薬は注射より飲むのに限るぜ、ゴジラさん!とは、ゴジラvsシリーズ第1作(書籍によっては第2作)『ゴジラvsビオランテ』に登場する権藤吾郎陸上自衛隊一佐(演:峰岸徹)の名台詞で、最期の言葉である。後年の詳細な解析により、この出来事は1990年8月11日深夜であることが判明している(つまり権藤の命日もこの日)。
概要は注釈より読むのに限るぜ、ニコジラさん!
強敵ビオランテを打ち破り、大阪の街に上陸したゴジラに対して、生物兵器『抗核エネルギーバクテリア(ANEB)』を撃ち込む作戦を展開していた自衛隊。大阪ビジネスパークへと辿り着いたゴジラは、自衛隊の超兵器スーパーX2をも撃墜してしまうが、それはビル街に潜伏する権藤ら特殊部隊を援護する為の陽動作戦であった。
特殊部隊は動きを止めたゴジラにANEB弾を撃ち込み、4発中2発を直撃させる事に成功。残す作戦工程は特殊部隊の撤退のみであった。
しかし、ゴジラは権藤に気付いたのか、彼が潜んでいたツイン21パナソニックタワーへと向かってしまう。
指揮官の黒木特佐は無線で「権藤一佐、権藤一佐、ゴジラがそちらに! 危険です! 早く逃げてください!! 権藤一佐、権藤一佐!!!」と呼びかけたが、権藤はそれに応えず、ロケットランチャーに次弾の装填を開始する。
彼の背後には、ゴジラの巨大な顔面が迫りつつあったにも関わらずである。
直後、ゴジラは怒りの咆哮を上げるが、権藤は振り返りざまにその口内へANEB弾を撃ち込んだ。
そして、権藤はヘルメットを指で押し上げながら、飄々とした笑顔でこう語ったのだ。
薬は注射より飲むのに限るぜ、ゴジラさん!
この言葉を聴いた瞬間、激怒したゴジラは怒りに任せて左右のパンチでツイン21を破壊。
権藤はこの言葉を遺して、ビルと共に大阪の瓦礫の中へ姿を消した(なお、さらにもう一発撃つつもりだったのか、次のカットで権藤はランチャーを構えたままの姿勢でビルと共に崩れ去っている)。
なお、この殉職カットは実はリテイクが採用されたもので、ファーストテイクはスタッフのミスでカメラが回っていなかったらしい。
このゴジラvsビオランテは当時人気だった『あぶない刑事』シリーズの影響を少なからず受けており、権藤&桐島のキャラはまさしくあぶ刑事のタカ&ユージを彷彿とさせるもので、この台詞の他にも井上陽水の「夢の中へ」を口ずさむシーンがあったり、ゴジラ復活の時限爆弾を「アーメン」と解除できずにいたり、「絵に描いたような最悪の事態ですなぁ」とトラックで愚痴ったり、さらにサラジアオイルコーポレーションでの抗核バクテリアを巡る攻防戦はまさしくあぶ刑事そのものとなっている。上記の台詞はあぶ刑事シリーズには無いものの、ゴジラ映画では基本的に超兵器メーサータンクやメカゴジラといったマシーンとの対決や作戦飛行隊のパイロットとの対決といった形で人類対ゴジラが描かれることが多い中で、一人の人間として犯罪者ならぬ巨大なゴジラに一歩も退かずに立ちはだかった彼はシリーズでも異色中の異色である。権藤最期の台詞にして覚えやすい、印象深いキャラの洒落の効いた辞世の句ということもあってか、vsシリーズ屈指の人気、名台詞となっている。
権藤一佐、わずか1作で殉職してしまったのが非常に惜しまれるキャラクターである。
しかし、『ゴジラvsスペースゴジラ』には妹の千夏と親友の結城晃が登場。ゴジラシリーズでほぼ唯一といっていいほどストーリーに連続性と整合性を持たせたvsシリーズならではの設定といえよう。妹はスペースゴジラの名付け親となり、結城はMOGERAのパイロットとしてスペースゴジラ打倒に一役買っている。権藤の親友ということを強調するため、vsスペースゴジラでも上記の権藤殉死シーンがそのまま登場する(但し、ゴジラの鳴き声が違う)。なお、結城は「親友を殺したゴジラが憎い」ということであったが、権藤を殺したゴジラと結城が仇敵としていたバース島のゴジラは厳密には別の個体である。