行政機関としての省
日本
701年大宝律令により行政機関として2官8省が置かれた。8省は中務省・式部省・治部省・民部省・兵部省・刑部省・大蔵省・宮内省である。
1869年、明治の官制改革により中央行政機関として省が復活する。当初置かれたのは6省。民部省・大蔵省・兵部省・外務省・刑部省・宮内省である。その後、いろいろ統廃合が行われる。
現在の省は以下のとおり。
中国大陸
あまり知られていないが、隋・唐時代までは中国大陸(もちろん中華民国成立以前の話だが、以下便宜的に「中国」と表記)でも使われていた。「三省六部」として、中書省・門下省・尚書省が置かれた。しかしながら唐末期より名目上の存在となり、明代に三省で最後に残った中書令が廃止され、省が行政組織として使われることはなくなった。
現在、行政区画組織としては中華人民共和国・中華民国では「部」、大韓民国では「부(部)」、ベトナムでは「Bộ(部)」が使われているが、朝鮮民主主義人民共和国では「성(省)」が使われている。
行政区画としての省
河北省、山西省、遼寧省、吉林省、黒竜江省、江蘇省、浙江省、安徽省、福建省、江西省、山東省、河南省、湖北省、湖南省、広東省、海南省、四川省、貴州省、雲南省、陝西省、甘粛省、青海省である。
なお、中華民国(台湾)においても使われていた(名目上は現在も存続)が、国共内戦で台湾に追われ、台湾省(ごく一部に福建省(金門馬祖)を含む。1959年までは浙江省の一部も領有していたが)のみとなった後、「凍省」として機能は凍結され、県と直轄市が第一級行政区画となって現在に至る。
漢字として
- 意味
- 視察する、よく視てみる、安否を尋ねる、かえりみる、悟る、省く、減らす、節約する、審らか、善い、禁中、役所、行政機関の名、という意味がある。また眚と通じて、災いという意味がある。
- 〔説文解字・巻四〕に「視るなり」とある。〔広韻〕に「省署なり」「察なり、審なり」とある。
- 字形
- 形声で声符は生。甲骨文・金文・篆文では目の上に屮があるような形であり、後に生の形になった。また直の甲骨文とされる字(目の上に縦棒)と似ており、似た起源の字とされる。白川静は、屮の部分はもともと目の上に呪飾を表しているとしている。〔説文〕には「眉の省に從ひ、屮に從ふ」とある。
- 音訓
- 音読みはセイ(漢音)、ショウ(呉音)、訓読みは、かえりみる、みる、はぶく、さとる。
- 規格・区分
- 常用漢字であり、小学校4年で習う教育漢字である。JIS X 0213第一水準。1946年に当用漢字に採用され、1981年に常用漢字になった。
- 声符
- 昭を声符とする漢字には、𡞞、渻などがある。
- 語彙
- 省画・省悟・省耕・省曠・省察・省審・省庁・省都・省読・省筆・省風・省文・省墓・省問・省覧・省略・省力
異体字
- 𡮀は、〔説文〕に「古文、少に從ひ囧に從ふ」とある古文。
- 䁞は、〔集韻〕にある古文。
- 𥄾は、〔集韻〕の本字。
- 㗂は、〔漢語大字典・異体字表〕にある異体字。口を噤むという別の意味がある。
- 䚇は、〔漢語大字典・異体字表〕にある異体字。漏えいするという別の意味がある。
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