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「西門豹」（せいもんひょう ？ ～ ？）とは、「史記」の「滑稽列伝」に逸話を残す、精錬さと迷信を排除する能力に定評のある能吏であり、中国戦国時代の魏を強国に押し上げる基礎を築いた百年の計に定評のある政治家。
迷信を一掃する
出自は不明ながら、孔子の弟子の卜商に政治を学び、同門の李克や、楽羊、呉起らと共に魏の文侯に仕えた。
鄴の県令に起用された西門豹が、同地に赴任してすぐに土地の老人たちに民の暮らしぶりや問題点などを尋ねると、
灌漑の必要性を感じていた西門豹は、まずこの河の神の迷信をどうにかしなければ、民の精神面でも、財政面でも問題になると考え、
河伯のために婦を娶ってやる時期になり、三老・巫女・父老たちが娘を黄河のほとりで送る日が決まったら報告してほしい。
と農民達に言い渡した。
河伯の婦を呼んで来い。その美醜を見届けてやろう
これでは器量が悪すぎる。
河の神様のお怒りを買わぬためにも、最も河の神と親しい者に「もっと良い娘を連れて行きますので待ってください」と伝える使者になってももらおう
と言って巫女の老婆を河に投じた。
老婆が河から上がってこないのを確認した西門豹は、
沈めた巫女が帰ってこない。様子を見てこられよ
と言って、老婆の弟子の巫女達全員を河に投じさせ、弟子達も河から上がってこないのを確認すると今度は、
河の神への願いが、弟子達も帰ってこない程難航しているようなので、次いで河の神様に貢献している三老に手助けをお願いしよう
と言って、三老を河に投じた。三老も河から上がってこないのを確認すると今度は、
三老も帰ってこない。
更に次いでとなると、多額の金銭を集めた役人であろうか
と言って役人を河に投げ入れようとすると、役人達は平伏して詫びを入れ、以降、河の神に生贄をささげようと誰も言わなくなり、迷信は一掃された。
百年後の評価
民の精神面の問題をクリアした西門豹は、黄河から鄴の農地に水を引き入れる灌漑事業を開始した。
農民達は、「今のままでも暮らしていける」と不平不満を漏らして大事業に借り出される事を嫌ったが、西門豹は、
民というものは、完成したものを楽しむことが出来るが、一緒になって事の始めを考えることはできない。
今、父老、子弟は、自分達を苦しめる者として、私を嫌がっているが、百年の後にその父老の子孫たちが私の言葉に思いあたってくれれば、それでよいのだ。
と、今現在に満足せず、未来はより豊かになる為に今苦しい思いをしようと灌漑事業に取り組ませた。
この灌漑事業によって水利に恵まれた鄴の地は、田畑の収穫量が上がり、人民は自給自足して富裕となり、その後の魏の強国化の基礎となった。
水路を変更する命令が出た際も、土地の老人達は皆反対して命令を却下させ、西門豹の言った通り、後世に評価された事業である事が証明された。
魏から去る
西門豹は、文侯の側近達に賄賂を贈らなかった為、実績のわりに中央での評価が芳しくなく、文侯は西門豹の解任を考えた。
返上の機会をもらえるよう文侯に願い出た西門豹は、その１年後には文侯が西門豹を出迎えてねぎらうまでに評価を上げた。
しかし西門豹は、
王の為に全力をあげましたが認められませんでしたので、今年は税を厳しく取り立てて、側近の皆様の為に渡しました。
その結果、お褒めの言葉を賜りましたが、恐れながら官印を返上させていただきます。
といっていずこかへと立ち去った。
文侯は自らの不明を恥じて西門豹を引きとめようとしたが、しかしすでに遅かった。
こうして100年の計を実行できる能力をもった西門豹は、自らの清廉の精神に従って表舞台から消えた。
※その他「西門豹」の詳細についてはWikipediaの該当記事参照の事。 
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