黒船賞単語

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黒船賞とは、高知県競馬組合が毎年3月に開催する高知競馬場・ダート 1400mの重賞競走(ダートグレード競走)である。格付けはJpn Ⅲ。

「黒船賞」というレース名は、高知を象徴する歴史上の偉人坂本龍馬の運命を変えた江戸時代の「黒船」に由来する。また、中央競馬など他地区との交流競走が極端に少なく、いわば「鎖国状態」にあった高知競馬にあって、レースに参戦する中央競馬や他地区の強豪遠征馬を江戸末期に外国からやってきた「黒船」にたとえ、このレース名にしたとも言われている。

概要

日本中央競馬会（JRA）所属馬が出走可能なダートグレード競走（指定交流競走）となっており、開催当日はJRA所属のジョッキーも騎乗する為、大勢の人が競馬場に来場する。また、当日は黒船賞以外にも中央2勝クラスと高知A-2級以下による条件交流競走「はりまや盃」も開催されることが多い。中央所属馬との交流レースが皆無な高知競馬にあって、中央所属馬や騎手が見れるレアな一日となっている。また、日本の競馬界のレース体系からも春のダート短距離路線の主要レースとして位置づけられている。

漫画「たいようのマキバオー」においても、黒船賞が重要な舞台となっており高知競馬で最も有名なレースであることが伺える。

歴史

1998年に第1回を開催。高知競馬の経営難もあって、創設当初からは減額されたものの、現在でも賞金総額は3,150万円（1着賞金2,100万円）と、普段の高知競馬とはケタが違う賞金が用意されているが、経営難がピークに達していた頃は資金が確保できず、一般のファンから寄付を得て不足分の賞金を確保する奇策に打って出たことすらあった。2008年にはついに開催が中止されたが、翌2009年より再開している。なお、2011年は直前に東日本大震災が発生したため中止された。

第1回は元中央オープン馬で、船橋を経て前年から高知に移籍していた8歳馬のリバーセキトバが当時の地元トップジョッキー北野真弘騎手（のちに兵庫県競馬へ移籍）を背に中央馬相手に差し切り勝ちを演じる派手なスタートとなった（2021年現在、高知競馬所属馬がダートグレード競走で勝利したのはこの1度きり）。その後は2018年に兵庫所属のエイシンヴァラーが優勝した以外は中央馬が上位を占め続けており、2012年から2014年にかけてはセイクリムズンがいずれも岩田康誠騎手をパートナーとして3連覇を達成している。

出走馬

フルゲートは12頭。中央競馬5頭以内、地方馬7頭以内、うち高知所属馬は3頭以内となっている。　

2013年に廃止された福山競馬場と提携関係にあったことから、一時福山所属馬枠があったり、出走馬選考競走を福山でも開催している時期があった（福山競馬場はダートグレード競走がなかった）。

地元では3月の黒船賞への出走を目指して、1月から「黒船賞選考競走」として優勝馬に優先出走権を与える重賞（「大高坂賞」、「黒潮スプリンターズカップ」、「だるま夕日賞」）が行われており、黒船賞への盛り上げに一役買っている。なお、「黒潮スプリンターズカップ」は地方全国交流競走であり、他地区馬が通常の選考を経ずに優先出走権を確保するにはこのレースが唯一のチャンスとなっている。

歴代優勝馬

回数	開催日	優勝馬	所属	性齢	勝利騎手	勝ち時計	動画
第25回	2023年 3月14日	シャマル	JRA	牡5	川田将雅	1:28.3	sm43588689
第24回	2022年 3月16日	イグナイター	兵庫	牡4	田中学	1:30.3	sm40185984
第23回	2021年 3月16日	テイエムサウスダン	JRA	牡4	岩田康誠	1:27.6	sm38443136
第22回	2020年 3月10日	ラプタス	JRA	セ4	幸英明	1:27.3	sm36497345
第21回	2019年 3月21日	サクセスエナジー	JRA	牡5	松山弘平	1:26.6	sm34826647
第20回	2018年 3月20日	エイシンヴァラー	兵庫	牡7	下原理	1:27.2	sm32915803
第19回	2017年 3月14日	ブラゾンドゥリス	JRA	牡5	内田博幸	1:28.2
第18回	2016年 3月15日	ダノンレジェンド	JRA	牡6	M.デムーロ	1:27.0
第17回	2015年 3月17日	ダノンレジェンド	JRA	牡5	丸田恭介	1:27.3	sm25830530
第16回	2014年 3月18日	セイクリムズン	JRA	牡8	岩田康誠	1:27.6	sm20380371
第15回	2013年 3月19日	セイクリムズン	JRA	牡7	岩田康誠	1:27.3	sm17318686
第14回	2012年 3月20日	セイクリムズン	JRA	牡6	岩田康誠	1:28.4
第13回	2011年 3月14日	地震のため中止
第12回	2010年 3月22日	スーニ	JRA	牡4	川田将雅	1:27.7	sm10123554
第11回	2009年 3月20日	トーセンブライト	JRA	牡8	安藤勝己	1:27.4
第10回	2007年 3月21日	リミットレスビッド	JRA	牡8	岩田康誠	1:28.9
第9回	2006年 3月20日	ブルーコンコルド	JRA	牡6	幸英明	1:28.4
第8回	2005年 3月21日	マイネルセレクト	JRA	牡6	武豊	1:28.4
第7回	2004年 3月22日	ディバインシルバー	JRA	牡6	安藤勝己	1:26.4
第6回	2003年 3月21日	ノボジャック	JRA	牡6	蛯名正義	1:27.5
第5回	2002年 3月18日	サウスヴィグラス	JRA	牡6	柴田善臣	1:28.1
第4回	2001年 3月20日	ノボジャック	JRA	牡4	武豊	1:28.1
第3回	2000年 3月21日	ビーマイナカヤマ	JRA	牡6	鹿戸雄一	1:27.9
第2回	1999年 3月22日	テセウスフリーゼ	JRA	牡7	的場均	1:26.0	sm21544197
第1回	1998年 3月24日	リバーセキトバ	高知	牡8	北野真弘	1:29.1	sm3734121

トリビア

本競走の優勝レイは、黒をベースとした重厚なデザインであるため、3連覇したセイクリムズンを管理するJRAの服部利之調教師が「この優勝レイが欲しい」と公言してはばからないほどのお気に入りだったという。なお、高知競馬の経費削減策の一環からか他の重賞には優勝レイがない時期が長く続いており、2018年度までは黒船賞しか作成されていなかった。
2003～2005年にかけて全国的なフィーバーとなったハルウララ。2004年、この馬にJRAの武豊騎手がレースで騎乗したことが当時大きな話題となったが、それが実現したのは「第7回黒船賞」にノボトゥルーで騎乗することが決まっていたためで、黒船賞の次のレースにハルウララが出走するレースが組まれた。ちなみに、黒船賞が2億あまりの売上に対し、ハルウララのレースは5億以上売り上げたという。
長年高知競馬における1開催日の売得金記録は前述の2004年の「第7回黒船賞」開催日であったが、インターネット投票の伸張で2019年頃からこの記録を上回る売得金を計上するようになり、記録は更新されている。また、1競走の売上の最高記録は2020年時点では前述の黒船賞の次のハルウララのレースの記録が今も最高記録となっていたが、2021年 3月16日に行われた第23回開催において6億4180万円を超える売得金で17年ぶりに売上レコードを更新した。その後2022年の第24回開催でも売得金は7億8006万円を超えるなどしており売上は年々上がり続けている。