概要
素数大富豪は、トランプゲーム「大富豪」をヒントに開発されたゲーム。考案者は数学者の「せきゅーん」氏。2人以上から遊べる。有志によりコンピュータ対戦が開発されたのでお一人様もどうぞ。
大雑把にいえば、素数ばかりを出していく大富豪である。ルールは次の節で解説する。ぶっちゃけ数が素数であるか素数でないかを考えるのはなかなか難しかったりするが、そこがゲームの肝でもある。やけくそになって手札全部を場に出したとしてもそれが偶然素数であれば勝ちになるし、大きな素数を出すと歓声が湧いたりする。
2014年に誕生。
闘会議2017、ニコニコ超会議2017ではアナログゲームエリアにてゲームを出展した。この辺りから数学好きな人だけでなく、SNSを通して一般の人にも徐々に広がっていっている。2016年より開催されている数学の祭典「MATH POWER」では、深夜に素数大富豪トーナメントが行われており、素数判定員の発する「素数です」等の声は若本規夫氏(録音)が務めた。
ルール
基本ルール
前述のとおり、基本的には大富豪が基になっている。また、このゲームにおいて場に出せる数字は原則「素数」だけである。ゲームの流れは以下の通り。
- プレイヤー全員に原則11枚の手札を配るとともに、プレイヤーの順番および最初の親を決める。
- 親となったプレイヤーがカードを好きな枚数使って好きな素数を出し、次のプレイヤーに手番を回す。
- 手番が回って来たプレイヤーは、場の一番上に出ているカードの枚数と同じ枚数(万一場が空なら好きな枚数)だけ使って、それよりも大きな素数を出し、次のプレイヤーに手番を回す。
- 手番が来たのに何も出せない・出したくない場合は、「パス」と宣言して次のプレイヤーに手番を回す。
- 手番が来てからカードを出すかパスをするまでの間に、山札のてっぺんからカードを1枚だけ引いてもよい。引いてから出すことも可。
- ゲーム中、誰もカードを出せないまま手番が一周したときは、場が流れる。最後にカードを出した人が次の親となり2.に戻る。
- ゲーム中、山札が不足しないように、流れたカード・捨てられたカードは溜まってきたら山札の一番下に補充しよう。補充しない54枚限定制も可。
といった感じでゲームが進められていく。いちはやく手札を使い切ったプレイヤーの勝利となる。
カードで数を表現する際は横一列に並べて(ただし指数は少し右上に!)、左から読み上げるものとする。
トランプのスートは無視し、数字の1~10、J、Q、K、ジョーカー(2枚)を組み合わせて何桁もの数を作っていく。「J、Q、K」はそれぞれ「11、12、13」として扱う。また、ジョーカーは0~13の好きな数字の代わりとして使うことができる。「3、7」を並べて「37」。「7、3」を並べて「73」。「Q、7」もしくは「1、2、7」を並べて「127」。「2、4、6、8、3」を並べて「24683」である。もちろんどれも素数だぞ。興奮してきたな。
素数の桁数ではなく、常にカードの枚数で縛られているので、よく「○枚出し」と言うが、「○桁出し」と言うことはあまりない。理論上は53枚出しまで可能(マジ)。初心者がいるときは3枚出しまでにしよう。
もしも、出した数字が素数でなく、以下の特殊ルールにも該当しなかった場合、ペナルティが発生する。ペナルティは、自分が場に出したカードを手札に戻した上でさらに「自分が出したカードの枚数」を山札から強制的に引かねばならない。カードを出せたことにはならず、手番は次の人に移る。
大きな素数になると判定がしづらくなるため、アプリを用いて素数判定・素因数分解の計算をすると良い。プレイをせずに判定だけを担当する素数判定員を1人設置することが多い。
特殊ルール
デフォルトで認められている特殊ルール。これ以外の特殊ルールを考案するファンもいるという。アレンジ等は自由です。
ジョーカーの扱い
ふだんは、0から13までの数の代用とすることができる。どの数の代用としたかは使うたびに明言すること。
1枚出しで場に出すときは、特定の数を表さず、とにかく13より強い最強の札として扱う。よって、出すと場が流れる(革命中はどうなる? わかる方は編集頼む)。
