鹿島鉄道とは、茨城県に本社を置く賃貸業を営む会社である。関東鉄道の子会社。かつては社名の通り鉄道事業を営んでいた。この記事では鉄道事業者時代について記載する。略称かしてつ。
概要
1979年4月に関東鉄道から鉾田線を継承して営業を開始。沿線は過疎地域だが、航空自衛隊百里基地への航空燃料を輸送するための貨物列車が運行されており、これで経営が成り立っていたのが2001年8月に燃料輸送が中止された。これ以降存廃問題が立ち上がり、一度は関東鉄道と沿線自治体から5年間の支援が行われることが決まり、廃線の危機は一度去ったかに見えた。
しかしつくばエクスプレスの開業によってドル箱だった東京駅とつくばを結ぶ高速バスつくば号、常総線の乗客数も減少し、2007年度以降関鉄からの経営支援は無いことが決定。親会社からの支援なしでは鉄道事業の存続は不可能として鹿島鉄道は2006年3月に鉄道事業の廃止届を提出。同年夏には鉄道事業継続には今後5年で11億円が必要と表明。しかし沿線からは6億5000万円の支援でなんとかなると言われ、鉄道事業の存続を断念。2007年4月に廃線となった。
現在は廃止代替バスとしてかしてつバスが運行されている。鉄道事業廃止後も賃貸業を営む会社として社名もそのままに会社は存続している。このような例は旭川電気軌道、東濃鉄道、鞆鉄道、善光寺白馬電鉄、鶴見臨港鉄道、下津井電鉄、有田鉄道などがある。
鉾田線史
鉾田線は常磐線の石岡駅を起点に霞ヶ浦の北部を走り鉾田駅までを結ぶ路線だった。元々は行方鉄道として1921年12月に石岡から玉造まで、1922年6月には玉造から鉾田までの免許を取得した路線で、後に改名。鹿島参宮鉄道として1924年6月に開業した。開業時は石岡駅から常陸小川間駅までの区間だった路線を伸ばしていき1929年には鉾田駅までの全線が開通していた。
常総筑波鉄道との合併により関東鉄道が誕生すると鉾田線と呼ばれるようになる。
計画時には高浜駅が起点だったが、危機感を持った石岡の商人層からの働きかけで株主の多くを石岡で引き受ける事を条件に石岡駅に変更された経緯を持つ。
途中で分岐して延方方面を路線を伸ばす計画もあったが、こちらは断念している。鹿島神宮への接続が果たせなかった為か、同じく関東鉄道から分離された筑波鉄道と異なり別の名前での独立となった。
似た目的の路線としてはこの路線以前に同じ名前で計画されていた鹿島参宮鉄道(高浜駅~延方)と霞浦鉄道(石岡駅~延方)があったが、どちらも実現しなかった。
また、似た名前の路線として後に開業した鹿島線や大洗鹿島線があるが走っている場所は全く別で、付近をかすめている大洗鹿島線には新鉾田駅があるが、鉾田駅からはそこそこ離れている。
車両
- KR-500形
- かしてつの主力車両。1989年と1992年の2回に新潟鐵工所で製造された軽快気動車で、501・502・503・505の4両が在籍していた。504が欠番になっているのは忌み番として飛ばされたため。KR-502と503は廃止後間もない時期に解体されたが、501と505は沿線で保存されている。
- キハ714形
- 1953年に新潟鐵工所で製造された夕張鉄道キハ251形を出自とする気動車。前面スタイルは当時の流行の湘南型。1976年にかしてつへ入線。1977年にロングシート化、1994年に冷房化を行ったが最後までワンマン化改造は行われなかった。1両のみの存在。KR-501とともに小美玉市で保存されている。
- キハ430形
- 1957年に東急車輌で製造された加越能鉄道加越線キハ120形を出自とする気動車。スタイリングは東武鉄道キハ2000形とほぼ同一だが、車内がオールロングシートなどの細かな違いがある。1973年にかしてつへ入線。車体が小型なために冷房装置を搭載できず、夏は運用を外れていた。2両が運用され、2両とも小美玉市内で保存されている。
- キハ600形
- 国鉄キハ07形を出自とする気動車。車体長19mで片側3ドアとかしてつの所有する気動車の中で最大の輸送力を有していた。車体こそ半流線型から関鉄形平妻に改造されていたが、車体側面の形態と台車にキハ07の面影を残している。2両が在籍し、1両が鉾田市内で保存されている。
- DD902形
- 関東鉄道が発注した国鉄DD13形ディーゼル機関車の同型車。関東鉄道が4つの鉄道路線を有していた時期に製造された唯一の車両でもある。廃線よりも先に日本製鋼室蘭製作所へと売却された。
駅一覧
駅名 | 接続路線 | 立地自治体 |
---|---|---|
石岡駅 | JR常磐線 | 石岡市 |
石岡南台駅 | ||
東田中駅 | ||
玉里駅 | 小美玉市 | |
新高浜駅 | ||
四箇村駅 | ||
常陸小川駅 | ||
小川高校下駅 | ||
桃浦駅 | 行方市 | |
八木蒔駅 | ||
浜駅 | ||
玉造町駅 | ||
榎本駅 | ||
借宿前駅 | 鉾田市 | |
巴川駅 | ||
坂戸駅 | ||
鉾田駅 | 鹿島臨海鉄道大洗鹿島線新鉾田駅(徒歩20分) |
代替バス
鹿島鉄道と同じく関東鉄道の子会社である関鉄グリーンバスが代替バスである「かしてつバス」を運行している。基本的に鉄道時代のルートをトレースしているが、走行できる道路の関係上借宿前駅のみ経由しない。
石岡駅-常陸小川駅間は廃線跡を利用してバス専用道が整備され、BRTシステムに近いものが構築されている。
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関連項目
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