韠とは、礼装用の膝掛けである。
漢字として
- 意味
- 膝掛け。通じて縪・畢とも書く。
- 〔説文解字・巻五(段注本)〕に「韍(フツ)なり。前を蔽ふ所以の者、韋(なめしがわ)を以(もち)ふ」とある。
- 韍は、〔説文〕には市の異体字(篆文)として記載されている。また市の説明は「韠なり」であって互いに互いを参照している。市が膝掛けの象形の字で、韠、韍が形声の字である。
- 〔説文〕の韠字の説明は、「下は廣さ二尺、上は廣さ一尺、其の頸(くび)は五寸なり。一命せられて縕韠(ヲンヒツ)し、再命せられて赤韠す」と〔礼記・玉藻〕の文を引用している。
- 字形
- 形声。声符は畢。
- 音訓
- 音読みは、ヒツ(漢音)、訓読みは、ひざかけ。
- 規格・区分
- 常用漢字ではない。JIS X 0212補助漢字。
異体字
- 鞸は、〔広韻〕に「韠、――俗、鞸と作(な)す」とある異体字。䩛の異体字ともされる字。鞞と通じて刀の鞘の意味もある。JIS X 0212補助漢字。
- 𥀕は、〔集韻〕に「韠、――或ひは皮に从ふ」とある異体字。〔康煕字典〕に引く〔玉篇〕には「画韋を𥀕と曰ふ」とある。
- 𩏂は、〔漢語大字典・異体字表〕にある異体字。鞞の異体字と同形。
- 㻫は、〔広韻〕に「韠と同じ」とある異体字。珌の異体字と同形。〔玉篇〕に珌の「古文」とある。
- 𫖒は、類推簡化字。
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