「犬童頼安」(いんどう・よりやす 1521 ~ 1606)とは、水俣城に篭城中に新納忠元と和歌の応酬をする程度の能力に定評のある風流を弁えた肥後の猛将。
流転流浪の前半生
相良氏15代当主・相良長定の謀反に手を貸した犬童重安の子に生まれ、父・犬童重安をはじめ一族が謀反に加担した罪で抹殺されると、まだ幼い犬童頼安は出家することでその命を安堵されたが、成人した犬童頼安は還俗して相良氏に仕える事となった。
しかし一族抹殺の恨みを忘れていなかった犬童頼安は、復讐達成の為に宗家の相良義滋に対して相良治頼と組んで対抗したが、敗北と共に他国へと脱出し、再度僧籍に入って忠節を全う出来る主君を探して諸国を放浪した。
その後、相良氏の当主となった相良義陽に赦されて球磨へと帰還すると、相良義陽の家臣となって相良氏に仕え、島津氏に対抗する為の要衝・水俣城を任された事からか、復讐を忘れて相良氏に忠節を尽くす事を決めた犬童頼安は、自慢の武勇を発揮して水俣城に迫る島津軍を撃退し続けた。
和歌の応酬
武勇を誇る犬童頼安だったが、元々が僧侶出身で、戦国時代当時高い教養を学ぶのに適した場で育った事から和歌に堪能であった。
島津の親指武蔵こと鬼武蔵・新納忠元が水俣城に攻めてきた際は、
秋風に 皆また(水俣)落つる 木の葉かな
と秋風の如き猛攻を受けて水俣城は木の葉の様に吹き飛ぶだろうから降伏してはどうかと言う和歌を、新納忠元や矢文で水俣城内に送ると、水俣城内の犬童頼安は、
寄せては沈む 月の浦波
との、島津の猛攻など寄せては返す月の夜の波のごとくはねかえしてくようとばかりの返歌の矢文を送り返して、島津家中でも教養の高さで知られた新納忠元に劣らぬ教養を見せつけると共に、水俣城内の将兵を鼓舞して、守将として相良義陽が島津家に降伏して以降も抵抗し続けた。
しかし、島津義久の命令により旧知の友・甲斐宗運と戦わねばならなくなった相良義陽が、まるで甲斐宗運に討ち取られる事を望むかの如く、無謀な配置の陣の中で座して戦死すると、犬童頼安は涙を飲んで水俣城を開城した。
そして・・・忠節を尽くすと決めた主君・相良義陽が戦死した地を訪れた犬童頼安は、
おもいきや 倶に消ゆべき 露の身の 世に在りし顔に 見えむものとは
との無念の気持ちを込めた歌を詠んだ。
相良の両輪
犬童頼安と共に「相良の両輪」といわれた深水長智の速攻の外交手腕により相良氏が取り潰される事なく、相良義陽の遺児・相良忠房そしてその弟の相良頼房を当主とした存続が決まると、深水長智と共に相良氏の柱石として支え続けて、政治・外交面で相良氏存続に尽力する深水長智に対して、軍事面で相良氏存続に尽力し、九州征伐後の主家改易の危機も乗り切った。
復讐の為の前半生から一転して忠義を全うした後半生を送った犬童頼安が1606年に85歳で没した際は、その人望の厚さから七人もの殉死者が出たが、この忠義厚き七人が生きて、子の犬童頼兄を諌めていれば、犬童氏の滅亡の危機も回避できたのかもしれない。
※その他「犬童頼安」の詳細についてはWikipediaの該当記事参照の事。
関連動画
▼主君・相良義陽と甲斐宗運の宿命の戦いを見守り、主君に殉じた犬童頼安が登場する「律子の野望」
補足
軍事能力 | 内政能力 | |||||||||||||
戦国群雄伝 | 戦闘 | - | 政治 | - | 魅力 | - | 野望 | - | ||||||
武将風雲録(S1) | 戦闘 | 73 | 政治 | 41 | 魅力 | 63 | 野望 | 55 | 教養 | 45 | ||||
覇王伝 | 采配 | 78 | 戦闘 | 71 | 智謀 | 60 | 政治 | 69 | 野望 | 55 | ||||
天翔記 | 戦才 | 144(A) | 智才 | 130(C) | 政才 | 142(A) | 魅力 | 63 | 野望 | 57 | ||||
将星録 | 戦闘 | 71 | 智謀 | 68 | 政治 | 72 | ||||||||
烈風伝 | 采配 | 61 | 戦闘 | 62 | 智謀 | 58 | 政治 | 66 | ||||||
嵐世記 | 采配 | 59 | 智謀 | 50 | 政治 | 57 | 野望 | 80 | ||||||
蒼天録 | 統率 | 62 | 知略 | 59 | 政治 | 55 | ||||||||
天下創世 | 統率 | 70 | 知略 | 61 | 政治 | 56 | 教養 | 67 | ||||||
革新 | 統率 | 74 | 武勇 | 76 | 知略 | 65 | 政治 | 60 | ||||||
天道 | 統率 | 74 | 武勇 | 76 | 知略 | 65 | 政治 | 60 | ||||||
創造 | 統率 | 71 | 武勇 | 71 | 知略 | 65 | 政治 | 59 |
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