三代目笑福亭仁鶴とは、日本の落語家である。現在の上方落語界の重鎮というべき噺家だった。
概要
本名は岡本武士(おかもとたけし)。1937年、大阪市出身。高校時代に古道具屋のワゴンセールで初代桂春団治のSPレコードを買い、自宅の蓄音機で落語を聴いたことがきっかけで落語に目覚め、演芸好きの仲間と天狗連(素人の芸人集団)を結成。その中には後に一世を風靡する二代目桂枝雀もいた。ラジオ番組の出演で才能が認められ、1961年に6代目笑福亭松鶴に弟子入りする。
笑福亭松鶴一門は松竹芸能所属が多かったが、仁鶴は師匠の松鶴らの薦めもあり吉本興業に所属し、デビュー当初からテレビ、ラジオ、映画と大活躍。桂三枝(現:六代目桂文枝)や月亭可朝らと共に出演した「ヤングおー!おー!」でその名は一躍全国区となり、吉本の覇権奪回の骨格を築いた。その功績から仁鶴を「吉本中興の祖」と敬う声は多く、2005年には吉本興業の特別顧問に就任している。
上方落語協会では桂小文枝が第4代会長を務めていた1984年~1994年に副会長として活動。また、弟子の笑福亭仁智が第7代会長に就任した2018年からは相談役となっていた。
落語を知らない人でも、NHKの土曜昼に放送されている長寿番組「バラエティー生活笑百科」の相談室長として仁鶴を知っている人は多いだろう。「四角い仁鶴がまぁるく収めまっせ~」という台詞もお馴染みである。
落語家としての実力も高く、人気は師匠の笑福亭松鶴をも超える勢いがあった。そして七代目松鶴襲名の話もあったほどであったが、大人の事情で見送られた。得意な演目に「池田の猪買い」「次の御用日」「ないもん買い」「へっつい盗人」などがある。芸風としては抑揚が少なめでテンポよく、互いが相槌を打つような呼吸の取り方が特徴的であった。若い頃はもっと声も澄んでおり、スピーディーな語りであったが、声帯を痛めてからはじっくりと聴かせる芸風に変わった。
2021年8月17日に骨髄異形成症候群のため自宅で逝去していたことが、8月20日に吉本興業より公表された。
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