送り火とは、お盆期間の最後に行われる、先祖の霊を送り出す行事、風習。別名「精霊送り」。
逆に先祖の霊を迎え入れるときに行うものを「迎え火」という。
概要
お盆に返ってきた先祖の魂(祖霊)を再びあの世へと送り出すために軒先や庭で薪を用意して火を焚く。薪を置く専用の皿(ほうろく)があり、ホームセンターや仏具店などで売っていることが多い。また、東京都や静岡県の一部地域などでは、旧暦の日付を新暦でもそのまま適用した関係でお盆の時期が7月中旬である(お盆休みは普通に8月中旬)ため、送り火・迎え火もその時期に行われる。他にもお盆の時期が異なる地域は多い。
規模の大きいものでは京都の五山送り火、奈良の大文字送り火などが知られる。こちらは山の斜面に文字や記号の形に火を焚くダイナミックなもので、現在では観光資源としても使われている。
山に対して川や海で行われるものもあり、これは「灯籠流し」「精霊流し」などと呼ばれる。灯籠の形を模した小さい船に名前や願い、模様などを書き入れ、火をつけて下流に流すことで、山の送り火と同様に追悼とする。こちらも水面に浮かぶ灯籠の淡い光が幻想的だというので人気があるが、環境汚染への懸念から近年では中止したり、ロープを川にかけて下流で灯籠を回収したりしている。
地域によってはかなり独特になり、例えば、長崎県・熊本県の一部地域の場合は、初盆の場合「精霊船」という車を作り爆竹を鳴らしながら海まで移動する(これが精霊流しと呼ばれる)といったものもある。地域によっては、竹や白樺、稲藁など薪の材質に指定がある場合もある。提灯や蝋燭で代用する場合も。
なお、浄土真宗では行われないなど、宗派によっては行わない場合もある。むろん、仏教とかかわりがなければ迎え火・送り火は行われない。
迎え火・送り火はいずれも都会で個人がやるには火災の懸念や準備の面倒があるため、近年ではあまり見られなくなっている。地方ではまだ行われていることが多いが、いずれも減少傾向にある。
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