- ファンタジー作品における亜人種。
- 《鳥の乙女/Bird Maiden》―トレーディングカードゲーム『マジック:ザ・ギャザリング』に登場するカードの一つ。
- バードメイデン ― コンピューターゲーム『カルドセプト』のカードの一つ。
- 鳥乙女ナスカ ― アニメ『悪魔くん』に登場する12使徒の一体。
本記事では、2.について記述する。
概要
"Four things that never meet do here unite To shed my blood and to ravage my heart, A radiant brow and tresses that beguile And rosy cheeks and a glittering smile."
今まで出会ったこともない 四つのものがここに集い、 我が血をこぼし、我が心を騒がせる。 輝くばかりの眉に、心を惑わす長い髪 薔薇の頬に、きらめく微笑み
― アラビアン・ナイト.
MTGの舞台・ドミニアにおいて、至る所で見ることができる鳥の亜人種。しかしながら本拠地はアラビアンナイト風の次元・ラバイアであり、容姿もアラビア風の服装に黒い髪と褐色の肌をしている。
彼女らの住居は高い岩山の上などである。漏斗状に削った骨のチューブを岩にくくりつけ、風を送ることによって風化を操作し、数年から数十年をかけて風の彫刻とも呼ばれる住処を作り上げる。
鳥の乙女は人間とつがいになることができ、生まれた子どもは女の子なら鳥の乙女、男の子なら人間となる。鳥の乙女の子どもは必ず同性の双子で生まれ、兄弟・姉妹は固い絆で結ばれるという。
多元宇宙のアイドルとして
彼女が日本のMTGプレイヤーの目に止まったのは、初めて日本語版が印刷された「第4版」の頃。
コミカルで愛らしく、褐色とおっぱいに定評のあるKaja Foglioが手がけたイラストが密かな人気だった。
当時のMTGはアートセンスがモロにアメリカンで、女性といえばマッチョおばさんばかりだった。
なにせ、慈愛に満ちた白のプレインズウォーカーという設定のはずのセラが、痩せぎすでつり目のおばさんに描かれてしまったり、《Daughter of Autumn》のイラストがどう見てもおばあちゃんという時代であった。
そんな中に現れた褐色肌タンクトップヘソ出しおっぱい人外元気娘は、顔の半分が目の女の子ばかり見ていた日本のヲタクにとって一種の清涼剤といえた。
当時の人気女性クリーチャーといえば《セラの天使/Serra Angel》だったが、当時は最強クリーチャーの一角で高嶺の花。しかし、鳥の乙女はコモンなので、貧乏プレイヤーの強い味方であった。
かくして鳥の乙女のファンとなったプレインズウォーカー達は、鳥の乙女自身とともに忘れ去られていったという。
鳥の乙女は、再録セットを除いては「アラビアンナイト」にしか登場していない。このセットは、元々千夜一夜物語のカード化だったものを、後付けでMTG世界「ラバイア」の話だということにしたもので、プレインズウォーカーがこの次元を再び訪れる機会は絶望的といってよい。鳥の乙女の本拠地は、大修復以降の多元宇宙ではなかったことにされかけているのだ。
しかし、前述の「Encyclopedia Dominia」では、鳥の乙女はドミニアの他の次元で見られると明言されている。
Although bird maidens are found in other lands of Dominia, Rabiah is almost assuredly their true home.
鳥の乙女はドミニアの他の地でも見られるが、ラバイアはほぼ確実に彼女らの真の本拠地である。
出典:Encyclopedia Dominia, 編者訳
「ドミニア」とは多元宇宙の古い呼び名であり、これまでMTGのカードセットで舞台となってきたありとあらゆる次元のことである。
鳥の乙女は、1つのカードセットにしか登場させられないローカル種族ではないのである。
つまり、下記の《鳥の乙女》というカードが再録される可能性は極めて低いにせよ、鳥の乙女という種族が再度カード化される可能性は大いにあるということだ。
ドミナリアでファイレクシア・ドミナリア戦争に巻き込まれ、時の裂け目に翻弄された鳥の乙女。
ザルファーと共にフェイズ・アウトし、ドミナリアに二度と戻れなくなった鳥の乙女。
セラの次元で天使達と過ごし、レイディアントの圧政に苦しみ、故郷を失って難民となった鳥の乙女。
ファイレクシアの改造手術を受けヨーグモスの傀儡となった鳥の乙女。
ミラディンで、探査機だった頃の記憶を元にメムナークが創造した鳥の乙女。
タルキールで飛鶴の技を会得し、はたまた再編された運命で龍の僕となった鳥の乙女。
イニストラードで吸血鬼と戦い、または敗れ、あるいはエムラクールの狂気に呑まれた鳥の乙女。
カラデシュで、新たなアーティファクトを生み出し、機体に搭乗する鳥の乙女。
アモンケットで試練に挑む鳥の乙女。
バブロヴィアでからくりを組み立てる鳥の乙女。
お菓子とうさぎさんのふわふわもこもこ次元のふわふわもこもこ鳥の乙女。
プレインズウォーカーの灯をともし、多元宇宙を渡り歩き、未来のゲートウォッチとなるかもしれない鳥の乙女。
そして、これから訪れるかもしれない、未知の次元の鳥の乙女。
カード化されていないだけで、どの次元に鳥の乙女がいてもおかしくないのである。
また、ストーリー上では「風刻み」の能力のみが判明しており、カード化したときにどうなるか創造の幅が広がる。
WotCがこの設定を忘れていなければ、いつかまた、彼女らはプレインズウォーカー達の前に現れ、あの爽やかな笑顔と鮮やかな羽根を見せてくれるだろう。
カードとしての性能
Bird Maiden / 鳥の乙女 (2)(赤)
クリーチャー — 人間(Human) 鳥(Bird)飛行
1/2
初出は「アラビアンナイト」と黎明期から存在するクリーチャー。
3マナ1/2飛行という貧弱な性能から、構築でもリミテッドでも使われることはまずない。
赤は飛行が苦手な色であることを初心者に教えるためのカードである。
その後「第4版」「第5版」「マスターズエディション4(Magic Online限定)」に再録されたが、MTGの世界観が統一されていくに従い、赤の小型クリーチャーはゴブリンが定番となったため、基本セットにおける彼女の役割は同型再版の《ゴブリンの空襲部隊/Goblin Sky Raider》に取って代わられた。
部族シナジーはゴブリンの方がよいとされるが、それはクリーチャーを決闘の道具に使う野蛮なプレインズウォーカーの理屈である。
印刷時こそ専用の「鳥の乙女」であったため使いづらかったが、その後「乙女」となったことで、《霧衣の究極体/Mistform Ultimus》を乙女として扱うマニアックなプレイが可能であった。
その後、クリーチャー・タイプ再編の影響で人間・鳥となったため、入れ替わりで登場した《アメーバの変わり身/Amoeboid Changeling》は乙女でないことになってしまい、数多のプレインズウォーカーがむせび泣いたのは有名である。
しかし、イニストラード・ブロックの登場により、人間を支援する天使達とのシナジーが可能となったことで、羽根娘キマシタワーデッキが構築できるように。
イニストラードを覆う影ブロックでは、鳥の乙女を墓地から釣ってくるプレイが可能な《消えゆく光、ブルーナ/Bruna, the Fading Light》が登場。まさかの悪堕ち路線を獲得した。
また、《Soraya the Falconer》お姉様が鳥のロードとなったことから調教プレイも可能と、今やあらゆる属性をカバーする万能クリーチャーである。
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関連項目
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