緊急ゆるポートとは、VOCALOIDを使用した楽曲投稿者の一人である。
旧名は“もうるすであびうす”。かつては“歌詞がこないP”と名乗っていた。
概要
独特な作風と世界観に定評のある人物。逆三角頭の魚っぽいキャラクターがトレードマーク。
その不思議な音楽性は一部のマニアから密かながらも確かな支持を得ているんだとか。
得意楽器は鍵盤楽器。トマトが大の苦手、死んでもトマトは食べない。
関連タグが現存している最古作は“さいきんねむくなる(2012/09/05)”であるのが一般認知。
しかし実際は更に前から作品を投稿していた模様。詳細は後述。
自主的には関連タグは付けておらず、自身のマイリストに登録していない現存作品もチラホラ。
一部の過去作は削除されていることもあり、過去の経緯に関しては謎を多く残している。
元々の気質として、あまり積極的に文章を残すタイプでないことも経歴の不透明さに拍車を掛けている。
“緊急ゆるポート”の銘の由来は某カードゲームの「緊急テレポート」を捩ったという話があるとかないとか。
しかし、なぜ「ゆる」なのかは不明。“もうするであびうす”の起源も不明。
そもそも緊急ゆるポートの銘が決まったのもGINGAのコンピ企画で名義が必要になったからであり、
彼自身の名義(投稿者名)については表記ブレの痕跡が残る。言うことが細かい? それもそうか。
P名の“歌詞がこないP”も活動初期に存在する歌のタイトルが由来。誰がつけたかは知らないが。
しかし定着はせず、後に自然消滅する。一応は自称していたのだが、これも時代か。
ちなみにP名の割には歌詞のない曲の割合は少ない。むしろ本当に歌詞がこない人はコッチ。
一人の作者であると共に一人のリスナーとして音楽界全体に関心を持ち続けている人物でもあり、
波長が合うのからか、様々な形で音楽を傾倒する者達との交流も積極的である。
特に活動の後期からは他作者とのコラボレーションやコンピレーション企画にも参加している。
単純に彼自身が人徳に恵まれていた所もあるとはいえ、その人気は動画の数値だけでは語れない。
現在は“swing to say(2015/11/09)”を最後にニコニコ動画の投稿は途絶えている。
それでも音楽活動は続けており、作品も外部で公開している事もある。興味のある人は追ってみよう。
作風
その歌で形而上の世界に“生活”を映し出す作風を持つ。
眠気と気まぐれと気だるさで奇々怪々に平々凡々。これぞ正しくゆる次元。
彼の作風を一言で説明するならば《型破り》と語るべきだろう。
一度は楽曲を整った形で作り、それを崩しながらノイズを取り入れる手法を得意としている。
また、楽曲の展開も割と独創的。エレクトロニカのように様々なサンプリング音を取り入れることも。
精通しているジャンルは“Jazz”。その作風もジャズサウンドを根幹に持つ。
他にもアンビエントやノイズミュージック、はたまたテクノやらドラムンベーズやらHIPHOPやらなど、
マイナーメジャーを問わず、ボカロ楽曲を含めた様々な音楽から着想を得ている。
一方でロック調やアニソン風の音楽とは縁遠い。インディーズ思考なのだろうか。
主なボーカルは“初音ミク”。V3にも対応済み。
しかし大胆なのかアバウトなのか、何故か作品ごとに声質が異なるのだが、
作品によっては歌詞字幕なしでは聞き取りにくい作品もある。むしろ割合的には多いぐらい。
本来の“歌唱”と違う扱い方が多い事も含めて、神調教がどうという次元とは無縁かもしれない。
キャラクター性は意識していたが、活動が深まるにつれて介入する余地がなくなっていった。
また、イラストや映像作品も自作しており、外部サイトから引用したことはない。
コラボレーションの一環としてイラストや映像を受けることはあれど、基本的には単独行動。
活動当初から現在に至るまで作風を徐々に変わっていった作者である。
以下は活動時期ごとの傾向を記載する。
黎明期
ニコニコ動画での活動を始めてから間もない時期。
ちなみに初投稿は上記の作品より前(12/06/08)に済ませていたようである。現在は削除済み。
今でこそ型破りで独創的と呼ばれる作風を持つ作者であるが、
この当時は割とオーソドックスな作曲が多く、そこまで逸脱した作風ではない。
むしろ奇抜さよりも、どこかあどけなさを残しているかのような雰囲気を醸している。
なお、この当時からジャズに傾倒した作曲姿勢や、トレードマークのアレも現れている。
それで極々平凡な作品ばかり出していたというわけではなく、
“歌詞がこないの歌”や“たまごん”、“M-85星雲”等のように個性を放っている作品も存在する。
独自性は既に現れており、密かながらも例の業界から目を付けられていたようである。
イラストは線画が主体。簡素ながらも、時折見せる繊細なタッチにはセンスが光る。
ペイントソフトで描いていたこともあるが、手応えがなかったのか長続きしなかった。
現在の作風に繋がるような特徴の鱗片は垣間見れるものの、
まだまだ発展途上であり、型破りと呼ばれるアレンジの発想には至っていない。
決してファンが居なかった訳ではないが、それでも総合的な評価は控えめ。
本格的に注目されるようになったのも、これより少し後の話である。
なお、これらの楽曲は作者自身のマイリストには加えられていない。
作品の中には関連タグのなかったものもあり、ほぼ完全に埋没しかけた作品も少なくなからず。
投稿一覧(黎明期)
