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鄧小平（1904年8月22日-1997年2月19日）とは、中華人民共和国の政治家である。改革開放を行い中国の経済成長を築いた。
日本語読みは「とうしょうへい」。標準中国語では「邓小平」と表記され、読みは”Dèng Xiǎopíng”（ドンシャォピン）。大半の英語表記はピンインに基づく”Deng Xiaoping”であるが、稀にウェード式表記である”Tong Shau Ping”表記も見られる[1]。
概要
事実上、毛沢東亡き後の中国の最高指導者である。
毛沢東の死後、文化大革命によって荒廃した中国に四つの経済特区を指定することで改革開放が行われる。
その結果、著しい経済成長が起こり、今の中国を築いた人物であるといっても過言ではない。
一方で格差問題を完全に放置し、一党独裁のもとで民主化運動弾圧を行うなどの強権的な姿勢も見せている。
1904年、四川省に生まれる。フランス留学中、工場勤務の傍ら中国共産党に入党する。
その際、フランス政府から国外追放となり、留学先をソ連に変更する。
帰国後、革命戦争に参加。当時の共産党はソ連留学生が主導権を握っていたなか、鄧小平は珍しく毛沢東側に立った。そのため、指導部から敬遠され失脚する。
復帰後、軍の指揮官として抗日戦争、国共内戦を戦う。建国後、毛沢東の信頼を得ていたため順調に出世を果たす。しかし、文革の際には走資派として紅衛兵から批判対象にされ失脚する。トラクター工場の作業員として左遷されるのであった。
その後、鄧小平の能力を見込んでいた毛沢東により再び復権を果たす。その際、周恩来が掲げる「四つの現代化」の取り組みに賛同し、のちの改革開放へとつながる。
しかし、周恩来と対立していた四人組は、鄧小平のことを快く思わなかったため、四人組の批判対象となり、再び失脚してしまう。(第一次天安門事件)
以上計3回の失脚を経験した鄧小平である。
毛沢東の死後、華国鋒が政権を握る。しかし収まる気配のない文革への倦怠感から、人々の人望は鄧小平へ向けられたのである。
1978年11月。歴史的な転換期である第11期3中全会が開催される。
そこで、文化大革命の終幕が告げられるとともに、今後は改革開放路線を優先的に取り組んでいくことが決定される。
その後、中央軍事委員会主席（軍の最高司令官）として権力のトップに立つ。その際、総書記や首相といった主要ポストについては、彼の部下である胡耀邦、趙紫陽を沿えることにより、闇将軍として政権を動かしたのである。
しかし、言論の自由も活発となったため、民主化運動が起こり始める。これを許さなかった鄧小平は一党独裁政治を正式に決めて民主化運動を厳しく取り締まった。(四つの基本原理)
一方で、民主化には甘かった胡耀邦、趙紫陽を切り捨てる。
1989年6月。有名な天安門事件では、軍隊の出撃を命令する。この強権的な態度が国際社会からの非難を浴びる結果となる。しかし、南巡講話によって改革開放の必要性を中国全土にアピールし、社会主義市場経済が確立された。
これは、共産党独裁のもとで資本主義経済を容認するもので、現在の中国政治の基本方針にあたる。
のちの政権を江沢民に託した後、政界を引退する。
改革開放路線を受け継いだ江沢民政権では中国の経済成長がさらに加速したのである。
評価
前の毛沢東時代がアレだったゆえ、鄧小平が叩かれることはきわめて少ない。むしろ、経済成長により豊かな中国を築き上げた人物として持ち上げられる声が多い。
鄧小平は実に合理的な人物である。それは有名な「黒猫でも白猫でもネズミを捕まえた猫が一番偉い」っといった言葉からも見受けられる。
改革開放によって確かに経済成長が起こったものの、その分拡大する格差問題を完全に放置。そのツケを現在の共産党指導部が取り組んでいる状況である。
こういった経済成長の傍らには言論の自由も開かれるようになった。それによって民衆の不満が炸裂し、結果的に民主化運動が活発となる。しかし、それを許さなかった鄧小平は共産党の一党独裁を正式に認めたうえ、天安門事件では軍隊に発砲の許可を与えた張本人である。さらに、民主化運動では意見の食い違いから自分に忠誠を誓っていた部下の首を簡単に切れるほどの冷酷さを持ち合わせている。
例として胡錦濤が出世した、最大の理由はチベットでの暴動を弾圧したからだといわれている。これに高く関心を抱いたのが鄧小平である。
されど、それまで文革により大きく発展が遅れた中国に経済成長をもたらした功績は称賛に値する。
改革開放を妨害しようとする長老派幹部との派閥争いが激しい中、遂行できたのは鄧小平の政治手腕によるところが大きい。
現在、中国政府は鄧小平理論を掲げている。鄧小平が行った改革開放を継続していくうえで、いかに順調な経済成長を果たしていくのかが中国そのものが抱える課題なのである。そのためには放置されてきた格差の問題。一党独裁への反発として年々話題となる民主化問題など、良くも悪くも鄧小平が今の中国に与えた影響は大きい。
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関連項目
脚注
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