権藤を殺したゴジラは『ゴジラvsキングギドラ』で歴史から抹消されているハズである。元自衛隊だった結城が未来人の歴史干渉を知らなかったとは考えにくいが、権藤が死んだままであることを考えるとタイムパラドックス上の歴史でもビオランテの存在やその時代の自衛隊戦、巻き添えになった人々の生死には影響しなかったらしい(こまけぇこたぁいいんだよ)。まぁ結城が本当に未来人の歴史干渉を知らず、一般人と同じく単純にゴジラが80メートルから100メートルに巨大化パワーアップして出現したと思い込んでいた可能性も否定できないが。その他漫画版『ゴジラvsスペースゴジラ』だと権藤&結城の過去が描かれている。なお、漫画版だと名前が晶(読みは同じアキラ)。漫画版で結城は『ゴジラvsデストロイア』にも登場し、スーパーXIIIのパイロットとして活躍する。権藤に関わるだけあって、両者とも印象深い役となっている。
ちなみに、『薬は~』と言っているが、抗核バクテリアは厳密に言うと薬ではない(どちらかというとゴジラのエネルギーを静めるワクチンといったところだろうか)。
なお、『薬は注射より飲むのに限る』かというとそうではなく、実際には即効性のシロップ、錠剤や粉薬といった飲み薬の一部を除けば『注射の方が早くて一番よく効く』。
読者のみなさんも、風邪や嘔吐下痢で体力が低下したときに病院で点滴を打ってもらった経験がおありだろうが、当然ながら血管に直接薬を流し込む方が身体中に早く回ってくれるので効き目が現れるのは一般的に注射の方が早い。 何かしらのウイルスワクチンをみんな毎年受けていると思うが、あれだって極力効き目を早く現すためにウイルスワクチンを注射していることがほとんど。ただ、点滴や注射中の患者自身の負担や痛みを考慮すると、『飲み薬に限る』と仰るのはごもっともな意見である。
映画中でも、ゴジラに撃ち込んだバクテリアは、すぐには効力を示さず、ビオランテとの戦闘終了後にようやくその効果を発揮して3代目80メートルゴジラを眠りに付かせている(厳密にはゴジラの体温とバクテリアの活性化温との差異に起因するものである)。
このことから、権藤一佐の経口バクテリアが一番効力を発揮したか、というと、実際のところは他の隊員が命中させた足元の2発からバクテリアが増殖、効力を発揮した、と考えるのが自然かもしれない。
では、権藤一佐は犬死だったかというと、そう結論付けるのは性急である。いくら薬を注射しようとしても、針が皮膚を突き抜けることができなければ、その効果はほとんど期待できない。足元に命中した2発が、ゴジラの分厚い皮膚を貫通できたかどうかは微妙だ。一方、権藤一佐が口の中に命中させたバクテリアは、薄い粘膜を突破して、容易に体内へ侵入できたと考えられる。事実、前作『ゴジラ(1984年)』のカドミウム弾は、口内に数発撃ち込んでおり、砕けた後の液体がかなり口から流れ出ていたにも拘らず、即効性を示して一時的に昏睡させている。vsデストロイアでも同じように使用していたが、倒すには至らずとも、核爆発を阻止し、制御剤として機能してきちんと効用を示した。ゴジラの口内粘膜は意外と薬剤の浸透が早いのかもしれない。
ちなみに、ゴジラシリーズと同じく、怪物に人間が立ち向かう様子を描いた映画『ジョーズ』にも、これに似た場面がある。巨大ザメとの戦いで追い詰められた人間側は、切り札として毒薬の使用を決意するが、手持ちの武器ではサメの丈夫で分厚い皮膚を貫通できそうになかった。そこで人間側は、柔らかいサメの口の中を狙う作戦を立てている。さらに、『シン・ゴジラ』でも、同じく怪物に対して薬の経口摂取による作戦が行われた。
動画は昼夜より嗜むのに限るぜ、視聴者さん!
↑の5:50ぐらいが該当シーン。
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