猪熊裕介とは、料理の腕前とヨシヒコ使いに関してはDDTプロレスリングの右に出る者がいなかった、元プロレスラーである。2011年に契約を満了し、現在は飲食方面などプロレスから離れた職に就いていると言われている。
概要
元々はSPWFでプロレスデビューしたが、やがてDDTに移籍。独特の価値観を持って独自のプロレスを作り上げる職人レスラーとして名を挙げる。マッスル坂井、男色ディーノとは「ドラマチック三銃士」を結成し、「大威チン八連制覇」など3人でこれぞ文化系プロレスという試合をいくつもプロデュースしてきた。
人間に限らず、アイテムや食べ物といった相手とも試合を作り上げることができ、高木三四郎をして「マッスル坂井とは別の意味での天才レスラー」と言わしめた。
特に、アイアンマンヘビーメタル級王座戦線では、トラップなどのギミックを生かした試合で、対戦相手はもちろんのこと、観客をも何度となく翻弄した。一部のファンの間で有名な「カレーやメンチカツがアイアンマンのベルトを獲った」試合も、猪熊が絡んだものである。蛇界関連でも、猪熊戦闘員として2000年代初期のDDT戦線を彩った。
DDTだけではなく、ユニオンプロレスでも彼の才能は発揮された。有象無象のどインディー選手を相手とした「ガイジンA」シリーズや、対ビッグ村上(村上和成)戦で出した、諸橋晴也の息子「シンヤ君」など、ユニオンのカオスな一面は間違いなく猪熊の才能あってのものだった。元々は、筋肉美が売りのやや固いレスラーだった諸橋晴也があんなに面白くなったのも、彼にいじられプロデュースされてきたからである。
さらにヨシヒコの後ろの人として、もっともそのパフォーマンスを引き出したのも猪熊であった。これまで、いくつもヨシヒコの試合が行われてきたが、名勝負と呼ばれるものの大半は、必ずそばに後ろの人として猪熊の姿があった。
2012年8月18日のDDT日本武道館大会で、男色ディーノのセコンドの一人としてマッスル坂井とともに久しぶりに復活。試合中も、積極的に透明人間と乱闘するなど存在感を見せていた。ディーノ、坂井とのドラマチック三銃士一夜限りの復活は、古くからのファンの多くが涙したことだろう。
料理人、猪熊裕介
プロレスラー・猪熊裕介のもう一つの顔は、プロ顔負けの料理の腕前である。DDT在籍時代はビアガーデンのプロレスの限定メニューや、ちゃんこ三分の計(ミツボシカレー、ドロップキック、エビスコ酒場でそれぞれちゃんこを用意し、アジを競いあうというもの)などで観客の舌を喜ばせてきた。
かつて、彼が店長兼シェフとして中野で営業していたDDT直営カレー店「ミツボシカレー」は、オープン前に博多にあるフレンチの名店「パロマグリル」で修業しただけあり、プロレスファンのみならず一般のカレー好きにも好評だった。なにが凄いって、日本のカレーを絶賛したWIREDの記者が、ミツボシカレーを単独記事で絶賛したことである。
しかし、あまりにも原材料に凝りすぎて原価率が高くなったため、2010年11月28日に閉店。その後を受け継いだ「ニコニコカレー」も今は閉店している。なお、当時の人気トッピングだったキノコのチーズフリットは、エビスコ酒場で復活している。
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関連項目
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