都市シリーズとは、電撃文庫から刊行されている、川上稔の作品の一群である。
裏表紙の表記における、「CITYシリーズ」にあたる。
概要
このシリーズの作品は全て、現実に存在する都市の名をそのタイトルに冠する。
歴史上の重大事件などもほぼ同じように発生しており、これがストーリーと密接に関係することが特徴である。
前提として「何度も滅んでは作り直された世界」であるため、頻繁に時代を超越した技術が出現し、(自動人形や全身義体など)一般的な物理法則にとらわれない存在が許容されている。(獣人系種族や、予言など)
以下、シリーズ一覧。(S.Fに関しては時代設定と関連する実際の出来事に年代の差がある)
| 作品タイトル | 時代設定 | 関連する実際の出来事 |
|---|---|---|
| パンツァーポリス1935 | 1935年 | 有人宇宙船の開発 |
| エアリアルシティ | 1933年 | |
| 風水街都香港 | 1997年 | 香港返還 |
| 奏(騒)都市OSAKA(小説版) | 1996年 | |
| 奏(騒)都市OSAKA(PS版) | 1998年~1999年 | |
| 閉鎖都市巴里 | 1943年~1944年 | ノルマンディー上陸作戦(WW2) |
| 機甲都市伯林 | 1937年~1943年 | 第二次世界大戦 |
| 電詞都市DT | 2001年 | |
| 創雅都市S.F | 1999年~2002年 | サンフランシスコ大地震(題材) |
| 矛盾都市TOKYO | 1997年~1999年 |
作品紹介
パンツァーポリス1935
どうしても宇宙に飛び出したいマイペース学者二人が、軍をだまして予算をゲット。
作った飛行戦闘艦で、怒った軍人さん達を相手に大空中戦を繰り広げる、というお話。
主な新用語……流体(エーテル)、機甲紋章(パンツァーエンブレム)など。
都市名は、機甲都市・伯林(きこうとし・ベルリン)。これを独逸語で、「パンツァーポリス・ベルリン」としている。
メインは何といっても市街地上空で繰り広げられる、STGさながらの高速戦闘。
この時点では都市の個性は強調されていないので、一番とっつきやすいかも知れない。
エアリアルシティ
現実から切り離され、「書物」という文字世界の中に封印された都市、倫敦。
そこでは天使や魔物といった伝説上の存在が平和に暮らしていたが、ある日侵入した人間達によって崩壊の危機に陥る、というお話。
主な新用語……内燃詞、外燃詞(オープン、クローズ)、獣詞変(オルタード)など。
都市名は、架空都市・倫敦(かくうとし・ロンドン)。英語では「エアリアルシティ・ロンドン」としている。
デビュー二作目にして、書物の中の世界、新しい用語の追加が多い、など、川上節が全開となった。
また自動人形や猫娘など、以降の作品にも頻繁に出てくる要素が初めて登場した。
非常に難解。パンツァーポリス1935のノリで読み始めてその極悪読解難度に挫折した者も多い。
「限界まで圧縮しているため、何度も読めば読むほど味が出てくる」
という都市シリーズの特徴がすでにこの時点で存在している。
風水街都香港
ねえ、聞こえる!? 私のこたえが!
長く英国領となっていた香港が中国に返還される、その半月前。
天界を復興するために香港を壊滅させようとする兄と、それを阻止する側に立った妹。
互いに“居場所”を作るために戦う、風水師の兄妹のお話。
主な新用語……遺伝詞(ライブ)、風水・五行(チューン・バスト)、遺伝詞交換(セッション)など。
都市名は、風水街都・香港と書いて、「チューンバストシティ・ホンコン」と読む。
エアリアルシティから引き続き、初めての試みが多い。以下、例。
- 初めての上下巻。
- ここから絵師が「さとやす」さんに固定された。
- ここから恋愛描写をセックスまで踏み込んで描くようになる。
- 以後シリーズの枠を超えて利用される、「物語の中心となる予言の歌」の概念が初登場。
- 伏線や言葉遊びが多いことも特徴。簡潔で勢いのある表面のストーリーから複雑で壮大な裏のストーリーを読み解くのも一興。
奏(騒)楽都市OSAKA
「僕も、諦めない――――」
学生の抗争に端を発する「近畿動乱」と呼ばれたこの事件は、最終的に日本を東西に分裂させるほどの大騒動へと発展した。責任を取りたくない大人たちは「校則法」という法律を作り、子供の争いは子供に責任を取らせる事にした。
それから13年後、大阪において、最強の象徴となる神器「炎神」が作成される。
この炎神を巡り、東西の学生の抗争が再び勃発する、というお話。
主な新用語……技能(テック)、神器(リズム)、速読歴(ファストリーダー)など。
都市名は奏(騒)楽都市・OSAKAと書いて、「そうがくとし・おおさか」と読む。
格闘ゲームをモチーフに執筆されており、キャラ紹介絵に技コマンドがくっついている(技名にもそれぞれ元ネタあり)など、遊び心満載。ジョークとしての偽ゲーム画面が登場するようになったのもここから。
ゲーム版は小説版の事件(和解動乱)から2年後、全世界広報塔「BABEL」の初使用権を巡って、学生たちが広報合戦を行う、通称「ネット戦争・BABEL争奪戦」を取り扱っている。
余談だが、全シリーズ中、この主人公だけが「スーパーヒーローではない」