(ちなみに、ジョーカー2枚を以てしても作れない「40009」は、このゲームで作れない最小の素数でもである。逆にいえば4桁までの素数は全部作れる。)
合成数出し
素数を出すという基本ルールのほかに、条件を満たせば素数以外も場に出せるようにするルール。
例えば、「6」を出したい場合は、「6」を出すとともに素因数分解の「2×3」を捨てることで合成数出しとなり、場では1枚と扱うものの手札からは「6、2、3」の3枚消費することができるというものである。「76」の場合は、「4×19」なら4が素数ではないのでペナルティだが、「2×2×19」なら正しい合成数出しとなり、場では2枚と扱うものの実に「7、6、2、2、1、9」の6枚を消費できてしまう。さらに、「16」を「24」とするような指数の利用も認められており、この場合は「1、6、2、4」の4枚が消費できる。「16=2×23」「16=2(22)」も可。指数の多段重ねは右上から処理すること。0乗、1乗は認められていない。
数とその素因数を全て手札に持っているときにのみ可能となる逆転チャンスである。ただし素因数分解をミスると、(出そうとした枚数)+(捨てようとした枚数)分のペナルティを食らうぞ。
グロタンカット
「5、7」の2枚出しを何も捨てずに行うと、ペナルティはなく、場が流れる。いわゆる8切りに相当する。その高度な業績を解説することは凡人にはとてもできないがとにかく高名な数学者グロタンディークが、うっかり57を素数と言ったというエピソード[要出典]に基づいたルール。57は実は素数ではない。いや #57は素数 だろ
詳細は「グロタンディーク素数」の記事を参照。
「57=3×19」として合成数出しすれば発動しない。
ラマヌジャン革命
「1、7、2、9」の4枚出しを何も捨てずに行うと、ペナルティはなく、革命となり、通常の大富豪の革命と同じく小さい数ほど強くなるようになる。インドの魔術師とまで呼ばれた天才的数学者ラマヌジャンの、タクシー数のエピソードから名づけられたルール。1729もやはり素数ではないものの、ある種の確率的素数判定アルゴリズムをすり抜けてしまうような「絶対擬素数」という特徴も持つ。
「1729=7×13×19」として合成数出しすれば発動・解除発動しない。
TIPS
- 基本的な戦略としては、まずは素数を覚えていくところからとなる。初学者でも100未満の素数は押さえておきたい。特に「91」は通称パッと見素数と呼ばれる、一見素数っぽいが素数ではない合成数の代表格であるため要注意。最低でも「九九に登場する2桁以上の数は素数ではない」ことはざっくり認識しておこう。
- 簡単な合成数判定法として「すべての桁を足してみて3の倍数になったらその数は3の倍数」「5の倍数の下一桁は0か5しかない」などがある。
- 素数判定や合成数出しで失敗したときはペナルティとなることは上記で説明したが、それを逆手に取り、あえてペナルティを受けることで手札を増やし選択肢を広げるというテクニックも存在する。特に、意図的に間違った合成数出しを行い莫大な枚数を受け取ることは「合成数出しカマトト」と呼ばれる。素数大富豪のゲーム性に関わるためか、このプレイスタイルには賛否両論あるが、最近は上級者の必須テクニックとなっている模様。
- 理論上手札から出せる最大の素数は、
99998888777766665555444433332222131313131313121212121111111011010101111
である。実に71桁、約1000無量大数という素数であるが、これを実現するには53枚の手札が必要になる(必然的に相手の手札は「A」1枚となる)ので実戦ではまず不可能である。
関連動画
ルールの解説
プレイ動画
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関連項目
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