道具屋とは、
- 道具を売ってる店のこと。とりわけ、RPGゲームの町や村にて、薬草やポーションなどといった補助アイテム類を売っている店のことで、攻略の助けになっているばかりではなく、稀にクリアに必須の重要アイテムを売っている場合もあるので、必ず道具屋は立ち寄った方が良い(特に、置いてるアイテムも同じようなものばかりなので、プレイ後半は利用せずにやり過ごすことが多いが、ドラゴンクエストⅢの「消え去り草」の場所は、そんなプレイヤーの心理を衝いたものである(攻略本の質問にもエジンベアの門番が通してくれないというのがあり、道具屋で消え去り草を買わないとクリアできない《救済策としてレムオルの呪文はあるが、レベル上げ必須))
- 落語の演目
本記事では2について解説する。
落語の「道具屋」について
落語の演目である。上方、江戸双方で演じられるが、人気が高いのは上方であり、定番の演目の一つ。
わかりやすいストーリーとくすぐりの多さから上方では特に人気の演目の一つとなっており、また手習いの初心者が勉強のために演じることも多い、演じる方も初心者向けの落語の一つにもなっている。
間抜けな若者が露天商で色々な失敗を重ねるオムニバス的な噺であり、他に蜘蛛駕籠(住吉駕籠)、寄合鍋、軒付けなどと同じ系統である。
あらすじ
ある仕事が苦手な若者に、知り合いに古道具屋がおり、今度露天商の人手がいるので手伝わないかと誘う。男は売った分の儲けをくれるというので、その主人を訊ねることにした。男はその露店を見るがガラクタばっかり。火事場から拾ってきた切れない鋸、二本足しかない電気スタンド、首の取れるお雛様、鯉の滝登りの掛け軸、ほかに男物の下着や竹光、一文笛などがあり、「こんながらくた売れるのか?」と質問しても「それはあんた次第だ。言い方によっては売れる」というので、それならばと番を引き受けることにした。そこに客がぼちぼちとやってくる(なお、時間によって客のバリエーションが省略されることもあるが、登場する客は以下の通り)。
- 1人目:鋸を見に来た大工
大工は「俺は職人だからこの鋸の仕事がよく分かる、これは焼きが甘い」といちゃもんを付けると、男は「それは火事場から拾ったもので十分焼いてますが、こんなものでも棚に置いとけばどこかの間抜けが買うだろうってことで置いてます、あんた買いますか?」と返したので、大工は「誰が買うか!」と怒って帰ってしまう。 - 2人目:掛け軸を見に来た男
客が鑑定士気取りで「これは偽物(ぎぶつ)じゃろう?」と掛け軸のことを訊くと、男は得意になって「はい、それはぎぶつです、紛れもないぎぶつでございます」と答えるので「素直な男だ。ならば、今回は買わないでおこう」と言って出ていってしまう。主人は訝って「あんた、ぎぶつってどういう意味か知ってるのか?偽物って意味じゃ、客に向かって偽物とか言って買う馬鹿がいるか」と呆れられる。 - 3人目:電気スタンドを買いに来た男(カットされる場合も多い)
息子が小学校に入ったというので、電気スタンドを買いに来たという。しかし、男は馬鹿正直に「これは二本足しかなくて、この家の塀にもたれかかってます。もし買われるならそこの塀ごと買ってください」と返したので、客は「そんなもの買えるか」と呆れて出ていってしまう。 - 4人目:刀を見に来た男
また客がやってきて、売り物の刀を抜こうとする。だが客がどう力を入れても鞘から抜けないので、それを見ていた男は手伝おうとする。客は「なぜ抜けないんだ!」とやけになると男は「木刀ですから」と返すや男は呆れて「じゃあ、なぜ止めようとしないんだ」となじると、男は「いや、ひょっとして抜けるとどんなものが出てくるか興味津々で」と返す。客は空いた口が塞がらず、「抜けるものはないのか?」と尋ねるや「お雛様の首なら抜けます」と演じる。客はすっかり呆れて帰ってしまい、それを見た主人は「また客に小便引っ掛けられてる(冷やかしされること)じゃないか」と窘められる。 - 5人目:下着(パッチ)を買いに来た男
客が大急ぎで「このパッチ売ってくれ、これがないと小便できん」と駆けつける。しかし、男は「いいや、今度は一切小便できません!」と答えるや「小便のできんパッチなんかいらん、他あたるわ!」と言って去ってしまう。いよいよ、痺れを切らした主人は「もう勝手にやっとれ」とその場を出ていってしまう。 - 6人目:笛を見に来た男
主人に愛想尽かされた男が懲りずに商いをやっていると、興味深そうに一文笛を見ているが、うっかり指がはまってしまった。男はしめたとばかり「お買い上げですね」と問いかけると皮算用を始め、しまいには増え一つに酒代、奥さんの着物代、剰え家の補修費、いや家一軒の費用までせびろうとする。しかし、その隙を見て客が逃げてしまい男が号泣する。主人が戻り「どうした、なにか盗まれでもしたのか?」と訊くと、男は
「家一軒盗まれた」
※なお、別の下げも有名であり、男が皮算用しているところに「あんた、儂の手元見てるんなら助けてくれ!」と客が叫ぶと、いや「足元を見ています」と男が返すものであり、今日では、わかりやすいこっちの下げが多くなっている。
パロディ
このように、やるこそなすこと全てが裏目に出てしまうという展開は、けっこう漫画でもよく見られるものであり、特に藤子.F.不二雄はこの「道具屋」を意識した話が多い。一例として、オバケのQ太郎にこんな話がある。
ある日、Q太郎の元に押し売りがやってきた。Q太郎は「買いたいけどお金がない」と告げ押し売りを追い出すが、面白がってついてくる。押し売りが図々しい奴だと呆れてるがけろっとしているQ太郎に対し、「お前は押し売りに向いてる。今からこの道具を売ってこい」とけしかけられる。そして売り口上として「よく切れる剃刀、全然切れない電球、よく消える消しゴム、すぐに消えないマッチ」と吹き込まれるが、彼はいざ訪ねた家で留守番の主婦をつかまえて
「よく切れる電球、全く切れない剃刀、すぐに消えるマッチ、全然消えない消しゴム」と笑顔で宣伝して、主婦に蹴飛ばされてしまうという、恰もこの作品の主人公のようなことをしでかしている(なお、この話は呆れた押し売りに泣き落とされ、その嘘話を真に受けたQ太郎がそれを全部売ってくるが、実は全部を買い取ってくれた相手が、押し売りの奥さんだったというオチであり、まさしく古典落語のような展開である)。
関連動画
関連項目
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