現実改変とは、文字通り今この現実の有り様を書き換えてしまうことである。特にシェアード・ワールド『SCP Foundation』で頻出するが、似たような事例は他の作品でも用語の存在・不存在にかかわらず存在している。そのため、本記事ではあくまで、SCP Foundationにかぎらず全般的な話を行うものとする。「もしも、○○が✕✕だったら」という夢想をしたものは数多かろう。現実の世界をその「もしも」の世界に書き換えてしまえる、そんな能力こそが現実改変能力である。
な なに――っ!!
こ これは……!? 今まで読んでいた「現実改変」の記事は?
皆さん全員と彼が昔から友達であることは知っています。彼は2週間前から我々が追っていた現実改変者です。数日前から財団職員に成りすまして潜入していました。あなた達に偽の記憶を植え付けて、ね。
オリエンテーション:現実改変者に対する傾向と対策 - SCP財団より,2023/05/05閲覧
本記事では、シェアード・ワールド『SCP Foundation』における現実改変 / 現実歪曲 (英:Reality Bending) について解説する。
概要
「もしも、○○が✕✕だったら」という夢想をしたものは数多かろう。現実の世界をその「もしも」の世界に書き換えてしまえる、そんな能力こそが現実改変能力である。
シェアード・ワールド『SCP Foundation』には数多くのアノマリーが存在しているが、とりわけわかりやすく、かつ危険な能力といえる。世界オカルト連合からは『タイプグリーン (Type Green)』とも呼ばれている。
とはいえ、財団世界の現実改変能力者は必ずしも万能ではない。各人に得意分野があり、中にはきれいに割り箸を割るだけの能力者もいるからだ。一方で、自身の能力に自覚的である場合、その多くは万能感を得て、世界オカルト連合が評するところでは「お子様神 (The Child-God)」になってしまうのだという (後述)。こうしたアノマリーは、通例「確保、収容、保護」をモットーとする財団でも積極的な終了、すなわち殺害が試みられることになっている。これについては、以下で述べる問題点が浮上するためである。
現実改変の問題点
収容上の問題
現実改変者はとにかく何から何まで改変できる (ことが多い) 。どんな脅威であっても――核兵器、生物兵器、化学兵器、その他一般に人間にとって脅威であり得るもの、そしてアノマリーであっても自分の思うままに作り変えたり、消してしまったりすることができる。笊に水を貯めておけないように、彼らにとっては自分の意識さえあればすべての脅威はないも同然なのである。
仮に彼らと友好的な関係を築けているのであれば――なお警戒せよ。なにしろ、それはすなわちあなたが彼らにとって都合のいい存在に成り下がっていることを示すからだ。
故に、彼らの意識を恒久的に喪失させる=殺害することが唯一無二の手段であるのだ。
なお、現実改変者は意識したものであればいくらでも対処できる。そのため、対現実改変者の終了施行ではとにかく現実改変者の意識の外からいきなり銃弾を脳幹に二発撃ち込むなど、気付かれずかつ速やかに事を終えることが要求される。
ただし、ごく少数の現実改変者は意識がないときでも現実改変を限定的に起こせることが知られている。
作劇上の問題
現実改変者はとにかく何から何まで改変できる。これはすなわち、どんなに強いアノマリーが来ようともそれに勝ってしまうということでもある。これをそのまま残すと、物語が非常に陳腐になってしまう。このため、現実改変者がそのままアノマリーとしてカウントされるには、物語としての厚みを要求される。SCP-3480 (オリンポス山) や SCP-239 (ちいさな魔女) が現在でも生き残っているのはその物語性こそが主要因といえる。単に強いだけなら脳幹に2発銃弾をくれてやるのだ。
――とはいったものの、SCP-682 (不死身の爬虫類) やSCP-076-2 ("アベル") は現実改変に対しての耐性があることも知られている。現実改変ごときに負けるようでは最強の壁は超えられないということなのだろうか。
現実改変者の段階
現実改変は世界オカルト連合によれば、以下の4段階を辿るとされている。
Phase 1: 拒否 (Denial)
最初の段階では自分が現実改変能力を有するなんて信じられるはずもなく、なにかの偶然であると信じ込んだりするなど合理的な理由をつけて自身の能力の存在について認知を拒絶する。いくつかのケースではここで終了し、当然財団や世界オカルト連合といった正常性維持機関も気づくことなく終わる (そうそう都合よくカント計数機なんか持っていないからだ) 。
だが多くの場合は次のフェーズに進む。
Phase 2: 実験 (Experimentation)
自分の能力について知った後は、それがどれくらいのものなのか、試してみようとする。例えば、おもちゃのコインを貨幣に変えたり、ボロボロのカバンをブランド物に変えたりするなどである。
暫くの間はこのフェーズに留まるが、じきに次のフェーズに進むことになる。
Phase 3: 安定 (Stability)
このフェーズにおいては、彼らは能力の境界を決定し、それにともなって自身の現実改変能力の制御を行うようになる。
そして必要に応じてのみ能力を使用し、普通の日常を維持しようとする。場合によっては、能力を使用することさえやめてしまう。しかし――
Phase 4: お子様神 (The Child-God)
哀哉、結局多くの現実改変者は自制を失い、幼稚な全能感に身を委ね、とにかく堕落し世界を好き勝手に歪曲しだす。
