石ころぼうしとは、藤子・F・不二雄の漫画・アニメ『ドラえもん』に登場するひみつ道具である。
概要
見た目は石をかたどった帽子。これを被ると姿は見えているままだが、まるで道端に転がっている石ころのように他者から気にされなくなる。(「道端の石ころ」という説明はドラえもんによる例え話であり、文字通り「石ころとして見られる」という訳ではない)
姿が見えなくなるひみつ道具は透明マント、かたづけラッカーなど多数あり、この世の数多のフィクションでも同様の能力が登場する。しかし姿を消すだけでは声が聞こえるし、他者に触れたらバレてしまいかねない。それに対して、石ころぼうしは使用者の姿だけではなく声や触られた時の感覚なども認識されなくなる。すなわち使用者の存在そのものが認識されなくなる道具であり、相手の感知能力や自身の隠密能力に関わらず有効なので、単純な透明化より遥かに優れた擬装といえる。
ただし石ころぼうしはもしもボックスなどと同様に、登場する作品によって設定が変わっている場合がある。例に挙げれば、
- てんとう虫コミックス第4巻「石ころぼうし」では、上述した通り使用者の存在そのものが認識されなくなる道具とされている。劇中ではロボット(機械)のドラえもんにも有効だったり、使用者の姿はもちろん声も認識されず、嗅覚に優れた犬が通りがかっても使用者を認識していない。更には相手に触れたり所持品を奪っても、その相手は使用者に触られたことや所持品を奪われたことに気づいておらず、使用者から汗などの体液が飛び散ったとしても、周囲の人々はその体液を認識していない。それどころかドラえもんがのび太に石ころぼうしを被せた時は、ドラえもんはのび太が見えなくなったと思わず「最初から誰もいなかった」と認識し、自分でのび太に石ころぼうしを被せたことを忘れた様子でその場から立ち去ろうとしている。そのため相手の記憶が消えていると取れる描写すらあり、この作品では「使用者の存在そのものを完全に消失させる」と言って差し支えないほどに高性能な道具とされている。
- てんとう虫コミックス+4巻「災難予報機」では、上述した通り使用者の存在そのものが認識されなくなる道具とされている。劇中ではドラえもんとのび太が石ころぼうしを被った状態で静香に触れたり話しかけたのだが、静香は二人の声や触られたことに気づいていない。それだけではなく、この作品では石ころぼうしを被っている人同士はお互いの姿や声などを認識できるとされており、ドラえもんとのび太は石ころぼうしを被ったままの状態で会話している。
- 「のび太の魔界大冒険」では、使用者の姿は見えなくなるものの、声や臭いは認識可能であり、無暗に騒ぎ立てたり臭気(体臭や便臭など)を放てば知覚される惧れがある道具とされている。しかしこの描写は上述した二作品の描写と矛盾しており(一部のファンの間でもこの矛盾を指摘する声が上がっている)、公式がそれを把握していたのかは不明だが「のび太の新魔界大冒険~7人の魔法使い~」では、石ころぼうしがモーテン星(使用者の姿が他者の盲点にしか届かなくすることで、結果的に姿を見えなくすることができる道具)に変更されたことで矛盾がなくなった。
- 「ドラえもん3 魔界のダンジョン」(こちらでは「石ころ帽子」表記)では、装備品の一つとして登場している。その効果はバランスブレイカーそのもので、雑魚敵からラスボスまで全ての敵に気づかれなくなるためプレイヤーが一方的に攻撃し放題となる。一応「満腹度減少が通常の三倍になる」「ダッシュすると一時的に効果が解除される」という作品独自のデメリットはあるものの、これらはコンクフード(所持していれば満腹度減少が通常の半分になる食品系アイテム)とダッシュ封印でほぼ無効化することが可能。
- 「のび太の空飛ぶ船」(グランブルーファンタジーとのコラボ作品)では、上述した通り使用者の存在そのものが認識されなくなる道具とされている。この作品ではてんとう虫コミックス第4巻「石ころぼうし」での描写が完全再現されており、使用者の姿や声が認識されないのはもちろんのこと、気配に敏感な魔物も石ころぼうしを被ったドラえもんたちに全く気づいていなかった。それだけではなく、誰かと喋っている状況で石ころぼうしを被った時は、周囲の人々は使用者が見えなくなったと思わず「最初からそこには誰もいない」と認識し、使用者と喋っていたことを忘れた様子でそのまま他の人々と会話を続けており、誰かに追いかけられている状況で石ころぼうしを被った時も、追いかけていた人は使用者が姿を消したとは思わず「最初から誰のことも追いかけていない」と認識し、使用者を捕まえようとしていたことを忘れた様子でその場から立ち去っている。更には石ころぼうしを被った山賊(劇中に登場する敵キャラクター)がドラえもんのポケットからひみつ道具を盗んだ時は、ドラえもんはそのことに気づいておらず、道具の個数を確かめた時でさえ盗まれた道具があることに気づいていなかった。それどころか石ころぼうしを被った山賊がドラえもんたちを縄で縛った時は、ドラえもんたちは縛られていることに気づかないまま会話を続けていた。(ただしドラえもんのフェイトストーリーでは「のび太の魔界大冒険」と同様の描写になっているが)
また、不老不死のような存在になる訳ではないので、他者から気づかれないが故に重傷を負ってしまうリスクもある。それだけでなく先述の重傷や疾病などの理由で帽子を自力で外せなくなった場合、効果を解除することができないが故に支援を求めても周囲に気づいてもらえず、そのまま力尽きて一生を終えてしまうリスクを背負うことにもなる。
のび太がサイズの小さい帽子を被った際に抜けなくなったことから、伸縮性は低いものの、水でふやけてしまう程度には柔らかい素材となっているようだ。ただし先述の「災難予報機」でドラえもんが被った時は、大きな頭に帽子を乗せているだけでも特に問題なく効果を発揮しているため、無理して被る必要はないらしい。
同様の能力が登場する作品の一覧
作品名(五十音順) | 使用者 | 能力名 |
ウィッチクラフトワークス | 全ての魔女 | ローブ(工房側はディブリス(闇の衣)) |
黒子のバスケ | 黒子テツヤ | ミスディレクション |
咲-saki- | 東横桃子 | - |
ゼルダの伝説 ムジュラの仮面 | リンク | 石コロのお面 |
戦闘破壊学園ダンゲロス | 駒沢 | I.Z.K(いつからいたの? ぜんぜん気付かなかった!) |
とある科学の超電磁砲 | 重福省帆 | 視覚障害(ダミーチェック) |
東方project | 古明地こいし | 無意識を操る程度の能力 |
めだかボックス | 日之影空洞 | 知られざる英雄(ミスターアンノウン) |
ぬらりひょんの孫 | 奴良リクオ | 明鏡止水 |
HUNTER×HUNTER | メレオロン | 神の不在証明(パーフェクトプラン) |
BLEACH | 有昭田鉢玄 | 八爻双崖 |
魔法先生ネギま! | 村上夏美 | 孤独な黒子(アディウトル・ソリタリウス) |
魔人探偵脳噛ネウロ | 脳噛ネウロ | 無気力な幻灯機(イビルブラインド) |
関連項目
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