〔春秋左氏伝・文公十八年〕に、四凶を辺境に追放して魑魅を防がさせた説話の記述があり、その服䖍の注に「魅は、怪物なり。或ひは云ふ、魅、人面獸身にして四足あり。好く人を惑はす。山林異氣の所に生ず」とある。
〔周礼・春官〕の注には「百物の神を鬽と曰ふ」とあり、物に生じる怪とある(鬽は魅の異体字)。
その他の意味
漢字として
- 意味
- 人を惹きつける、化かす、惑わす、妖怪、古いものに生じる精。
- 〔説文解字〕の本字は鬽で〔説文・巻九〕に「老物の精なり」(〔段注本〕)とある。魅は鬽の異体字として載っている。
- 字形
- 形声。声符は未。
- 鬽は〔説文〕に「鬼彡に從ふ。彡、鬼毛なり」とあり鬼+彡の会意で、字の彡は毛を表すとある。長髪または毛深い化物なのだろう。
- 音訓
- 音読みは、ビ(漢音)、ミ(呉音)、訓読みは、すだま、こだま、もののけ。
- 規格・区分
- 常用漢字である。1946年に当用漢字に採用され、1981年に常用漢字になった。JIS X 0213第一水準。
- 語彙
- 魅虚・魅狐・魅了・魅力・魅惑
異体字
- 鬽は、〔説文〕の本字。鬼+彡の会意。JIS X 0213には人名(鬽姓)に使われるとある。JIS X 0213第四水準。JIS X 0212補助漢字。
- 𧱋は、〔説文〕に「籒文。彖首に从ひ、尾省聲に从ふ」と異体字。
- 𢑘は、〔康煕字典〕に引く〔玉篇〕に「古文の魅」とある異体字。〔説文〕にある古文。
- 𠃁は、〔字彙補〕に「魅と同じ」とある異体字。
- 𣷛は、〔玉篇〕に「籀文」、〔字彙補〕に「魅字の譌。〔字義総略〕に見ゆ」とある異体字。
- 𢑙は、〔字彙補〕に引く〔玉篇〕に「古魅字」、〔康煕字典〕に引く〔海篇〕に「魅と同じ」とある異体字。
- 𣼙は、〔五音篇海〕に「籀文」、〔字彙補〕に「籀文魅字」とある異体字。
- 𥘯は、〔山海経・海内北経〕に記述のある妖異で、〔康煕字典〕の引くその郭璞の注には「卽ち魅なり」とある。また〔康煕字典〕に楊愼による説として、漢の石碑には魑魅が䄜𥘯となっているものがあることを紹介している。示に従うのは魑魅が山神であるためだろうとしている。
- 𩲀は、〔康煕字典〕に引く〔篇海〕に「鬽に同じ」、〔字彙〕に「魅に同じ」、〔正字通〕に「俗魅字」とある異体字。
- 𩲈は、〔康煕字典〕に引く〔竜龕手鑑〕に「鬽に同じ」、〔字彙補〕に「魅と同じ」とある異体字。𩲀の異構の字。
- 𩲉は、〔漢語大字典・異体字表〕にある異体字。
- 𩱿は、〔康煕字典〕に引く〔篇海〕に「鬽に同じ」、〔竜龕手鑑〕に「俗」、〔字彙〕に「𩲑に同じ」とある異体字。𩲉の異構の字。
- 𩲑は、〔康煕字典〕に引く〔篇海〕に「鬽と同じ」、〔字彙補〕に「魅に同じ」とある異体字。
- 𩲝は、〔康煕字典〕に引く〔竜龕手鑑〕に「魅と同じ」、〔字彙補〕に「魅に同じ」とある異体字。
- 𩲐は、〔字彙〕に「魅に同じ」、〔正字通〕に「𩲐・𩲀𠀤(なら)びに、俗鬽字」とある異体字。
- 𩲿は、〔字彙〕に「𩲑に同じ」、〔正字通〕に「俗字」、〔康煕字典〕に〔篇海〕を引いて「鬽に同じ」ある異体字。
- 𩳟は、〔字彙補〕に「音義、魅に同じ」、〔康煕字典〕に〔捜真玉鏡〕を引いて「魅に同じ」とある異体字。
- 𩳪は、〔康煕字典〕に〔字彙総略〕を引いて「魅と同じ」とある異体字。
- 䰨は、〔字彙〕に「魅に同じ」、〔正字通〕に「俗魅字」、〔康煕字典〕に引く〔玉篇〕に「鬽と同じ」とある異体字。Unicodeに魅と同じとある。
- 𩴎は、〔字彙補〕に「音義、魅と同じ」、〔康煕字典〕に引く〔竜龕手鑑〕に「魅と同じ」とある異体字。
- 䰪は、〔正字通〕に「魅字の譌」とある異体字。𩴎の異構の字。
- 𩴈は、〔正字通〕に「魅字の譌」とある異体字。〔字彙〕に「鬼の名」とある。
関連項目
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