紅楼夢とは、18世紀頃、中国清朝時代に書かれた長編小説である。
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概要
~女儿是水做的骨肉 男子是泥做的骨肉 見了女儿便清爽 見了男子便覚濁臭逼人~
(意訳:「女の子の体は水でできている だけど男の体は泥でできている。
女の子に会うと爽やかな気持ちになるけど 男に会うと汚いし臭いしマジきつい」)
18世紀頃、中国清朝時代に口語体で書かれた長編小説。執筆された当時の原題は『石頭記』。一般に曹雪芹の作とされるが異説もある。また、現存している全百二十話のうち、曹雪芹の手による部分は前半八十話のみとされる。
内容は主人公である賈 宝玉(か ほうぎょく)と従妹の林 黛玉(りん たいぎょく)との悲恋であるが、単なるロマンスとしてより、当時の上流階級の生活や登場人物の交情などの緻密な描写が文学作品として高く評価されている。この作品を研究する者も居り、「紅学者」と呼ばれた。中国では『西遊記』『三国志演義』『水滸伝』の三つと並んで、『四大名著』の一つに数えられる。ちなみにこの『紅楼夢』を外して『金瓶梅』を入れると『四大奇書』と呼ばれる。
当時の官僚政治への批評的内容を含んでいるためか、もしくはその艶やかなストーリーが問題視されたか、はたまた熱狂的ファンによる過熱気味の人気(後述)を抑えようとしたのか、一時は禁書に指定されてしまった。現存する後半四十話の作者が前半と異なるのは、禁書になっている間に八十話より後の原稿が失われ、さらに禁書が解除された頃には曹雪芹が病死してしまっていたためとも言う。
ちなみに日本語訳も数種類出ているが、青少年向けの訳では男女の関係など刺激的な部分がオミットされている場合もあるようなので、読む前にその翻訳版の評判についてよく調べよう。
内容
長編であるため多数の登場人物が居るが、特に多くの美少女・美女が出てくることで有名。
病弱で儚げな美少女だがツンデレ(後にヤンデレ)なメインヒロイン「林 黛玉」、才色兼備な人格者でライバルである黛玉からも好かれるほどの優しさを持つ第2のヒロイン「薛 宝釵」、男の子の服を着たりする元気なおてんば娘「史 湘雲」、主である主人公のことを常に案じている侍女で主人公の初体験の相手でもある「花 襲人」など、様々な個性を持つ美少女キャラが多数登場する。
名家「賈」家の御曹司である主人公「賈 宝玉」は、自らの家が所有する広大な庭園に住み、その庭園を舞台にこれら多くの美少女・美女達と交流していく。ちなみにこの主人公は学問の才能がありやればできる子なのだが、勉強を嫌って女の子と遊んでばかりいると言う割とダメな少年である。
この記事冒頭のダメ人間な台詞は彼の台詞の抜粋であるが、この小説を読んできた歴史上の数々の中国人たちの心にこの名言が深く刻まれていたことであろうと思うと感慨深い。また、彼は前世では天上界の人間であり、ヒロインも前世では彼を慕っていた仙女であったりとファンタジー的な設定もある。
ギャルゲーっぽい?
「少しダメな少年が多くの可愛い女の子たちに囲まれて、前世から運命付けられたロマンスを繰り広げる」という内容から、現代の日本のオタはギャルゲーを連想するかもしれない。実は清朝の頃のこの作品への世間の反応は現代日本のギャルゲーへの反応に似ており、「こんな軟弱な作品はけしからん」と批判する文章も残されているという。
また、この作品を熱狂的に愛するファンも多く生み出し、彼らは「紅迷」と呼ばれた。中国語で「~迷」には「~マニア」「~好き」「~狂い」といった意味合いがあり、「紅迷」は現代日本語風に言うと「紅楼夢オタ」といった感じだろうか。「紅迷」の奇行はいくつか現在にまで伝えられており、「『天上界に行ってヒロインに会ってくる』と家を飛び出して行方不明になった」「舞台になっている庭園のモデルになった場所を探してそこに聖地巡礼した」「病弱なヒロインを真似て何かと床に臥せるようになった」などがある。
なお、この作品は終盤では徐々に鬱展開となっていき、最終的には主人公は一人出奔して行方知れずになるというバッドエンド的なラストを迎える。ギャルゲーで例えると鬱ゲーである。これに対抗するように、清朝時代には多数の二次創作小説が執筆され、紅迷たちに読まれた。その多くはヒロインと結ばれるハッピーエンドであったりハーレムエンドであったりしたという。いつの時代も、どこの国でも、オタの行動は似たようなものであるようだ。
Gamebridge版紅楼夢
紅楼夢は本国中国において様々なゲームが出ているが、中でも注目といえるのはGamebridge(北京娯楽通科技発展有限公司)から販売されているものだろう。
これは中国風リアルチックな絵柄とは違い、日本風の萌え絵で描かれているギャルゲーで、若干のクセはあるものの充分に萌えられる代物となっている。公式サイトで画像も確認できる。
ストーリーは主人公の賈宝玉が前世を追体験した後、記憶喪失で目が覚めたところから始まり、ヒロイン達と交流しながら記憶を辿っていくという筋になっている。また、前世に置いて結ばれていたのは林黛玉ではない別人になっているのもポイントである。
原作のエピソードを辿りつつも独自の展開に持っていっている面白い作品なのだが、いかんせん中国語なので、中国語が分からないと意味が分からない。このため難易度もかなりあがっている。日本語版がリリースされることを深く望む今日この頃であるが、タイ語ではなく漢字であることや原作を参考にできるだけマシかもしれない。強いていうなら大陸の簡体字よりも香港の信和中心で買える繁体字版のほうが理解しやすいだろう。
攻略可能なのは林黛玉、薛宝釵、史湘雲、花襲人に加えて蒋玉函……ちょっとて待て。なぜ男にもルートがあるっっっ
後に「林黛玉与北静王」というボイス付き・CG・文章増強・攻略キャラ増加という仕様の作品がリリースされているが、攻略可能なのはツンデレメイドの晴雯(セイブン)導士の妙玉、そして北静王……またしても男の増強である。BLゲームの要素も取り入れたということだろうか。その追加版の公式サイトはこちら。
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