こうなってしまっては、もはや脳幹に二発の銃弾をくれてやるより方法がなくなるのだ。
SCP-019-JP (普通のボノボ) などはあまりに典型的な例と言えよう。こいつは自身の全能性に溺れ、数多くの窃盗、暴行、殺人、強姦、[削除済]を繰り返し、それを糾弾されると癇癪を起こす残忍で幼稚で女性蔑視のきらいのある男であった。
関連用語
ヒューム値 (Hume)
現実強度の値。普通の状態のそれを「1Hm (1ヒューム)」と定義している。
現実強度の強い側は弱い側を書き換えることが可能となる。つまり、妄想したことを「現実」として一方的に押し付けることが可能となる。
たとえばSCP-239 (ちいさな魔女) の場合は周囲現実強度を30Hmに引き上げ、自身の現実強度は500Hm (30/500) であるということでかなり強力な現実改変者となる。SCP-343 (神) は1/860。つまり周囲現実強度を上げないが自身の現実強度が強すぎるのだ。
また、普通の人間であっても、自分のいる場所の現実強度が著しく下がっていれば現実改変を行うことが出来てしまう。SCP-540-JP (ンボボボさん) のケースはこれに該当する。
ヒューム値の差がありすぎる場合は、より現実強度の弱い方、つまりヒューム値の低いほうが構成材質の剥離を引き起こしたり、消滅させられたりする。SCP-1000-JP (特別回収任務) ではこれを「希釈」と表現している。
スクラントン現実錨 (Scranton Reality Anchor)
略称:SRA。ヒューム値を任意の値に留めるために財団が作った道具であり、これによって現実改変を防ぐことができる。初出はSCP-2000である[1]が、以後さまざまな作品で登場し、SCP-3001 (レッド・リアリティ) ではその誕生経緯が示された。
カント計数機 (Kant counter)
ヒューム値を測定できる機械。スクラントン現実錨でヒューム値を100と0で固定した2つの小型現実空間へのポータルによって構成されている。
関連動画
関連コミュニティ・チャンネル
関連リンク
関連項目
これも現実改変の為せる技なのでしょうか……?
現実改変とは、文字通り今この現実の有り様を書き換えてしまうことである。
特にシェアード・ワールド『SCP Foundation』で頻出するが、似たような事例は他の作品でも用語の存在・不存在にかかわらず存在している。そのため、本記事ではあくまで、SCP Foundationにかぎらず全般的な話を行うものとする。
概要
「もしも、○○が✕✕だったら」という夢想をしたものは数多かろう。現実の世界をその「もしも」の世界に書き換えてしまえる、そんな能力こそが現実改変能力である。
過去改変や歴史改変といった、「過去を変えることで現実に影響を及ぼす」という手段を取らず、「今ある現実を自分の考える『理想』に塗り替えてしまう」ことこそが現実改変である。既に絵が描いてあるキャンバスに、上から別の絵を描いてしまうような、そんなイメージを持てばわかりやすかろう。
欲しいものは恣に、すべての人間関係も思うがまま、何もかも作り直したり、存在しないことにできてしまうという正しく全知全能の神の如き所業である。そして、そうであるがゆえに物語で登場させる際には注意を要する能力でもある。なにしろ、物語を根本から覆しうる存在であるため、設定を破綻させかねず、読者にも「どうせこいつ現実改変できるんだからさっさとその敵を消せばいいじゃないか」などと飽きられてしまいかねない。
基本的に主人公の能力として扱う際は特に注意を要する。基本的には「改変できる範囲には限度がある」とか、「そもそも自分自身はそういった能力に気がついていない」というような制約を設けることがある。また、敵の能力としても強すぎて倒しきれなくなるので、直接対峙する対象としてではなく、中立者や第三勢力、あるいは機械仕掛けの神 として登場させることが多い。
主な現実改変者・アイテム
SCP Foundationに関しては多すぎるため割愛する。
キャラクター |
アイテム・システム |
関連動画
関連項目
- 歴史改変 / 過去改変 / 常識改変
- ドラえもん
- X-MEN
- SCP Foundation
- デウス・エクス・マキナ
- 重複 / 光害 - 構成を参考にしました。この場を借りてことりさん、ぎみっく@gimmickgangさん、Kippisさんに厚く御礼申し上げます。ありがとうございました。
脚注
- *この作品の元ネタであるSCP-1422 (イエローストーンの怪) を書いたAkumeoy (Communism Will Win) の旧Screennameが「Scantron」であったことから、これを捩って「Scranton」と名付けられている。
- *劇中では見せていないが、本人のセリフからオーマジオウも仮面ライダーオーマジオウと同じ能力を有している可能性は高い (というよりも、有しているからこそ過去の自分にそれを教授しているともいえる)。
- *『かがみのない世界』『ためしにさようなら』では現実改変能力としての描写がされている一方、『のび太の魔界大冒険』ではパラレルワールドを作り出すひみつ道具として定義されている。このため、ドラえもんファンの間ではこのひみつ道具の機能が現実改変かパラレルワールドの作成、あるいは移動なのか現在でも議論が続けられている。
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