豊臣とは、日本の氏(ウジ)、苗字である。今日における苗字としては、関東地方で見られる稀少姓となっている。本項では氏について解説する。
概要
よく誤解されるが豊臣氏の豊臣は氏(ウジ)であって、苗字ではない。苗字は私称だが、氏は朝廷から下賜されて初めて自称できるものである。例えば、織田信長の苗字は織田だが、氏は平姓(実際は忌部姓とされる)。徳川家康の苗字は徳川だが、氏は源姓(実際は賀茂姓、在原姓説も)である。
氏は、祖先を同じくする同族集団、つまり一族を表すものであるから、正確には「とよとみのひでよし」などと帰属を表す「の」を入れて呼称するのが正しい。
豊臣氏ができるまで
1582年に羽柴秀吉の主君である織田信長が本能寺の変で倒れる。織田信長は畿内やその他の地方のほとんどを統治下においており、事実上織田家に刃向う勢力はほとんどいない状態であった。1577年には織田信長が右大臣に、織田信忠が左近衛中将に任命されるなど統治者としての性格を強めていた。だが、織田信長とその跡継ぎであった織田信忠が倒れ、織田政権に日陰がさすようになった。
清洲会議にて織田信忠の遺児である織田秀信を当主とし、信長息子の織田信雄、織田信孝、家臣の柴田勝家、羽柴秀吉、丹羽長秀、池田恒興らが補佐するようになるが、やがて互いの主張や利益が噛み合わなくなり対立を生じさせる。1583年の賤ヶ岳の戦いで織田信孝、柴田勝家が倒れ、新たに織田家一門の有力者となった織田信雄が左近衛権中将に任命される。幼少で官位につけないと判断された当主織田秀信の代替案として、亡き兄織田信忠の官位をほぼ引き継ぐ形であった。たが、未だ筑前守ながら台頭しつつあった羽柴秀吉への接近も朝廷は行っていた。
1584年小牧長久手の戦いが発生する。朝廷権威の下、官位を得ていた織田家一門の織田信雄が、山崎の戦い以降織田家での台頭著しい羽柴秀吉らと対立し、織田信雄が国元へ帰って戦争準備を始めたことでついに戦争となった。
朝廷はこの戦いの際中に強さを見せていた畿内残留側の有力者である羽柴秀吉に官位を叙任、左近衛少将に任命された。前年に左近衛権中将に任命された織田信雄のすぐ下まで官位を引き上げられた形となる。このすぐ1ヶ月後に小牧の戦いが終わり、同時に羽柴秀吉は権大納言に昇進。織田家の中で一番官位の高い人物となってからは出世の登竜門を登るように内大臣など高官位を叙任されるようになる。
そして1585年従一位関白に就任する。令外官ではあるが最上の官職と位階を賜ったのだ。名実ともに朝廷の最高官位となり、天下人に最も近い存在となる。秀吉はここで行動を起こす。なんと、朝廷に新しい氏を作らせたのだ。秀吉は、右筆大村由己に執筆させた「関白任官記」にて「われ天下を保ち末代に名あり。ただ新たに別姓を定め濫觴たるべし」と述べている。つまり、「俺は天下を総ているものすごい人間だから新しく氏を作って始祖になるんだい!!」ということだ。
豊臣氏誕生とその後
そして、秀吉は晴れて豊臣の氏を賜り、豊臣秀吉と名乗ることになった。これは大事件である。一介の武将が藤原と同格の氏を朝廷から下賜されるということは、史上例を見ない。しかも、秀吉は「新しく氏を作ったんだから源平藤橘みたいに広がるのは当たり前じゃん?」と言わんばかりに一方的に豊臣朝臣の本姓を家臣たちに与え始めた。こうして豊臣姓を称する人物は増えていった。
しかし、秀吉の死に伴い豊臣姓を称するものは次第に減っていった。大坂の陣にて豊臣氏宗家が滅亡すると、豊臣姓の大名たちは一斉にその使用を止めてしまった。秀吉が創始した異例な氏は、消え去ってしまったのである。
ただし、完全に豊臣姓の使用者がなくなったわけではない。秀吉の正室・ねねの兄・木下家定の血をひく木下氏は豊臣朝臣を本姓として使用し続け、備中足守藩・豊後日出藩の藩主となっている。
人名
実在の人物 豊臣一門
- 豊臣秀吉(戦国武将 戦国三英傑の一人 天下人)
- 豊臣秀頼(戦国武将 豊臣秀吉の息子 大坂の陣にて自害)
- 豊臣秀次(戦国武将 豊臣秀吉の甥にして養子 のち秀吉の命で切腹)
- 豊臣秀長(戦国武将 豊臣秀吉の実弟 秀吉の天下統一直前に死去)
- 豊臣秀勝(戦国武将 豊臣秀吉の甥にして養子 若死)
- 豊臣家定(戦国武将 豊臣秀吉の義兄にして高台院の兄 江戸時代以降も存続)
実在の人物 豊臣姓を下賜された武将
- 豊臣秀家(戦国武将 豊臣秀吉の猶子 宇喜多直家長男 →宇喜多秀家)
- 豊臣秀康(戦国武将 豊臣秀吉の猶子 徳川家康次男 →松平秀康)
- 豊臣秀宗(戦国武将 豊臣秀吉の猶子 伊達政宗長男 →伊達秀宗)
- 豊臣秀秋(戦国武将 豊臣秀吉の猶子 豊臣家定五男 →小早川秀秋)
- 豊臣利家(戦国武将 豊臣秀吉の側室一門 →前田利家)
- 豊臣秀信(戦国武将 豊臣秀吉の側室一門 →織田秀信)
架空のキャラクター
- 豊臣秀幸(「スーパーヅガン」の主人公)
- 豊臣秀吉(戦国BASARA)(「戦国BASARA」の登場人物)
関連項目
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読み:トヨトミ
初版作成日: 10/12/22 16:48 ◆ 最終更新日: 12/05/19 02:54
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