通字単語

トオリジ
1.5千文字の記事
  • 5
  • 0pt
掲示板へ

通字(とおりじ)とは、日本特定系において、代々にわたって名前に用いられる字のことである。系字(けいじ)ともい、また中国語では行系字(hángxìzì, ハンシーツー)とう。

概要

戦国物のゲーム大河ドラマなどで、「なんか一族で似た名前の人が多いなー」と思ったことはないだろうか。
たいていの場合、それは「通字」のせいである。

例えば、伊達氏の系図を見てみよう。

伊達氏宗―持宗―成宗―尚宗―稙宗―宗―宗―政宗―忠宗…

このように、代々の当に「宗」の字が含まれている。この「宗」が伊達氏の通字であると言える。
そこ、ゲシュタルト崩壊とか言わない。 

通字が一つでないこともよくあることであり、嫡男のみに通字をつけるもあれば、たいていの男子に通字をつけるもある。 

通字の成り立ち

日本で本名(諱)が漢字文字訓読み一般化したのは平安時代の初めごろからであり、この名は文化先進国である中国を強く受けた習である(ちなみにそれらに先駆ける奈良時代に、制下の名が一漢字文字訓読みめられている)。中国で二字の諱が一般化したのは南北朝時代(420~589年)以後で、中国での通字(輩字、輩次、輩数、字輩、行輩、班次、班行、班排、班、班輩、班位、名、行、名次、系列字、輩行字、など様々な呼び方がある)は同世代の兄弟間で諱に同じ文字を共有することであった。

例えば、毛沢東は「毛沢民」「毛沢覃」といい、兄弟間で「沢」の字を共有していることがわかる。また、「軾」「轍」の兄弟のように一字名であれば同じ部首を用いて名付けられることもあった。

中国儒教を受けており、違う世代で名前文字を共有すること(祧字(tiāozì, ティアオツー))は長幼の序を乱すタブーとされ、ほとんど行われなかった[1]

日本でも当初は兄弟間で漢字を共有することがよく行われた。例えば、藤原嗣の子供たちの名前を見てみよう。

長良、良房、良方、良、良相、良門、良仁、良世

※左から長男、次男、三男…

と、全員に「良」の字がついている。

次に藤原長良子供たちの名前を見てみると、

経、遠経、基経、高経、経、清経

と、今度は全員に「経」の字がついている。

更に藤原良房の養子となった藤原基経の子供たちの名前を見てみると、

、仲、兼、忠、良

と、「」の字がついている。同世代間では文字を共有しているが、異世代間では共有していないことがわかる(異世代間で同じ文字を使っているものもあるが、それほど重要ではないように思われる)。

この通り、当初は中国と同じように兄弟間で文字を共有していたが、日本では異なる世代(例えば子)で同じものを共有するということはあまりタブー視されなかったため、「先祖にあやかる」「血筋を明らかにする」「相続上の問題」などで異世代間での文字の共有も盛んに行われるようになった。

例 

これだけでなく、他にもいろいろあります。

関連項目

脚注

  1. *かなりしい例外として、王羲之の子供たち(玄之(長男)、凝之(次男)、渙之(三男)、粛之(四男)、徽之(五男)、操之(六男)、献之(七男))が挙げられる。彼らは父親の王羲之から「之」の字を受け継いでおり、更に兄弟間で共有している。これは之の字が道教の一である五斗米道(正式には正一盟威)に由来し、創始者の陵一族を師と崇める。後世の正一)の信徒であることを示す、など諸説あるが定説はい。

【スポンサーリンク】

  • 5
  • 0pt
記事編集 編集履歴を閲覧

ニコニ広告で宣伝された記事

この記事の掲示板に最近描かれたお絵カキコ

お絵カキコがありません

この記事の掲示板に最近投稿されたピコカキコ

ピコカキコがありません

通字

1 ななしのよっしん
2014/08/02(土) 23:06:36 ID: WBBk183qik
初っ端から質問して恐縮なのですが、江戸時代に入ると通り字を使い
続けた大名佐竹など)とそうでない大名毛利など)があ
りますが通字を使わなくなった理由は何なのでしょうか?こういうこ
とに詳しい方がいましたらお教え願います。
👍
高評価
0
👎
低評価
0
2 ななしのよっしん
2014/08/02(土) 23:15:47 ID: rhBtIyt2q8
通学に見えた
👍
高評価
0
👎
低評価
0
3 ななしのよっしん
2015/09/02(水) 18:51:32 ID: ZY/Phyjw8Y
>>1
毛利は歴代ずっと将軍から偏諱を受け続けたから。
それと似たような名前が増えすぎる危険性があるからやめた。
👍
高評価
0
👎
低評価
0
4 ななしのよっしん
2016/01/10(日) 19:46:30 ID: L1ob9GMDk0
私のでは「」が通字になりつつあるわ。
親父、私、息子に「」の字が付いている。
戦国時代にも武田臣団にやたらと多いしな。









結婚できてよかったよ…。
👍
高評価
0
👎
低評価
0
5 ななしのよっしん
2018/03/18(日) 03:41:47 ID: jSMQnbvWWr
信長が尾を統一するまでに出てくる織田信〇の多さといったら…
👍
高評価
0
👎
低評価
0
6 ななしのよっしん
2018/08/01(水) 12:09:03 ID: AnCogbkNxy
真田みたいに自身の血統をするために幸という通字を採用するように一族間の団結だけでなく政治的な意味合いも含まれているんだろうね
👍
高評価
0
👎
低評価
0
7 ななしのよっしん
2019/01/09(水) 12:47:34 ID: tTzlmH40sE
藤原摂関を見ると
兼通、兼
綱、兼、
頼通、教通、顕信、信、長信
と、頼通の代までは兄弟間の通字を使っていて、子間での継承はほぼみやれないんだけど、それ以降
頼通、師実、師通、忠実、忠通、基実、基通、実、通と通とと実を交互に使う命名が続く。
清和源氏の頼や伊勢平氏の盛が定着するのもこの辺からなのでこのころに日本式の通字が出てきたと思われる。
👍
高評価
0
👎
低評価
0
8 ななしのよっしん
2022/03/10(木) 15:20:23 ID: f4CRNGaN7p
の例だと半島ロイヤルファミリーがこの命名法だが現地の習慣としてはない特異さ
理由は陰陽五行説を避けた説がある
👍
高評価
0
👎
低評価
0
9 ななしのよっしん
2022/10/21(金) 23:09:28 ID: qbx8TjBauS
河野氏が同じ名前が多いとか、安芸福原氏が同じ名前が交互に出るとかはもろコレに囚われるから。偏諱を与える側が偏諱貰う立場だとこうもなるわな。

信長さんが織田武田にいるのも、武田織田通字通字かなぁ、宗にもいるし。
👍
高評価
0
👎
低評価
0