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逆さ吊りとは、物体を通常の姿勢に対し逆重力がかかるように吊るし上げることである。
概要
縄、糸、植物の蔦など紐状の物体で対象を拘束しつつ、基本地上から浮いた状態で通常上にあるべきものが下に来るように吊るされる。
よって
- 四肢が拘束や安定感不足や視野の逆転などにより通常通り使えない苦悶
- 血液をはじめとする体液が頭頂方向に滞留するような感覚がもたらす苦悶
- 装着物が通常状態に対し上下逆さまになることによって落ちたりはだけたりすることによる物品遺失や容姿悪化（辱め）が与える苦悶
などが吊るされたものにもたらされる。
そうしたことから一種の刑罰的な扱いや心理的嗜好としての責め行為として行われることもある。
また動物の解体においては贓物摘出や放血に有利として逆さに吊るす（正確には通常の体勢よりピッチ方向－90度の姿勢で吊るす）ことも多い。
またそれらとは別に重力方向が逆転している状態なのを利用して荷重バランスを試行実験する手段にも使われ、建築家のアントニオ・ガウディが用いた逆さ吊り構造実験が有名である。
タロットカードには逆さに吊るされた男が描かれた「12 The hanging man（吊るされた男）」がある。
健康への影響
正常な状態に対し上下逆転した状態に長時間さらされるのでいくつかの身体的健康被害が想定される。
通常下肢方向に集まっていた血液や髄液などが荷重が逆転したことで頭部方向にシフトすることになる。
逆さ状態より荷重シフトが緩い無重力状態を模したヘッドダウント状態の頭部循環動態を調べた実験[1]によると、
が認められ、直接的な変異は確認されてはいないが状況的に
が考えられる。
また脳内や心臓の体液量が増加することによって体全体の体液量を調整しようと体内水分量を減少させようと働き排尿が促進される。また重力下での下肢のようなポンプ機能を有さない頭部方向への体液の偏移は頸静脈をはじめとした静脈血流のうっ滞をもたらす。それにより
- 心臓発作の危険性の増大
- 血栓の形成（エコノミークラス症候群/ロングフライト症候群）
が考えられ、無常力空間では実際に観測されている。[2]
そして逆さまになることで内臓が頭部方向に押しやられ、結果肺を圧迫し、心理的負担も重なって
- 呼吸困難による窒息
の危険性が考えられる。
- アメリカ合衆国ユタ州 ナティ・パティ洞窟の狭窄部に逆さ吊りの状態で閉じ込められた男性が28時間後に死亡（2009年）[3]
- アメリカ合衆国オレゴン州でハンターがツリースタンドから滑り落ち2日間逆さ吊り。一時心停止（2018年）[4]
- スペイン バルセロナ郊外の恐竜像の中に入り込んだ男性が死亡した状態で発見（2021年）[5]
などが確認され比較的短い時間で危険な状態に陥ると思われる。
関連リンク
脚注
- *頭部循環動態に及ぼす重力の影響
河合康明 1999年 - *宇宙飛行士のロングフライト血栓症明らかにー駒村和雄の「健康寿命で行こう」 日経メディカル
- *Nutty_Putty_Cave ~en.wikipedia
- *Hunter-hung-upside-tree-2-days-coma.～Mail Online
- *恐竜像の中から男性の遺体、脱出不可能に？ スペイン・バルセロナ ～AFPBB News
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