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緑内障とは、眼圧の上昇などで眼の視神経が傷害される病気である。失明の原因で最も多いとされる。
概要
眼に異常がある「原発緑内障」、眼以外の異常による「続発緑内障」、発育異常による「発達緑内障」などに分けられる。視神経が傷害されることによる失明や視野狭窄、眼圧上昇による吐き気や頭痛などの症状がみられる。
緑内障を発症しているか否かに関わらず、眼球を押さえたりこすったりする行為は一時的に眼圧が上がるため避けたほうが良い。
原発緑内障
原発緑内障の原因は主に、眼球の前面を満たす「眼房水」の循環が悪くなることによる眼圧の上昇である。眼房水は血液を漉しとって作られるが、その排出路である「線維柱帯」が詰まったり、虹彩と水晶体がくっついて眼房水の通り道を塞いでしまう「瞳孔ブロック」などにより眼圧が上昇する。
前者を「原発開放隅角緑内障」(原発緑内障の約90%)、後者を「原発閉塞隅角緑内障」(約10%)と呼ぶ。
また眼圧が正常であっても元々視神経が弱いと緑内障の症状が生じることがあり、これを「正常眼圧緑内障」と呼ぶ。原発開放隅角緑内障に含まれ、緑内障の中でも7割を占める。
続発緑内障
糖尿病性網膜症や網膜静脈の閉塞などにより低酸素状態が生じると、体は血管を新生しようとする。これが進行すると網膜が新生血管で覆われてしまい、眼房水の排泄が阻害されてしまう(血管新生緑内障)。また、副腎皮質ステロイド薬による眼圧上昇作用で緑内障が発生することもある(ステロイド緑内障)。
風邪薬に多い抗ヒスタミン薬の一部のように「抗コリン作用」を持つ薬剤は、毛様体筋の弛緩、散瞳作用により緑内障を悪化させるため、緑内障患者に対する使用は禁忌とされている。
治療
開放隅角緑内障、正常眼圧緑内障では、眼房水の排泄促進、産生抑制などをもたらす薬剤を点眼することで眼圧を下げる。思うような効果が得られなかった場合は、レーザーなどで瞳孔ブロックを解消する虹彩切開手術が行われる。
閉塞隅角緑内障では、虹彩切開手術が第一選択となる。その後は解放隅角緑内障の眼圧管理に準じ、眼圧を下げる点眼薬を使用する。
豆知識
古来、日本では目の奥に異常をきたす病気を「ソコヒ(底翳)」と呼び、「緑内障」は「アオゾコヒ」、「白内障」は「シロゾコヒ」と呼ばれていた。「クロゾコヒ」こと「黒内障」と呼ばれた病気(外見上の異常がないが失明かそれに近い状態になること)もあるが、診断法、分類が進歩すると独立した病名として用いられなくなった。ちなみに視神経萎縮、網膜色素変性の末期などがこれにあたる。
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関連項目
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