電波オークション制度とは、電波の周波数の利用権を競売で決める制度である。
概要
国民の共有財産である電波を有効利用するため、電波の伝わる範囲である周波数帯域の一定期間の利用権を、競争入札(オークション)によって電気通信事業者(電気通信サービスを提供する会社)に売却し、そのうえで事業を行わせるという制度である。
これにより、閉鎖的な優遇措置がされている電気通信事業会社ほど、競争原理が働く自由市場となって大規模な財源となるようになるなど、メリットの多さから多くの国々で採用されている。
欧米ではほぼ全ての国が導入しており、アジアでも半数以上の国で導入され、先進国では日本のみが導入していない状態にあり、以前から日本維新の会の足立康史議員をはじめ導入を求める声が上がっており、近年制度導入が検討されている。
しかし、まだ誕生して歴史の浅い制度であるため、逆に利用料が下がってしまうかもしれないリスクもある。だが始めて導入されてから20年近く続くうちに、運用方法の知見も溜まって各国で活用されるようになっている。
日本放送業界の改革糸口に
日本において、テレビ放送事業は大手の新聞社が独占している状態にある。
現在の日本のテレビ局は、そのほぼ全てが新聞社の完全な子会社であり、親会社である新聞社が支配しているという構造となっているため、放送の傾向基本的に新聞社のイデオロギー(政治思想)に左右されている。
更に日本の新聞社は、他国では絶対にあり得ない特例法である「日刊新聞紙法」によって、株式の譲渡が制限されている。本来なら株式会社は、業績の悪化などで経営が困難になった場合、株が他の会社に買い占められることで譲度される。いわゆる『買収』である。そのため社長はもちろんオーナーでも退任する可能性がある。
しかし日本の新聞社は、上述の特例法によって株の譲度が制限されているため、決して買収されない仕組みになっており、新聞社のオーナーは基本的に退任することが絶対に無く、オーナーの直属の配下である社長も、オーナーに背かない限りクビになることが無いのである。そのため日本の新聞社は、いわば独裁企業であり、会社のイデオロギーに背く報道をすることは許されない。
更にテレビ放送事業は、総務省の認可を受けなければできず、テレビ局は総務省官僚の主な天下り先となっていることから、地上波放送事業への新規参入が実質的に不可能になっており、電波の権利のほとんどを既存のメディアが牛耳ってしまっている状態にある。
これらは新聞社の最大の既得権(特定の個人・地域・社会的集団がなんらかの根拠に基づいて得ている権益。いわゆる“特権”の一つ)と言われる。「電波利用料を取られている」とテレビ局は主張するものの、その額は数十億円程度でアメリカと比較すると10分の1にも満たない低価格である。
※総務省によれば、平成27年度の電波利用料金収入は総額約747億円で、主な負担者はNTTドコモ約201億円、KDDI約131億円、ソフトバンク約165億円、NHK約21億円、日本テレビ約5億円、TBS・フジテレビ・テレビ朝日・テレビ東京約4億円…などとなっている。[1]
マスメディアはこうした件を自身のクロスオーナーシップ関係や新聞における押し紙などと同じく自らが所有する利権である面から、この件をタブー視して故意に隠蔽・歪曲・捏造など、放送法を無視した偏向報道を行っている現状も存在する。
電波オークションは、そうした影響を受けること無く、業績を上げている資本力を持った企業に電波の利用権が与えられることから、こうした放送業界の閉鎖的な環境を改善する糸口になると期待されている。
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関連項目
脚注
- *電波オークション 政府が導入検討 2017.9.12
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