特二式内火艇 カミ とは、日本海軍の水陸両用戦車である。分類上は戦車では無く艦船となっている。
概要
第一次世界大戦後に世界中で水陸両用車両の開発が進められ、日本でも陸軍が1927年に初めて水陸両用の装甲車を試作した。その後も石川島自動車(現在のいすゞ)が実用的な水陸両用戦車を試作する等していたが、陸軍は特種船と大発動艇の組み合わせにより上陸戦を行う体制を整えていたため、あまり水陸両用戦車には興味を持たなかった。
いっぽう海軍は将来の南方の島々での上陸作戦や防衛戦に備えるため、陸軍に頼らずに独自に潜水艦で運搬でき、沿岸から自力航行し上陸できる戦車を欲しがっていた。海軍陸戦隊はその編成を見ても大規模な上陸作戦を行う組織というより基地防衛が主な任務だったが、防衛戦にも戦闘車両は必要でありその輸送と陸揚げをいちいち陸軍の輸送ラインにのっかるわけにはいかなかったのである。そこで太平洋戦争開戦前の1941年に陸軍に開発を依頼した。
九五式軽戦車をベースに三菱重工が試作を担当し、設計に携わった陸軍技術本部第四研究所の上西甚蔵技師の名前から「カミ車」と名付けられ開発が進められた。
1942年に試験終了し特二式内火艇 カミとして採用され、終戦までに184隻(両)が生産された。
特徴
水上航行の為、車体前後に着脱式のフロート(浮き)が装着され、航行中は後部にあるエンジンの動力を用いた2つのスクリューで推進する。舵は後部フロートに設置され、ワイヤーを介して操舵される。
車体自体も浮力を稼ぐため、横幅を目いっぱい広げ、防水の為に砲塔以外の接合部は溶接となっており、潜水艦の運用の為に耐圧性が求められていた。ハッチなどの開口部にはゴムシールで防水されている。
他に砲塔上部に防弾ガラスの付いた展望塔や換気塔が装備されている。
上陸後は前後フロート、スクリュー、展望塔を外して運用する。ちなみにフロートを再取り付けするのには時間がかかるため一度取り外してしまったら戦闘終了までは再度の水上航行はできない。
回転式砲塔を持ち、一般的には九五式軽戦車より強力な一式37mm戦車砲、または同等の九四式37mm戦車砲が装備されていた。副武装としては九七式車載重機関銃を2丁備える。
配備、実戦
海軍の陸戦隊に配備される。
1944年のサイパンの戦いが初の実戦で、その後はレイテ島やパラオなど南方の島々で使用された。
北方の千島列島でも配備されており、ソ連軍によって鹵獲されたものがロシアのクビンカ戦車博物館に展示されている。
関連動画
関連商品
関連コミュニティ
関連項目
- 2
- 0pt