朝雨が降るのって困る | 夏はテレビをみるのもあつい | ひつじ | 歌詞がこないの歌 | ケーキよりも和菓子 |
---|---|---|---|---|
さいきんねむくなる | 明日テストだったかも | ミクのせいでピアノの音がわれるからこれでいいや | かぼちゃ | 歌詞も根気もないんです |
まなつかわ | たまごん | うぃずしゅがー | M-85星雲 | ろいあるみるく |
揺籃期
現在の印象と評価が現れ始めた時期。転換期とも。
作者自身もマイリストにて「ここら辺から何かが変わった」とコメントを残している。
前述の通り、一度崩した楽曲を再構築させるアレンジに乗り出した時期であり、
その様はボカロアングラ界の創始者であるヒッキーPから
「音楽経験が深くて表現方法もアクティブに追い求めてて、
音楽聴きとしての造脂も相当に深い人の、DTMとしての完全なる初心者作品。」
…などと言わしめる程。当然のようにアングラカタログ入りしたのは言わずもがな。
実際どの作品も有名なボカロ楽曲のイメージとは大きく懸け離れたものばかりであり、
エキセントリックながらも挑戦的な作曲に挑み続けていたといえる。
曲の最中にメロディや歌声を急展開させた“ミジンコは生きるの歌”などが良い例である。
ただ、作品ごとにテーマを定めていたかは微妙。思いっきり「適当」と言ってたのもあるしなぁ。
総じて作品全体の完成度は未だに安定しているとは言えず、
良く言えば実験作の連続、悪く言えば作品ごとの安定感が乏しく、
その手の音楽に聴き慣れていないリスナーには取っ付きにくい程度には荒々しさが残る。
コンセプトがあって不安を煽るような曲調にしてるのか分からないので、余計タチが悪い。
良くも悪くも個性的であり、些か他人に勧めにくい要素も含んでいただろう。
とはいえ“食べジャズ”や“Qムーンベース”、“のっとりりっくいずばっと”など、
ニコニコ動画内で最も評価の高い作品が登場した時期でもある。
むらっ気があったとはいえ、それが必ずしも悪いことばかりではないのだ。
イラストは線画が主体だが、タッチは若干デフォルメ趣向に変化。以降の作画の基となる。
しかし、この時期は映像演出が非常に多く、加工抜きのイラストは見られない。残念。
投稿一覧(揺籃期)
もざいくのいず | ミジンコは生きるの唄 | へいねつ | ゆる次元の解放 | 安泰 |
---|---|---|---|---|
ふらふらふら | YAKIZAKANA | のっとりりっくいずばっと | おやすみおもいで | dery hot |
なにかのもちーふ | いえがらく | けみかるばんどくいんてっと | 食べジャズ | 栽培 |
Qムーンベース | ことばっと | |||
確立期
揺籃期の変化が確かな形となった時期。黎明期の面影は遠い。
該当する作品は多く期間も長いが、全体の傾向は安定している。
当初の作風から荒々しさが抜け、作品全体の完成度が高まり洗練された、
或いは「思いのほか無茶苦茶ではなく割と聴きやすい」程度に変わり始める。
少なくともオチもヤマも意味もなく終わるような楽曲は殆どない。
細かな所では、ボーカル曲とインスト曲の作られ方にも変化が現れる。
ボーカル曲はメロとサビのメリハリを意識し、二番の展開もそれなりに用意される事も多くなり、
崩して作り上げる創作姿勢ながらも自然体に再構築していくようになる。
これが絶妙な匙加減なもので、どこか洒落っ気すら感じるのだから不思議なものである。
反面インスト曲はストイックさに拍車が掛かるようになり、
動画に“感性の反乱β”や“電子ドラック”のタグが付けられそうな作品が目立つようになる。
どちらも作品ごとの差異はあるが、総じて表現の幅が広がったと言っても差し支えはないだろう。
イラストはデフォルトなタッチだが、明らかに塗りが線画ではないものもチラホラ。
映像作品も心なしか表現の幅が広がったように見える。相変わらず意図はよくわからないが。
各作品の評価も安定しており、最大風速は控えめだが、
再生数に対するコメントやマイリストの比率は中々のものである。
“のっとりりっくいずばっと”程の勢いはないものの、評価は着実に得ていると言えよう。
なお、この時期を境に他の作者とのコラボやコンピレーション企画を受け始めている。
ニコニコ動画以外の活動も活発化しており、次第に様々な方面で認知されていったようだ。
投稿一覧(確立期)
おはやっこ | ウィンター@kotatu | ぼっさんば | 羊牧場のシュールな世界 | techno pop like |
---|---|---|---|---|
鹿 | 一部手動 | さよなら連休 | So Nano | 雑踏レスポンス |
rararanouta | ハッピー・ハンモック | toriniku3 | jazy hop | I'm very hungry |
okiteku | free&time | 初音の出 | went home | Night Sound Theme |
glitch 1234 | standard for me | aruhouhe | ツキ | drop off sleep |
swing to say | ||||
余談だが、2014年6月時点の年齢は若干18歳だったという。
それを踏まえて作品を振り返れば、こうした作風だったのも納得出来るのではないだろうか?
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