虚数とは、
本稿では1.について述べる。
概要
1545年にイタリアの数学者であるジェロラモ・カルダーノが、3次方程式の解法を示すために初めて導入する。1572年には、同じくイタリアの数学者であるラファエル・ボンベリが、数学的な定義をした上で諸問題を整備した。
発案された当時は、まだ世間では負の数やゼロでさえ実在しない数として扱われていたため、実在しない数の平方根を要素に含む虚数は、輪を掛けてありえない数であった。この「ありえない数」に「虚数(imaginary number)」という名前を与えたのはルネ・デカルトであるが、デカルト自身は虚数を否定的に捉えていたようである。いずれにせよ、「ありえない数」「実在しない数」という感覚が篭っているネーミングである。
なお、この時代(ルネサンス期)に小数点による小数表記及び対数がジョン・ネイピアにより発明されている。
その後レオンハルト・オイラーにより幾何学と虚数の間に橋渡しがなされ、カール・フリードリヒ・ガウスにより複素数平面(ガウス平面)が提案されると、幾何学的な問題を代数学的に扱うためのツールとして脚光を浴びることとなった。オイラーの功績については「虚数単位」の項が詳しいので、別途参照して欲しい。
現代においては、電磁気学や量子力学といった物理学分野や、信号処理や制御理論といった工学分野で当たり前のように用いられている。
数学的な定義と基本演算
複素数zを、以下のように定義する。
このうちb≠0のものが虚数である。
ガウス平面においてはx座標にa、y座標にbをプロットすることでzを二次元上の点として扱う。またガウス平面状では、原点とzを結ぶ直線とy軸の成す角をθとするとき、以下が成り立つ。
また、四則演算(特に乗除)はこのようになる。
- z = a + bi = r(cosθ+isinθ) , w = c + di = s(cosφ+isinφ)
- z + w = (a + b) + (c + d)i
- z - w = (a - b) + (c - d)i
- z × w = (ac - bd) + (bc - ad)i = rs{cos(θ + φ) + isin(θ + φ)}
- z ÷ w = (ac + bd)/(c2 + d2) + (bc - ad)i/(c2 + d2) = r/s{cos(θ - φ) + isin(θ - φ)}
- ただしs = |w| > 0 に限る(0での除算は出来ないため)
なお、電磁気学では電流をiで表すことが多いため、虚数単位をjと表記するのが慣例である。
モチーフとしての虚数
「存在しない」「数学や物理の難解な理論に頻繁に用いられる」などのイメージから、創作や近代以降のオカルトのモチーフとして虚数が用いられることがある。
近代オカルトでの用法の代表例には所謂生命の樹(セフィロト)の対極である「邪悪の樹(クリフォト)」がある。
- Fateシリーズでは間桐桜など極一部のキャラしか持たない魔術属性「虚数」が存在する。
また、Fate/EXTRAシリーズやFate/Grand Orderではラスボスポジのキャラが虚数空間を使用している。 - 新世紀エヴァンゲリオンでは第12使徒レリエルが虚数空間に直結している。
- とあるシリーズではAIM拡散力場の集合体である風斬氷華が「虚数学区・五行機関」と呼ばれていた。
- 電脳戦機バーチャロンでは特殊なバーチャロイドが潜航できる「電脳虚数空間」が存在し、ステージとしても登場する。
- すばらしきこのせかいでは南師猩が自身の技などに虚数の名を多用する。
- BLAZBLUEではハクメンが虚数空間に封印されていた。
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関連項目
参考(外部リンク)
- 複素数 - Wikipedia
- 虚数は私たちの世界観を変えてしまった - とね日記
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