赤井孝美とは、イラストレーター、ゲームクリエイター、プロデューサーである。米子ガイナックス代表取締役。
概要
森岡浩之のSF小説作品『星界の紋章』『星界の戦旗』や、菅浩江のファンタジー小説『ゲッツェンディーナー』(『不屈の女神 ゲッツェンディーナー』)など、複数のSF/ファンタジー小説作品にてイラストを担当している。『ゲッツェンディーナー』は後にガイナックス制作でゲーム化もされた。
経歴
生い立ちは鳥取県米子市であり、大阪芸術大学芸術学部映像企画学科に所属の際に庵野秀明や山賀博之と知り合う。
漫画家の島本和彦やアニメプロデューサーの南雅彦も同期生にあたり、この大学生時代などを描いた島本和彦の自伝的漫画作品『アオイホノオ』には赤井も実名で登場している。
DAICON 3
1981年に開催された第20回日本SF大会(「大阪で開催された第3回のSFコンベンション」であったことから通称「DAICON 3」)に際して、企画や運営を武田康廣や岡田斗司夫など大阪府のSF好きの大学生らが担う事となった。
このとき武田や岡田の中で「オープニング映像を作ろう」という案が浮上し、知人のツテを辿って「アニメが作れる学生」ということで庵野や山賀が声をかけられ、さらに彼らづてに赤井もこのDAICON 3のオープニングアニメーション制作に参加した。
多数の学生が手伝った作品であったが、中心になったのは庵野・山賀・赤井の3名であったという。この「DAICON 3」のオープニング映像は好評を集め、これを気に入った手塚治虫の前でこの三名が自己紹介する機会も得たとのこと。
DAICON FILM
「DAICON 3」で得た手応えから「続いてDAICON 4も我々でやろう」という流れとなり、自主制作映像クリエイター集団「DAICON FILM」が結成され、赤井もこれに参加した。その後、「DAICON FILM」は元々の目的であった「DAICON 4」のオープニングアニメーションのみならず様々な映像作品を創り出していくこととなる。
赤井は1983年に自主制作映画『帰ってきたウルトラマン マットアロー1号発進命令』(以下、DAICON版ウルトラマン)において特技監督を担当し、紙で作った模型やセットでしっかりと特撮シーンを演出した。1985年の『八岐之大蛇の逆襲』では監督を務め、特技監督を担当した樋口真嗣のサポートの元に、生まれ故郷の米子市の市街地のミニチュアセットを用いた本格派の特撮映像を制作した。
ガイナックス
同作の完成とは前後するが、「DAICON FILM」が元になった企業「ガイナックス」が1984年に設立される。赤井もこのガイナックスに入り、アニメ映画作品『王立宇宙軍 オネアミスの翼』の助監督を務めた。だが、同作の制作費が過大となったためにガイナックスは負債を抱えることになる。
1989年にはまだ経営が安定しないガイナックスの立て直しの一環としてゲーム業界に参入することとなり、赤井と岡田斗司夫が中心となって脱衣クイズゲーム『電脳学園』を制作。同作は大きな反響を受け、シリーズ作品となった。
さらに、1991年には美少女シミュレーションというジャンルを確立するきっかけとなったゲーム『プリンセスメーカー』を世に送り出す。同作では監督及びキャラクターデザインを務め、以後のシリーズ作品でも一部のものを除いてキャラクターデザインやイラストを担当している。
その後はナインライブスを設立し独立するも、2001年に入ってガイナックスに復帰し、ナインライブスは休眠会社となる。ナインライブスが行っていた商品の販売などはガイナックスが代行した。
だが、2007年に自身がアニメーションプロデューサーを務めていた『天元突破グレンラガン』への匿名掲示板における批判に反感をおぼえたスタッフがSNS上に書き込んだ憤りのコメントに沿える形で、赤井も匿名掲示板を蔑視する不適切なコメントを書き込んでしまった。この出来事はネット上でいわゆる「炎上」となってしまい、この出来事をきっかけに同作のアニメーションプロデューサーを降板するとともに、自戒と反省の意味を込めてガイナックス取締役を辞任した。
米子ガイナックス
2014年には米子ガイナックスを設立し、プリンセスメーカー等の関わってきた権利を引き上げた後、2017年には本格的に東京より米子に活動拠点を移し今に至る。
DAICON FILM時代の仲間たちとの関係
庵野秀明は2019年にネットメディア「ダイヤモンド・オンライン」に特別寄稿した記事にて、ガイナックスが2014~2016年頃に「米子ガイナックス」を含む地方会社を続々設立させた後に独立させたことやかつての作品の資料の扱い、また負債に関する不義理などについて、ガイナックス経営陣への不快感を表明している[1]。ただし、同記事内では山賀博之や武田康廣が名指しされている一方、赤井に関しては触れられていなかった。
その後、赤井がプロデューサーを務める米子映画事変のクラウドファンディングへ庵野がコメントを残している他、庵野が企画・脚本を務めた2022年の映画『シン・ウルトラマン』関連の企画として開催されたDAICON版ウルトラマンの上映会において赤井が出演して神村靖宏(DAICON版ウルトラマンにて制作進行を担当、現在はエヴァ関係の版権を取り扱う会社グラウンドワークスの代表取締役)との対談をしたりと、少なくとも山賀や武田とは違い、赤井は庵野との関係が断絶しているわけではないようだ。
また、岡田斗司夫も自らのYouTubeチャンネルで赤井との対談企画を設けるなどしている。
関連商品
ゲーム
画集
イラスト担当作品
関連リンク
関連項目
脚注
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