職場ヒヤリハットとは、多くの会社が取り入れる、実際に体験した危険な行動(ヒヤリ)、職場環境から推察される危険な要因(ハット)を報告し、改善する活動である。
概要
語源は恐らく、「ビックリした」「危ない所だった」と言う行動から生まれる、冷や汗=ヒヤアセ=ヒヤリ。
「驚いた」「気がついた」と言う感情を表した、息を呑む=ハッとする=ハット。と思われる。
怪我のレベルは問われず、掠り傷程度の受傷の可能性でも報告し改善する。これらの活動を通し職場の危険箇所を改善し、より良い職場環境を構築し仕事の効率化、安全化を図る。企業によって活動内容に差はあるだろうが、大体、年間12~24件の提出が義務付けられていると思われる。
あまり大きな声では言えない概要
この活動に拒否権は無い。自主的活動ではあるが命令される。年間一定数の危険箇所の提案、発見を義務付けられている。
日本語が変?何を言ってるんだ?不審な点はどこにも無いよ?サラリーマンなら当たり前さ!
めい‐れい【命令】
1 上位の者が下位の者に対して、あることを行うように言いつけること。また、その内容。「―を下す」「―に従う」「部下に―する」「―一下」
それが「業務外の自主的活動」であってもその命令は絶対なのだ。
…泣いても良いよ。
活動実態
どんな怪我の可能性でも報告する事になっている、と表向きはそう謳っているが、あまりにも荒唐無稽な提案は却下される。もちろん有り得ない事もNGだ。
…怪我って、荒唐無稽な事や、有り得ない、と考える心の隙が原因の大半だと思うんですけど…。
この様に積極的な提案を元に安全な職場環境へと改善されていくのだ!
問題点
- 【問題点1】長年同じ場所で働いている場合。
もう、危険な箇所は出し尽くしているのに、会社からは「提出しろ」と催促される。
するとどうなるか?過去に出した危険箇所をちょっと改ざんして再提出する、と言う事が横行する。
でも、それならばまだマシである。
酷い場合になると、わざわざ危険箇所を故意的に作り出し提出を行なう事になる。 - 【問題点2】真に危ない提案は出せない。
どういう事か説明すると、自分で改善不可な事は提出できない。
また金が掛かる対策も不可だ。(全ての企業がそうだとは言わないが…。)
なので、誰がどう考えても危険な箇所ではあるが放置されるのだ。
その結果、改善できない箇所で誰かが怪我をし、提出を守る為に自腹を切って改善する人も出てくる。 - 【問題点3】出し惜しみ
この活動は、例えるならば「ハイレベルな間違い探し」である。
閃いた、見つけた危険箇所は、自分の発表の機会まで黙秘する。
そうしなければネタが取られるからである。もちろん、その間は危険な箇所は剥き出しである。
さっさと改善してしまうのも手ではあるが、
自分の発表順番までの待ち期間に誰かに発表されてしまう恐れもある。
かと言って放置しておくと誰かに発見される恐れもある。
そういったギリギリのやり取り、心理戦を経て発表をするのだ。
誰が怪我をしようが関係ない。誰も信用など出来ない。全て敵だ。自分の身が可愛いのだ。 - 【問題点4】過去の記録
この活動も歴史が古いので、過去の対策が元に戻って危険が再発生する場合もある。
その対策を知らない新入社員は、その危険を「これだ!」と発見し発表、報告するが、却下される。
過去に出た同じ対策だからだ。
過去など関係ない。今!危ないだろうが…ッ!!
叫んでも無駄である。駄目なモンは駄目なのだ。 - 【問題点5】本末転倒
問題点1~4も十分本末転倒であるが、こんな場合がある、と言うかあった。
もう、ネタも出尽くした現場で、次の発表者であったA君は、何も思いつけず焦っていた。
「この職場はもう安全だ!」と叫びたかったが、会社がそれを許さない。
A君は悩みに悩んだ。悩みすぎて仕事中、階段を踏み外すほどに…。
会社の公式発表で「階段を踏み外した原因はA君の不注意」で片付けられた。
肝心の不注意の原因は闇に葬られた…。
本来なら
怪我を防ぐ活動は素晴らしいと思う。仕事中、指、手足を失ったり、半身不随、最悪死に至る事故も聞く。これ等を防ぐ活動は良い事だと思う。
しかし今の活動は、発見する事が目的ではなく、提出する事が目的となっている。
職場を挙げて時間を掛けじっくり調査しては駄目なのか?なぜ危険箇所を提出できないと怒られるのだ?
そして、会社が業務外として義務付ける自主的活動(QCサークル等)が、どれだけ体力と精神を消耗し、うっかりミスを増やし、それが原因で怪我をしているのか判らないのだろうか???
社会人として生きるコツは【理不尽】をどれだけ受け流せるかに掛かっている…。
関連項目
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