遠隔操作(ぱちんこ)とは、遊技機基板(ぱちんこ機やスロット機)の抽選ROMに不正に侵入し、大当たりや出球率の調整を操作する技術である。略して遠隔、エンカクと呼ばれる場合もある。
概要
ぱちんこ店に設置される遊技機は保通協(保安電子通信技術協会)の審査を経て、検定通過したものが量産・販売されホール内へ導入される。遊技機として一定期間稼動し、役目を終えると新台へと移行する。
遊技機はメダルや玉を入れて遊技を行い、一定の確率で賞球が発生するサイクルの中で最終的にプラスマイナス0に収束するとされている。基板内にはゲーム基板と大当たりなどの制御を行う基盤が搭載されており、店側は故意に大当たりを起こすなどの内部で行われているプログラム挙動に介入することはできない。通常は釘調整・設定調整を行うことによって出球の調整を行っている。遠隔操作は、本来介入できないはずの大当たり制御プログラムへ不正プログラム、不正ハーネスなどを用いて侵入し、自由自在に遊技機を操る事ができる技術である。
ホールコンピュータ
遠隔操作においての誤解の顕著な例として「ホールコンピュータを導入している店は遠隔している」というものがある。遊技機には出球情報などを発信する端子がほぼ100%付属しており、この端子と店側の出球情報機器と接続することによって、大当たり回数・回転数などが表示される仕組みになっている。これらの出球情報は店内内部の機器のホールコンピュータ・サーバへと転送されている。ホールコンピュータはあくまでも出球情報を集計・監視する機器であり、出球操作等を行うことはできない。遠隔操作を行うにはホールコンピュータの操作用PCにに遠隔用プログラムをインストール・機器側に不正ハーネス等を仕込まなければならず、自ずと多額の設備投資が必要とされる。遠隔に対する潜在的需要はあり、一部のホールコンピュータでは裏画面で、遠隔モードと称する機能が搭載されている場合があるらしい。
導入のメリット
遠隔操作においては、恣意的な当たり操作が可能となるため、会員カードなどから取得できる顧客の個人情報と連動して賞球を調整できる。つまり、勝ちすぎている客には多少負けさせ、負けすぎている客には多少勝たせるといった胴元操作が可能ということである。やくざが開帳するチンチロで振師がサイの目を自らのテクニックで操作して客を負けさせすぎず、勝たせすぎず、賭場を維持するようなものといえば、最も近い。現時点では公安の認可が降りる事はありえないし、当然ながら摘発対象となる。しかし業界と警察の癒着も指摘されており摘発のケースが少ないとする主張も一部ある。
Bロム・ハウス
店側が行う不正な手口として、Bロムやハウスと呼ばれる不正ROMがある。基板に装着されている正規ROMを不正ロムと交換することで、本来の挙動から逸脱した動作を行わせる事ができる。本来の出球よりも波を荒くしたり、高い出球率を実現するなど客の射幸心をおおいに煽ることとなる。無論そう長く続けられるはずはなく、摘発→閉店の流れとなる。遠隔のように配線やコンピュータ等の設定は必要ない。
警察による不正防止策
公安・警察も、不正防止のためぱちんこ店側に様々な圧力・不正防止策を講じている。最たる例として、新台導入時の立会い検査がある。都道府県により 方針は異なるが、最終的に警察が許可を出さなければ、ぱちんこ店は営業を開始する事ができない。立ち入り検査の際は不正ROMチェッカなどを用いて、遊技機が不正改造されていないかチェックが行われる。また大当たりの制御ロムは鋼線で固定されており、容易に開封できないようになっているのと、検印がされており真正性を高める対策がなされている。しかし警察の幹部が業界に天下りしている現状を考えれば、どの程度有効性があるかは疑問視される。
店側による遠隔操作は実在するか?
摘発される店が事実存在した。しかし、実際問題として導入が難しい部分がある。最大の問題は「月に1~2回新台入替えが発生する」というところである。毎月各メーカーから数台の新台が発表されるが、各台ごとに大当たりを決定させるアルゴリズムは当然ながら異なる。北斗の拳にはsammy独自のアルゴリズム、大花火にはアルゼ独自のアルゴリズムが存在するわけである。同メーカーでも、開発環境が変わればまた新たに解析が必要になる。遠隔操作を行うとするには、どうやって当たりを強制的に発生させるか、あるいはさせないかなどの解析が必要となる。
つまり、解析→不正ハーネスに仕込む→動作検証といった数段階にわたるプロセスを経ねばならず、毎月数回も同様の手順を踏むような手段は現実的ではない。導入したとしても、わずか数週間で新台に変われば最初からやりなおりしであり、多額の投資にに見合った回収が行えるかというと、厳しいのではないだろうか。
数ヶ月以上新台に移行しないようなマシンにおいて遠隔を仕込むあたりが、現実的な線であるといえる。4号機北斗の拳・4号機吉宗・新海物語IN地中海など、有名どころが摘発されているのがそれをものがたっている。もう5号機時代に移って久しいが2016年現在摘発報道は今のところ見かけられない。
一部のコーナー(シマ)のみにおいて遠隔等不正操作が行われるような事はありえるかもしれないが、前述の通り、費用対効果は疑問と言わざるをえない。
関連動画
VBやエクセルVBAで作ったおもちゃプログラムにしか見えないが、はたして。これを見て「そら見ろ!」とか言い出す人がどれだけいるのだろうか?
関連項目
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