特別な力など何一つ持たない、平凡な男子高校生である。
閉鎖都市巴里
第二次大戦末期、仏蘭西に投下された独逸軍の新型爆弾によって、時空間が変化を起こす。
結果、仏蘭西全土は第二次世界大戦の一年を繰り返す閉鎖された空間となってしまった。
それから数十年後、現代の少女、ベレッタ・マクワイルドは当時の極秘計画、「アティゾール計画」について調べるためにこの空間に潜り込むが、やがて、この閉鎖を終わらせる事を目的として行動するようになる、というお話。
主な新用語……重騎(ヘビィバレル)、重騎師(ナイトストライカー)など。
都市名は閉鎖都市・巴里と書いて、「クローズドシティ・パリ」と読む。
「ループする歴史にピリオドを打つ、歴史の上書き人」は以前にも、そしてこの後も出てくるが、主人公となったのは初。
例によって文章に癖があり、読める者と読みづらく感じる者がいる。
機甲都市伯林
パンツァーポリス1935の事件(機甲神鉄鎚事件)から2年。
独逸軍G(ゲハイムニス)機関が主導する「機甲都市化計画」とそれに巻き込まれた一人の少女のお話。
なんと全5巻であり、都市シリーズの中では最長。以下、各巻概略。
第一巻(1937)……暴走戦闘艦「疾風」とG機関に追われる少女、ヘイゼル・ミリルドルフを黒衣の男が逃がすお話。
第二巻(1939)……機甲都市化計画によって独逸の改造が進む中、G機関に追われるヘイゼルを男が逃がすお話。
第三巻(1942)……独逸防衛の要であるケルンが空爆される。G機関に追われるヘイゼルを黒衣の男が逃がすお話。
第四巻(1943)……機甲都市化した新伯林が本格稼働。黒衣の男が少女を逃がしてライバルと決着をつけるお話。
第五巻(1943)……機甲都市化した新伯林に皆が集合し、世界の破滅と歴史のループ、その両方にケリをつけるお話。
主な新用語……強臓式(アインゲヴァイデ)、破滅の転輪(ニーベルング)など。
都市シリーズは前作、閉鎖都市巴里までを「第一期」とし、機甲都市伯林は第二期の第一作目に当たる。
電詞都市DT
「神の預言を得るBABELの塔が建つ都市。幸いを預言された代わりに全ての記憶を失った都市。……電詞都市-DT(でんしとし デトロイト)ですよ」
舞台は、過去に新型爆弾が暴発した影響で電詞空間化したDT。
ここでは日本より移送されたBABELを利用して、神託を得ようとしていた。
しかし、その裏側では神の符号をもって大神を降臨させる陰謀が秘密裏に進行していた。
大神の降臨は余波として大災害をともなうため、DTに崩壊の危機が訪れる、というお話。
主な新用語……奏荷・騒荷(プラス・マイナス)、言定議状態(ボードモード)、言解議状態(サイトモード)など。
都市名は電詞都市・DT(でんしとし・デトロイト)。英語では「バーチャルシティ・デトロイト」となる。
神の符号(聖書神話)、BABEL、と何かと終わりのクロニクルを想起させる都市だが、直接の関係はない。
ちなみに、この作品のヒロインはエルフ耳なのだが、これは絵師待望の題材であったそうな。
創雅都市S.F
香港以来の有翼系ヒロインが空を描いて嵐を消したり朝にしたりしつつ、毎日楽しく生きていくお話。
都市名は創雅都市・S.F(そうがとし・サンフランシスコ)。英語だと「イメージシティ・サンフランシスコ」となる。
物語の後半は来るべき大災害の対策で香港に行ったりするため、懐かしい顔が何人も出てくる。
(風水街都香港はもちろん、閉鎖都市巴里、奏(騒)楽都市OSAKA・ゲーム版などからも登場)
矛盾都市TOKYO
とある理由から記憶を封じることになった青年が、自らの記憶を断片的に、順不同で見ていくお話。
矛盾都市・TOKYOと書いて、「ゼノンシティ・トウキョウ」と読む。
設定上、常に一人称なので都市シリーズとしては珍しい形式の作品。
「一つの場面ごとに時間も場所も大きく変わる」というと理解しづらいように思えるが、そこは川上稔作品。意外に読めたりする。しかし理解はしづらい。
主人公が東京圏総長連合の人間であるため、奏(騒)楽都市OSAKAを読んでいるとより楽しい。
関連動画
都市シリーズタグの動画をチョイス。(1つ違うように見えるが、内容的には川上稔作品の動画)
関連商品
都市シリーズは、現在15作品が存在している。(通販本除く)
全てをここに貼ると重くなるので、二作品のみを紹介する。
関連項目
- 電撃文庫
- 川上稔
- 連射王(FORTH)
- 終わりのクロニクル(AHEADシリーズ)
- 境界線上のホライゾン(GENESISシリーズ)
- ○○シリーズタグの一覧
リンク
電詞都市DT出張所(川上稔所長による、作品紹介所) http://www.din.or.jp/~arm/
http://dic.nicomoba.jp/k/a/%E9%83%BD%E5%B8%82%E3%82%B7%E3%83%AA%E3%83%BC%E3%82%BA


ページ番号: 967685
リビジョン番号: 1074796
読み:トシシリーズ
初版作成日: 09/01/16 05:09 ◆ 最終更新日: 11/02/13 22:25
編集内容についての説明/コメント: 追記。
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