簡体字とは、中国およびシンガポールにおいて現在正字として採用している、従来よりも簡略化した漢字。簡化字とも呼ばれる。
概要
1956年、中国の文字改革委員会が「漢字簡化法案」として公布した。その後1964年に「簡化字総表」を公布し、この中では以下の3種類の表を提示している。
- 偏旁として使用できない簡体字 (350文字) - 例えば「習」は「习」と略すが、「習」を部分とする漢字には適用しない。
- 偏旁として使用できる簡体字 (132文字) および簡化偏旁 (14種) - 例えば「賓」は「宾」と略し、これを部分とする「濱」も同様に「滨」と略す。後者の「簡化偏旁」は糸偏の漢字を「纟」と略す等、偏旁となる時のみ適用する形を示した物。
- 上掲二表を実際に適用した簡体字 (1753文字)。
現在の中国では、看板や印刷物等において全てこの簡体字を使用しており、簡略化する前の漢字は「繁体字」と呼ばれる。日本では戦後に当用漢字や常用漢字において一部の字体の簡略化が中国に先駆けて行われており、この字体は「新字体」と呼ばれており、それ以前の簡略化する前の漢字は「旧字体」と呼ばれている。
新字体と簡体字では、「学(學)」「国(國)」「会(會)」「点 (點)」等、簡体字と字形が一致する物も一部存在する、しかし一般的に言えば簡略の具合は「繁体字>新字体>簡体字」の順で「樂>楽>乐」の順番である。ただし例外もあり「櫻」の新字体は「桜」だが、簡体字では「樱」と繁体字に近い簡体字も存在する。
1977年にさらなる漢字の簡略化を進めるため「第二次漢字簡化法案草案」が発表されたが、読みにくい等の批判が多く、間もなく廃止となった。
香港および台湾では簡体字を採用しておらず、現在でも繁体字を正字として使用している。なお台湾では繁体字とは呼ばず正式名称としては「正体字」と呼んでいる。
東南アジアでは、中国系が圧倒的多いシンガポールでは1969年に『簡体字表』を発表し、この表により、シンガポールは中国大陸とは異なる独自の簡略化(参考として、「亞」の簡体字として中国大陸では「亚」を採用したが、当時のシンガポールは日本と同じ「亜」に近い字を採用した)を進めたが、1976年に発表された『簡化字総表』でシンガポールの簡体字は中国大陸のものと基本的に一致するになった。
また、同じく中国系が多いマレーシアでは1981年に『簡化漢字総表』を発表し、中国大陸と同じ簡体字が実施され、現在のマレーシアの中国系の学校など教育の場では簡体字を多く採用しているが、あくまでも正式採用ではないので、街中の看板や案内等では簡体字か繁体字がごっちゃになっている事も多い。
簡体字の例
以下、括弧内は繁体字の字形を表す。
- 草書体の字形を楷書化する。
讠 (訁) 钅 (釒) 饣 (飠) 纟 (糹) 𠃓 (昜) 𠬤 (睪) 门 (門) 为 (為) 专 (專) 韦 (韋) 贝 (貝) 长 (長) 马 (馬) 东 (東) 发 (發・髮) 亚 (亞) 买 (買) 齿 (齒) 鸟 (鳥) 佥 (僉) 师 (師) 爱 (愛) - 古字や俗字で画数の少ない物を採用する。
万 (萬) 个 (個) 从 (從) 尔 (爾) 云 (雲) 无 (無) 网 (網) 岁 (歲) 阳 (陽) 阴 (陰) - 元の字形の輪郭や部分等、特徴的な部分を残す。
乡 (鄉) 亲 (親) 离 (離) 务 (務) 复 (復・複) 业 (業) 电 (電) 儿 (兒) 广 (廣) 产 (產) 卢 (盧) 气 (氣) 飞 (飛) 妇 (婦) 击 (擊) 丰 (豐) 术 (術) 灭 (滅) 夺 (奪) 齐 (齊) 乔 (喬) 涩 (澀) - 同音のより画数の少ない漢字で、一部または全部を置き換える。
补 (補) 怀 (懷) 沟 (溝) 块 (塊) 优 (優) 拥 (擁) 华 (華) 丑 (醜) 干 (乾・幹) 谷 (穀) 郁 (鬱) - 一部を「メ」「又」等の単純な筆画に置き換える。
区 (區) 冈 (岡) 风 (風) 凤 (鳳) 邓 (鄧) 汉 (漢) 观 (觀) 鸡 (鷄) 轰 (轟) 报 (報) 执 (執) - 会意文字や形声文字の原理を応用し、新たな字形を作る。
尘 (塵) 丛 (叢) 众 (衆) 队 (隊) 护 (護) 忧 (憂) 惊 (驚)
新字体との字体衝突
新字体も簡体字も同じ繁体字(旧字体)からの略字だが、同じ漢字でも元の繁体字(旧字体)が異なる場合がある、 以下はそれの例を挙げる
- 『机』:新字体では「つくえ」と意味するが、簡体字では「機」の略字である。よって「機械」は簡体字では「机械」と書く。ちなみに中国語で「つくえ」を指す漢字は現在は「桌」である。
- 『叶』:新字体では国字である「かなえ」だが、簡体字では「葉」の略字である。よって「秋葉原」は簡体字では「秋叶原」書く。また、日本の名字と中華圏の苗字に「叶」と言う苗字があるが、日本の場合は国字のそのまま「かなえ」または「かのう」であり、中華圏(特に簡体字圏)では「葉」の略字であるので、新字体(繁体字)に直すと「葉(よう)」と言う名字になるので注意が必要。
- 『芸』:新字体では「藝」の略字だが、簡体字では「蕓」の略字である。「蕓」とはアブラナ科の植物の一種である漢字の一つである、ちなみに「藝」の簡体字は「艺」なので注意。
- 『郁』:「鬱」の簡体字。新字体の衝突ではないが同じ発音で置き換えた字が元々あった字と衝突した事例、置き換えた字である「郁」は元々は日本語でも中国語でも「良い香り」と言う意味でつかわれている字であるが・・・・・・ここまでくると、わけがわからないよ
おまけ
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「衞(衛)」の簡体字である「卫(wei4)」は、歴史的仮名名遣の「ゑ」の片仮名である「ヱ(we)」を中国に逆輸入して出来た簡体字だと言う説がある。(実際に日本でも「衛」の略字で、ぎょうにんべん+「ヱ」で書く事例もあるそうだ。)
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「澤」の簡体字は「泽」新字体は「沢」と、「睪」が旁に来た場合、簡体字では原形をとどめた「𠬤」を使われているが、新字体では代替の字として「尺」が使われている。これは「釋(釈)」が同音「尺」を旁の代替字にしたところ、「睪」が旁に来た時は「尺」に当てはめるようになったのだとか。
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関連項目
外部リンク
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読み:カンタイジ
初版作成日: 12/02/05 20:04 ◆ 最終更新日: 12/04/11 23:51
編集内容についての説明/コメント: おまけ追加(衛の簡体字について)
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