく、そっちの方面でも割と話題になっていた。 - レベッカ(声:井上麻里奈)
ジーモットのお姫様。幼いころから、家庭教師を務めていたヒューに惚れている。
ヒューの野心に気付き彼を打倒しようとするが、結局恋心に勝てずヒューとの結婚を承諾。
だが、その婚礼話はとんでもないことになってしまう。
虐げられても虐げられても結局ヒューへの愛へ生きた健気な娘。
余談だが、当時まだ駆け出しだった井上麻里奈は、このレベッカ以外にも、 名もない端役から準メインまで本作で4~5人のキャラを掛け持ちで演じている。彼女のファンは必見。 - サラ(声:井上喜久子)
ゼッドの母親。物語開始時点では廃人として精神病院に入院している。
本作に数多いアミル・ガウルジャンキーの中でもとりわけ重篤な患者で、スタッフからは「アニメ史上最悪のおふくろ」と称された。
終盤では、息子であるゼッドにとんでもないことをしでかす。詳しくは関連動画参照。 - ロベス(声:三木眞一郎)
デュマス先生と並ぶ、テンプラー最強のシャードキャスター。
気障でナルシストな貴族の青年。
基本的に目立った奴から酷いことになる本作において、彼だけはどんな危機的状況も華麗にギャグタッチで回避し、そのくせ美味しい場面はきっちりもっていったりする。
このため、ファンからは、「彼だけは牙時空とは別のロベス時空に生きている」と称された。 - ジーコ(声:大木民夫)
基本的にこいつが全部悪い。
他にも個性的なキャラは数多いが、多かれ少なかれ、みんな最後はとんでもない目に合う。
関連動画
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関連項目
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